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レインボーリボン メールマガジン 第120号 旅立ちの春

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■■  レインボーリボン メールマガジン 第120号
■■   旅立ちの春
  2024/3/31
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毎月末、NPO法人レインボーリボンの活動報告と、代表、緒方の思いをお伝えするメールマガジンです。
 
前号のメルマガで「児童虐待を根絶しよう!」と書いてから、どうしたら根絶できるのか、ずっと考えています。
年度末で、次年度に向けての活動方針を考えるタイミングでもあります。
しかも4月からの2024年度は、2014年に法人格を取得したレインボーリボンにとって10周年の年です。
団体を立ち上げたときの原点とこれまでの歩みを振り返り、今後何年続くのか分かりませんが、せめて5年先くらいまでの中期目標は設定しなければ…と思っています。
 

「多文化共生の子育て環境」を作ろう――が出発点

レインボーリボンを立ち上げた原点は、外国人のシングルマザーが子どもへの愛情を持ちながらも望ましい養育をできない環境があることを知り(そのシングルマザーは夕方から翌朝までの勤務で、小学生がひとりぼっちで留守番をしていました)、PTA活動を活性化させることによって親同士が助け合う「多文化共生の子育て環境」を作ろうと考えたことでした。
しかしPTA改革の波を広げることはなかなかできないまま、こども食堂やフードパントリー、いじめ防止教室を展開する中で、家庭の困窮、親の障がい、いじめが原因の不登校など、様々な事情を抱えて社会から取り残されている子どもたちに出会ってきました。
 
PTAという「素人」の立場から出発した私たちは、失敗もたくさんしてきました。
8年前に初めてこども食堂を立ち上げた頃、「子どもの貧困」に関心を持ちながらも、「貧困な子どもなんて、自分たちの周りに本当にいるのだろうか」という程度の認識しか持っていませんでした。
目の前でごはんを食べている中学生が3月になっても進学先が決まっていないなんて思いもよらず、「高校はどこに行くの?みんなの前で発表して!」なんて、無神経なことを言っていたのです。
今なら分かります。
経済的な困難は子どもにいろいろな副作用をもたらすのだということ。
 
一人ひとり、背景、事情が全部ちがいます。
出会った子どもの顔を見て、表情や行動を見て、一緒に遊んで、信頼してもらえたら話を聞いて、困りごとに気がついたら一緒に悩む。
問題を解決してくれそうな専門家や行政窓口の情報をふだんから集めておいて、ここぞというときに「相談してみる?」とつなぐ。
つまり、「出会う・寄り添う・つなぐ」なんですね。私たちの役割は。

 

「出会う・寄り添う・つなぐ」子どもの苦しみに出会いながら

ネグレクトや、不適切な養育環境にいる子どもたちにも出会ってきました。
葛飾区の場合、相談窓口は「子ども総合センター」です。昨年10月には児童相談所も開所し、我々市民が通報、相談できる行政側の体制は整ってきています。
しかし、それで児童虐待は根絶できるのか、苦しんでいる子どもたちを救えるのかと言えば、現実はそう簡単ではありません。
 
昨年、警察が虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもは12万2806人で過去最多。児童虐待への社会的関心の高まりで通報が増えているそうです。
少し前だったら見過ごされていた子どもたちの受難が、一般の私たちのアンテナにもひっかかるようになり、専門機関につながるようになったことは良いことだと思います。
しかし、その先、専門機関で子どもたちはしっかりとケアを受け、養育環境は改善され、その後は幸せな人生を歩めるようになっているでしょうか。
 
『子ども虐待という第四の発達障害』(杉山登志郎著 学研)は2007年初版ですが、まるで「予言の書」ではないかと思うくらい、現在の状況を考える上で示唆に富んでいます。
【「子ども虐待は保護をすればそれで終わり」あるいは「虐待の心の傷に対して心理治療を行えば十分」。もし、そのような誤解が一般的に広まっているのであるとしたら大きな悲劇である。子ども虐待は脳自体の発達にも影響を与え、さまざまな育ちの障害を引き起こす。】
【過去15年間で30倍以上に増えた子ども虐待の増加に社会的養護の枠が追いつかず、どこもかしこも満杯状態である。乳児院、児童養護施設、里親、情緒障害短期治療施設、児童自立支援施設、子どもの心の専門家、子どもが入院できる心療系の病棟、すべて足りない。】
【心に深い傷を負う子どもたちへのこのような扱いは、国家レベルのネグレクトではないか。】
 
あいち小児保健医療総合センター長の杉山登志郎先生が17年前に指摘した問題は、今、改善されるどころか、より深刻な様相を呈しているように思えます。
杉山先生は「被虐待児の場合、攻撃的衝動行為の噴出は必ずといってよいほど現れる」として、その治療ケアは「敗戦処理のようなもの」と表現しています。虐待は予防が最も大切だということです。
加虐の親への治療ケアの必要性も力説されています。
 

被虐待対応は「敗戦処理」。予防と親へのアプローチが大切

PTA活動から出発した私たちの立ち位置は「近所のおばさん、おじさん」であり、困難を抱えて孤立しがちな子育て家庭をサポートできる存在でありたいと願っています。
こども食堂などの活動やふだんの生活を通して、もしも「不適切な養育」に気がついたら、それが重大な虐待になる前に子ども総合センターに相談しようと思います。
それから、子どもが言葉にできない苦しみを抱えているときは、表情や態度、行動、全体の様子からすぐに気づいてあげられる大人になりたいと思います。
 
そのためには目の前にいる子ども、親をよく見ること。
無神経な言葉で傷つけてしまった8年前の中学3年生に今も心の中で謝りながら、「出会う・寄り添う・つなぐ」役割を担える自分になりたいと、努力を続けています。
今度こそ、「旅立ちの春」を気持ちよく見送れる自分になりたいと。
 
その「旅立ち」は、虐待を受けた当事者にとっては「再出発」かもしれないなあと、これも前号のメルマガで紹介した橋本隆生さんのYouTubeチャンネルを見て思いました。
はしもとりゅうせいのページ
https://peraichi.com/landing_pages/view/84ryu/
 
2024年度は児童虐待根絶に向けて、私たちにできること、やるべきことを考え、行動に移す出発の年にしたいと思います。
レインボーリボンも新たな「旅立ち」です。
(代表・緒方美穂子)
 
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第2回「「イノベーションの肝はボランティア精神の徹底」
https://youtu.be/h3Sf5nPj9Zs
 
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