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学生最後の珈琲のような旅②

2日目も元気にスタートとは行かず、寝坊した。8:00に出発する予定が8:00に起きてしまった。

急いで準備し、チェックアウト。同行者に詫びて昨日入れなかった道後温泉の本館へ向かい、それぞれ別の暖簾をくぐって館内へ。修復工事中だったため、外観は見えず、館内も立ち入れる範囲は限られていた。しかし、その少しの範囲でも木造の古い建物を楽しめた。浴場は半地下になっており、狭い階段を降りていく。令和の世であるが、明治に戻ったような気分だ。

平日の朝から温泉に浸かるような人は少なく、ゆったりと過ごせる。風呂から上がったら、愛媛らしく伊予柑のジュースを冷蔵庫から取り出し、フロントで精算してもらう。栓を抜いて勢い良く飲んだら、風呂上がりのホカホカしたところに気持ちよく溶け込んでゆく。果汁100%であり、伊予柑をその場で絞ったような贅沢さだった。

瓶が空になったところで外へ出て同行者が出てくるのを待つ。本館のすぐ横は丘になっているので登ってみる。

私の目論見通り本館を見下ろせるようになっていた。しばらくして同行者が玄関口から出てくるのが見えたので、下って合流した。


商店街で朝食を済ませて松山観光へ。路面電車に乗って市街へ繰り出す。旧型の車両だったのでボッボッボという独特な音がして、ジブリに出てくる不思議な乗り物のようだった。

伊予鉄の松山市駅で降車し、坊っちゃん列車ミュージアムへ。1号機関車のレプリカや多数の模型が展示されており、明治の空気感が再現されていた。


それからじゃこ天を食べたりしてから見てみたかった愛媛県庁を訪れ、県庁前の停留所から再び路面電車に乗って道後温泉に戻った。既にお昼になっていたが、ここから丸亀まで走る。今思えばなんと無茶なという計画だがうどんを食べに行ったのだ。

松山自動車道をひたすら西へ走り、丸亀についた頃には16:00になっていた。もはや昼ご飯というレベルではなかった。店に入り、注文してしばらくすれば出てきた。

今まで讃岐うどんと言えば丸亀製麺やはなまるうどんくらいであったが、本場の讃岐うどんを食べると全くの別物に感じた。程よく出汁を吸って良い香りが広がり、麺の中心部分はコシがしっかりしているためモチモチしている。一緒に出てきた唐揚げも衣はカリッとして、肉は柔らかく非常に満足であった。

さて、日も傾きつつあるため、うどん屋を後にして関西を目指す。坂出で進路を北に取って瀬戸大橋を渡る。橋に向けて徐々に高度を稼ぎ、眼下の埋立地には大量の工場がひしめき合っていた。白い何本もの主塔が徐々に近づき、橋台を越えると路面の繋ぎ目が大きな音を立てるとまたも海の上を飛んでいた。途中の与島SAで一度下りる。グルグルとランプウェイを降りていく。


与島からは四国と渡ってきた瀬戸大橋を見渡せ、島の多い瀬戸内海に太陽が沈んでゆく。旅の終わりを告げるように日は海に没しようとしていた。

日没を見送ると後はひたすら高速を関西へと辿るだけだ。結局3時間ほどで帰ってきてしまった。

同行者を家まで送り、私はひとり大阪へ戻る。4月からは関西を遠く離れてしまうという悲しさと、リセットの寂しさが漂っていた。

・・・

さて、あれから時間が経ったが、相変わらず私は一人で車を駆って旅を続けている。経ヶ岬から潮岬までその全てが私の行動圏に収まろうとしている。大した面積ではないが少しずつその解像度を高め、自由に移動できるようになりたい。


さぁ、明日はどこに行こうか。

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