ラーメン

今まで一人の食事というものには、本当に気を遣ったことがなかった。
適当に空腹を満たせたら良かったし、自分の為だけにお金を使うことに罪悪感があったから。
でも今日、初めて一人でラーメンを食べに行った。
ラーメンを食べたかった。ただそれだけ。
その欲を満たすためにラーメン屋に一人で行った。

一人で行って、一人でテーブル席に座り、餃子とラーメンを頼んだ瞬間、
幸福感でいっぱいになった。

そこには私だけの「自由」が溢れていた。

何を食べても、どこに行っても、なにをしてもいい。
好きなものを食べてもいい。

私が私を許せた瞬間だったと思う。

まず餃子が運ばれてきて、自分が好きなようにタレをまぜて
自分が好きなように、綺麗な食べ方とか意識せず食べた。
頬張ったって、口を大きく開けたって、誰にもとやかく言われない。
頬張った瞬間、咀嚼した瞬間、私は私だけの幸福でいっぱいになった。

自分に優しくなれたこと、自分を大切にできたこと
自分が食べたいものを食べさせれたこと
自分を許せたこと、それらが一気に押し寄せて一人ラーメン屋で
泣きながら餃子を食べた。

そもそも、自分になぜ優しくできなかったのか。
きっとそれは家庭環境のせいだったと思う。

思えば、「楽しいこと嬉しいことは家族で共有しなければいけない」「幸せなことを独り占めしてはいけない」という暗黙の了解があった。
だから、美味しいものは家族としか食べてはいけない。
ひとりで美味しいものをひとりで楽しんではいけない。
それが呪いのように幼い時から私を縛っていた。

だから餃子を食べた瞬間、それから抜け出していいんだと
私は私を甘やかしていいんだと思えた。
私は私を甘やかして、許して、大切にしていいのだ。
寧ろしなくてはいけない。

「しなければいけない」ことは、
「自分を大切にする」それだけだった。

これからもたくさん止まる。
たくさん自分をまた責めて、傷付けてしまう。
呪いを解くには時間がどうしてもかかる。
だけど、止まる度に思い出していけたらと思う。

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