私的「北海道に来たらこの回転寿司を食え!」

よく、全国放送のテレビ番組で北海道の回転寿司が取り上げられることがある。その度に思うことがある。
「その店、行ったけど個人的にはイマイチじゃね!?やっぱあの店だよ〜」って。
てなわけで、今回はグルメにガラリと方向転換して、道内「お高い系(※1)」回転寿司の比較をしていきたいと思う。

北海道に来たら!今や定番「トリトン」(北見)

コンセプト:王道系、東京進出系
店舗展開:やや多い
メニュー:種類少なめ
混み具合:激混み


いつからか、多くの道外・海外旅行客が北海道旅行の際には外せない行先となったのが「トリトン」だろう。
確かテレビ番組で取り上げられ始めたのが始まりだっただろうか。今では東京ソラマチや池袋にも進出する、「北海道発・東京進出系(※2)」回転寿司だ。
インターネットで調べると、軒並みおすすめにトリトンが出てくるくらい、「北海道の回転寿司ならトリトンが一番」というイメージが旅行者の中では定着しているようだ。

札幌駅周辺の2店は毎日昼夜飯時には大混雑を極め、2〜3時間待ちなんてのはザラだ。おまけに殺到しすぎてか順番予約も休止中である。

レンタカーがあるなら少し郊外に出るのもおすすめ。伏古や江別、厚別、清田、最近では手稲にも進出したので行けるなら周りと違う発想をした方が早く入りやすい。
車はないけど外れに行きたい人は栄町や手稲、平岸、江別あたりがJR、あるいは地下鉄駅から近くておすすめだ。

人混みが嫌いな人は「北8条光星店」「円山店」「豊平店」は絶対に避けるべき。多くの観光客がタクシーを使ってでもこれらのいずれかに行く。ひどい日は10:00から並ぶことも。

また、食事時間を選ばないのなら14〜15時頃を狙うのもおすすめ。事実、土日のこの時間でも手稲店はまだ知名度が低いからか、30分ほど待てば入れた。夜は20時くらいに行けばちょっとはマシだろう。ただし待ち客が多すぎて早めに受付終了のパターンもあるので注意。

そんなトリトンだが、実はオホーツク管内の海なし自治体だった(※3)北見市が起源となっている。現在も北見市に本社を構え、北見市内2店舗と遠軽町に1店舗ある。さらには旭川にも店舗がある。
ぜひ発祥の地でこそ!という変わり者(?)はオホーツク旅行がてら北見で食べるのもまた一興だろう。

個人的には、他店よりもメニューの種類が少ない気がする。基本のネタは揃っているが、アレンジメニューの少なさが物足りなく感じる。個人的には5〜6皿で一通り食べたいネタを食べ終えてしまう印象だ。
季節ものの高級ネタ三貫などを売りにしてるようなので、軸足はそっちに向いてるのかと思う。それにしてもどのネタをウリにしているかがわからない。
味や質に関しても、良くも悪くも普通に感じた。サーモンは普通に美味しいし、しっかり「デカネタ(※4)」だ。
結論として、そこまで人々が言うほどずば抜けているとは感じなかった、というのが正直な感想だ。私なら、他の店を勧めるかもしれない。
ただ、これはあくまで個人の感想なので、気になる人は自分で確かめた方がいい。好奇心を大切に。

寿司の王道を行く!「根室花まる」(根室)

コンセプト:王道本格系、東京進出系(積極的)、演出系(特に強い)
店舗展開:多い(他業態含む)
メニュー:種類少なめ
混み具合:特定の店舗で激混み傾向


トリトンと並んで観光客に人気なのが「根室花まる」だ。その名の通り、根室市を起源とし、根室近郊のネタにこだわっている。この店のコンセプトとしては次のとおりだ。

回転寿司の王道を
四季折々の旬の魚を厳選し、地元根室ならではの魚介を提供。 回転寿司といえども、いたずらに創作に走ることなく根室の素材を主力の商品にする。 オリジナリティーを失うことなく「寿司の本流」から離れず 「より本物に近づく」。

寿司屋の王道のど真ん中で勝負をする花まるの個性は、 あくまで正統派。

https://www.sushi-hanamaru.com/intro/brand.htmlより引用


このように、「正統派」を謳っており、無闇にアレンジ寿司にこだわらず、素材をそのまま握りにするか、あるいは薬味や炙りを加えるだけというスタイルを大切にしている。そのためメニューは少ないが、根室や道東のネタを高品質で味わうことができるという特徴がある。
また、この路線ゆえか、4強の中では唯一、タッチパネルが未だ導入されていないことに注意したい。
他店よりもやや高級感のある印象だ。

花まるのウリ「二階建てホタテ」。繊維がわかり、歯応えのある食感が特徴的だ

この店のウリはなんと言っても「二階建てホタテ」だろう。「ざわつく金曜日×かまいガチ」のコーナー内でも堂々の売上1位として紹介された。
ほかにも「へべす(※5)しめさば」や「炙りえんがわこがし醤油」、「ぐる剥きボタンエビ」など、特徴的な商品が豊富だ。
そして、他店にはないのが「オープンキッチン」である。ネタの切りつけをカウンター越しに見ることができ、子供達も興味津々なんだそう。

花まるは同じ寿司でも複数の業態で店舗を展開している。お馴染みの「回転寿司〜」に加えて、立ち食い系やいわゆる「回らないお寿司」の店舗もある。このほかに焼き魚や海鮮丼をウリにした「できたて屋」もあり、現在注力しているのはできたて屋や立ち食い寿司の東京展開である。
花まるもまた「北海道発・東京進出系」の回転寿司であり、複数ブランドの展開が特徴的である。

トリトンと花まるの混雑は特にひどいと感じるが、花まるに関しては中心部の「ステラプレイス店」の混み具合が特に顕著だ。
昨年9月の平日昼に行ったが、35〜40組、2時間ほど待っていた。待ち客の中にはキャリーバッグを持っている人もいた。
この店舗に早く入るにはコツがある。10:00から整理券を取れるのでそれに目掛けていくべきなのだ。
そうなると人々は「次に近いのはどこだ!?」ということでチカホの「ミレド店」を選ぶ。
何が言いたいかというと、都心部の店を利便性で選ぶと大変なことになるのだ。
しかし、郊外もなかなかアクセスしにくい。唯一交通機関で行けるのは「南郷店」くらいだろう。そんな時は先ほど取り上げた、他業態の店に行くやり方もある。

ここからは行った感想だが、二階建てホタテはとても美味しかった。普段はホタテをオーダーしない自分も迷わず頼むくらいだ。あの繊維がわかる歯応えが新鮮さを物語っている。
へべすしめさばは独自性があるが、酢締めに慣れている人々からすると少し抵抗があるようだ。個人的にも一番ではない。
一番注意して欲しいのは、手稲前田店だ。あんまり対応がよろしくなかった。Google口コミにも一部似たような書き込みがあったので、ご留意願いたい。

昔からあるグルメ系回転寿司!「なごやか亭」(釧路)

コンセプト:超グルメ系、演出系
店舗展開:多い
メニュー:変わり種系も豊富
混み具合:普通、飯時は待つ

我らが釧路発祥、「なごやか亭」である。おそらく4強の中でもかなり歴史のある方と思われる。「超グルメ系回転寿司」を謳い、古くからデカネタに取り組んできた。
また、なごやか亭といえば「こぼれいくら」だろう。パフォーマンスありを選ぶと、目の前で太鼓を叩き、「よいしょー」という掛け声と共に軍艦にいくらをかけて提供される。
メニュー面では変わり種が充実しており、長く楽しめる。地元釧路ではお馴染みの「かしわぬき」や「そば寿司」も食べることができ、札幌や帯広にいながらも釧路を堪能できる。

札幌では店舗数が多いために客を分散できているようで、先に挙げた2社ほどの大混雑は聞かない。帯広や釧路にも各エリア4店舗ほどあるので人口を考えればそれなりの分散は図られていると言える。
また、珍しく滋賀県に1店舗構えている。なぜ滋賀なのかはサッパリわからない。(情報提供募集中)

母体が飲食業展開の会社であり、焼肉屋「ぼくぜん」をよくなごやか亭の隣に出店する例が見られる。釧路市内にはとんかつ屋さんもあり、2回行ったが美味しかった。キャベツご飯味噌汁おかわり自由がいいのと、椎茸フライ最高。(すっかり脱線してしまった。笑)

個人的には3年前の昭和店訪問以来、ご無沙汰している。普通に美味しい寿司屋という認識だ。
しかも、昨今の円安により値上げされたことで、サーモンが一皿二貫で税込300円ほどになってしまった。他店と比べても高く、加えて鮭の不漁や日露関係の悪化も絡み、名物のこぼれいくらも一皿二貫で税込1200〜1300円ほどになってしまった。これでは到底手は出せない。パフォーマンスもコロナ禍で休止されたきりだ。(再開されてたらごめんなさい)
私としては進んで行く店ではないが、あちこちに店舗があるので行きやすいのと、メニューの幅は広いのが特色だ。100円寿司よりはもちろんマシなので気になる方はぜひ。

私イチオシ!知名度劣れどサーモンが旨い!「まつりや」(釧路)

コンセプト:釧路発、デカネタ
店舗展開:少なめ
メニュー:特にサーモン系の変わり種が豊富
混み具合:店舗数の事情から飯時は混雑

いよいよ、私がどんな回転寿司屋の中でも一番満足したお店、「まつりや」を紹介する。
なんといってもここのウリはデカネタサーモン。運がいいとさらに大切りで出てくる。今年の3月に行った際はまさに大当たりだった。
ここも釧路発祥とあって、「かしわぬき」や「ザンギ」がメニューにある。
特にザンギは他店と比べても、回転寿司屋とは思えないデカさである。寿司と共に思いっきりデカいザンギを食べて釧路に行った気になるのがおすすめ。

まつりやのサーモン。競合よりもひときわ大きく、期間限定でより大きく提供されることも。
ザンギ。競合よりも大きく、サイドにも力を入れていることが伝わってくる。



運営元が有限会社、つまり小規模企業なので、他3社と比べると店舗数では劣る。しかし、店が多すぎても等しく良質なサービスが提供できなくなるため、店舗数の少なさはある意味デカネタを維持するための強みであると言える。

そんなまつりやも、札幌圏で店舗をさらに2つ増やす計画が最近浮上し、話題となっている。以下にリンクを貼付する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC231HM0T20C23A5000000/

店舗数は少なく、札幌3、帯広3、釧路3となっている。十勝エリアと根室には系列店があるのでこれを含めるとさらに増える。4強で唯一、道外出店をしておらず、地元密着を地で行くスタイルだ。ただ、将来的には道外も見据えているらしい。
札幌の人口197万人に対して3店舗は競合よりも少なく感じ、規模に見合っていない印象を抱く。今後の店舗増加でもう少し分散を図れたら、行きやすくなると思われる。

他3店に比べて知名度で劣り、Instagramや Twitterで「札幌回転寿司おすすめ!」とあっても紹介されないパターンが多い。その分比較的穴場であることがメリットだが、札幌の店舗は旅行者にはやや行きにくい場所(※6)にあることも関係しているのだろうと考察する。
特に山鼻店にいけばわかるのだが、地元テレビ局のアナウンサーやタレントのサインが飾られているので味や知名度は確かだ。

個人的に気に入っているのは「仁王〆さば」だ。釧路あるいは道東産のサバを浅締めしているのが特徴だ。この締め具合が私はお気に入りであり、どの寿司屋の〆さばの中でもダントツの一位だと言える。
生だとアニサキスが怖いし、締まりすぎてると固くなりすぎておいしくないと感じる私にとっては理想的だ。ある意味「釧路ならでは」を味わえるのでぜひ食べてほしい。

仁王〆さば。どこよりも群を抜いて美味しい。青魚好きにはおすすめ。


冒頭にも書いたが、この店はサーモンをウリにしているので、サーモン好きな人々、特に女性や子供にはうってつけだろう。アレンジ系でも「オニオンサーモン」や「魚醤漬けサーモン」、もちろん「サーモンアボカド」もある。
サーモン系のラインナップは競合よりも豊富で100円寿司にしかないようなメニューも高品質で食べられる。
個人的に残念なのは海老マヨがないこと。しかし、エビサラダという名前の類似品があるのでそんなに落ち込んでいない。ただ、店によって生エビかボイルエビかの違いが出てしまう。ちなみに私や家族は生派だ。

私は現在釧路に暮らしているため、基本は自宅近くの「木場店」、帰省した際には「山鼻店」を利用する。
小樽なんだから新琴似の方が良くない?と思う方に説明する。
昨年9月、新琴似店に行ったのだが、日曜夜で2時間待たされた挙句ネタ提供が遅く、当時はタッチパネルも導入されていなかった。ボックス席をフル稼働できておらず、店内も狭く感じた。そんなことがあってから近さが絶対基準ではなくなり、2番目に近い山鼻店に行くようになったのだ。
木場店に関しては、店員さんを囲む従来のスペースと、自動レーン+ホールさんによる配膳のスペース(※7)に分けられている。
山鼻店はマンションの一階部分にあるため、車の出入り口が狭く、入りにくいので注意。

ちなみに新琴似店に限らず、どの店でも飯時は混むので時間を外すことを意識しよう。木場店へディナーに行くときは16:30くらいに入ることもあるが、スカスカである。これが30分ずれるだけで土日は致命傷だ。特に札幌では要注意。Eparkへの会員登録が必須だ。

まとめ

以上、私見に基づき道内4大回転寿司をレビューしてみた。辛辣すぎる意見があったり、言いたいことが多すぎて長くなってしまったが、最後まで読んでくれたら嬉しい。
写真に乏しいのは許して欲しいが、どの店にもそれぞれのいいところがあり、皆さんが何を重視するかでおすすめの店が変わってくる。ぜひ自分が求める価値観を考えた上で推しの店、行ってみたい店を決めて欲しい。
そして、行くときは可能な限り「穴場立地を攻める」と「時間を外す」ことを意識して欲しい。せっかちな人には特に推奨する。待てる人も気持ち早めに行くとよい。
いろんなご意見、ご感想、もろもろお待ちしております。

※1 スシロー、はま寿司、魚べいなどの100円寿司と比べて相対的に高い価格帯(130円前後〜1000円のところも)であることから筆者が勝手に定義した言葉である。
※2 北海道で創業した回転寿司屋のうち、東京にも出店している店に対し筆者が勝手に定義した言葉である。
※3 2006年3月5日、旧北見市は旧留辺蘂、端野、常呂町と合併して新北見市となった。このうち旧常呂町は海に面していたため、合併により北見市は海に面する市となった。
※4 100円寿司と比べて大きく、厚く切られたネタをこう呼ぶ店がここ15〜20年で増えてきている。北海道独特の文化としてケンミンショーでも取り上げられた。シャリよりネタが大きく、ネタが皿に接地するサイズであることが特徴だ。
※5 緑色の皮をした柑橘系の果実で、すだちやカボスの仲間である。希少価値が高く、主に徳島県付近で採れる。
※6 山鼻店は市電のちょうど間にあたる石山通沿いにあり、地下鉄からも少し歩く。新琴似店もJR駅から距離がある。住所としての新琴似は広大だ。菊水元町店もJRや地下鉄から遠い位置にあり、いずれも交通機関では不便な場所にあり、どうしてもという時は路線バスかタクシーを使うしかなさそうだ。
※7 サイドや軍艦などはレーンで来るが、握り系は従来のレーンで職人が握ったものをホールが配膳してくれる。BOX席を選ぶと自動レーン席に通される。イメージとしては魚べいやはま寿司に近い。



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