見出し画像

癒やしの「にゃーめん」を出すお店。人生に疲れちゃったらここに来よう。短編小説。

「私はギャンブル依存症なのかも知れない」

と膨れ上がった借金の数字を見ながら
ワナワナと震えている。

男の名前はコイケ(仮)37歳

若い頃から
パチンコ、競馬にハマり
プロ並みの才能がある事に気がつく

だが仕事も辞めて
夢中になった
オンラインカジノで
大きな損失を出してしまう

負けが続いても
勝ちの日が時折来るため
心が折れずに続けてしまい

気がついたら
数千万円の借金が残る

すでに、家族や友人には
愛想を尽かされた状態である

露頭に迷うような足取りで
街を彷徨う

そんな中

ふと目に入る看板の文字

人生に疲れてしまったら癒やしの「にゃーめん」はいかがでしょうか?

お腹なんかは、全く空いていないが
「人生に疲れた」「癒やし」という言葉を頼りに

お店に入ってみる

店内には
静かそうな白髪の老人が佇んでいる

すっと静かに出される
メニュー表

そこには

・にゃーめん
・にゃーはん
・ひやしにゃーめん始めました

の文字が

そして、価格も書いていないのだがそんな事も見ずに

とりあえず

「にゃーめん」ひとつ
と注文してみる

すると「へい、おまち」と老人店主から

にゃーめんが運ばれる

「私の人生は女で狂いました」

58歳
その男サトウ(仮)は

親から、譲り受けた町工場を営みながら
趣味であるバイクの改造に情熱を注いでいた

そんな中
たまたまお客さんとの飲み会の帰りに寄った
ガールズバーで

22歳のキラキラした女に
夢中になる

そして、その女の言う通りに
お金を散財してしまう

気が付いたら
大好きだったバイクは全て売却
女も音信不通

女への怒りも
警察にも
届かず

自分への腹立たしさと
後悔がぐるぐると頭を巡る

そんな中

ふと目に入る看板の文字

人生に疲れてしまったら癒やしの「にゃーめん」はいかがでしょうか?

お腹なんかは、全く空いていないが
「人生に疲れた」「癒やし」という言葉を頼りに

お店に入ってみる

店内には
静かそうな白髪の老人が佇んでいる

すっと静かに出されるメニュー表

そこには

・にゃーめん
・にゃーはん
・ひやしにゃーめん始めました

の文字が

そして、価格も書いていないのだが
そんな事も見ずに

とりあえず

「にゃーめん」ひとつ
と注文してみる

すると「へい、おまち」
と老人店主から

にゃーめんが運ばれる

「新しい旅立ちには、往々にして期待が膨らむものだ」

43歳
その男クドウ(仮)は

輸入家具を扱うお店を小さいながらを
ようやくスタートする事が出来た。

元々好きな家具を
お求めやすい価格でお客様に提供する事で

お客様の笑顔が溢れる

そんな幸せが
くどうの原動力となっている

しかしながら
経営は大変で
円安による利益の減少
競合による売上の減少
思ってもみなかったお客様からのクレーム
が重なり

悩む日々が続く

そんな折
融資を受けようと資金繰りに走っている中
無情にも銀行から断りを受けてしまう。

ひとりで悩む日々

ふと
目に入る看板の文字

人生に疲れてしまったら
癒やしの「にゃーめん」はいかがでしょうか?

お腹なんかは、全く空いていないが
「人生に疲れた」「癒やし」という言葉を頼りに

お店に入ってみる

店内には
静かそうな白髪の老人が佇んでいる

すっと静かに出される
メニュー表

そこには

・にゃーめん
・にゃーはん
・ひやしにゃーめん始めました

の文字が

そして、価格も書いていないのだが
そんな事も見ずに

とりあえず

「にゃーめん」ひとつ
と注文してみる

すると
「へい、おまち」
と老人店主から

にゃーめんが運ばれる

「ホストが心の支えのはずだった」

28歳
その女ヨウコ(仮)は

18歳で地方から出てきて
美容師となり慎ましく生活していた
ところ

たまたま
美容室に来た
ホストAにハマってしまい

今は風俗店で稼いだお金を
全て貢いている

私がいないと
彼が1位になれないから
と言い聞かしてはいるものの

何回も訪れる他の女との修羅場や
ボロボロになっていく身体に
限界を感じる日々を過ごしている

そんな中

ふと目に入る看板の文字

人生に疲れてしまったら癒やしの「にゃーめん」はいかがでしょうか?

お腹なんかは、全く空いていないが
「人生に疲れた」「癒やし」という言葉を頼りに

お店に入ってみる

店内には
静かそうな白髪の老人が佇んでいる

すっと静かに出される
メニュー表

そこには

・にゃーめん
・にゃーはん
・ひやしにゃーめん始めました

の文字が

そして、価格も書いていないのだがそんな事も見ずに

とりあえず

「にゃーめん」ひとつ
と注文してみる

すると「へい、おまち」と老人店主から

にゃーめんが運ばれる

「子供は大好きだけど」

40歳
その女マミ(仮)は

二人の子供を持つ主婦で
現在、夫の浮気と金の問題で悩みを抱えている

男と女の薄情さは
なんとなくわかるとしても

夫が勝手に作った借金まで背負って
子供達を育ていく事が出来るのか

そして、借金問題が解決しても
夫婦関係はもはや続かないのでは

と悩みは日に日に増していく

そんな中

ふと目に入る看板の文字

人生に疲れてしまったら癒やしの「にゃーめん」はいかがでしょうか?

お腹なんかは、全く空いていないが
「人生に疲れた」「癒やし」という言葉を頼りに

お店に入ってみる

店内には
静かそうな白髪の老人が佇んでいる

すっと静かに出される
メニュー表

そこには

・にゃーめん
・にゃーはん
・ひやしにゃーめん始めました

の文字が

そして、価格も書いていないのだがそんな事も見ずに

とりあえず

「にゃーめん」ひとつ
と注文してみる

すると「へい、おまち」
と老人店主から

にゃーめんが運ばれる

たまたま入った
にゃーめんの店のカウンターに座る5人

それぞれ
周りを気にするような状態ではない

タイミングよく
5人同時に
運ばれてきた
にゃーめんをみる

にゃーめんを
ずっと見つめる
5人

すると
そのうちの1人である

コイケが急に立ち上がり

おいおい
こんなんで
癒やされるか!


お店を出て行ってしまう

他の4人も
我に帰ったように

コイケの行動に合わせるように
慌てて出ていってしまう

残される
にゃーめん達

コイケや他の4人は
あの店を出た後も

もちろん
悩み続けていた

その内の1人
クドウはこう考えていた

断片的ではあるが

にゃーめんが
頭をよぎる事が何度かあり

ねこが可愛い?

そんな感情なんて
今は全く起きないはずなのに

なぜか気になる

私にとって
にゃーめん
とはなんだろう?

たまたま
出合った
にゃーめんとは

何か縁があるのかもしれない

ただ、それが
何かはわからないが

とりあえず、明日また
お店に行ってみよう

と決意した。

そして、他の4人も
そんな事を考えていたのであった。

翌日
ちょうど同じ頃

昨日の人々が
再び現れる

昨日の
無礼にも帰った事など
微塵も気にせずに

ヨウコ
サトウ
マミ
クドウ

が入ってカウンターに座る

店主は
何も言わず

メニュー表を渡す

すると
しばらくして

コイケも入ってくる

そして一言

にゃーめん大盛り
って出来ますかね

と店主に頼む

すると
他の4人も
私もそれで!
と頼みだす

それに対して
店主がひとこと

ヘイ喜んで

と返事をする

そして、運ばれてきた
にゃーめん大盛りを見て

コイケが
ヨウコが
サトウが
マミが

そしてコイケが

全力で笑顔になる

この5人は
何かのきっかけが欲しかったのかも
知れない

けして状況は
良くなってはいないが

にゃーめんの可愛さと

たまたま
縁があって
ここにいるという事は

辛い日々が続く毎日を
乗り越えるきっかけになるかも知れない
という決意を込めた

無理矢理の
とにかく全力の笑顔だった
のではないでしょうか?

そして
そんな姿をみた店主も
笑顔になる。

終わりに

にゃーめんタイムの後
5人が、お互いに向きあい
話をしている姿がありました。

「今度は、にゃーはんに挑戦しようかな」。




みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!