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ルイス・キャロルの人物像に迫る!ー彼のボドゲ製作の手法からー(1)

画像は、すべてこの書籍から引用しました。使用している画像は、私の記事とは直接には関係ないです。
The Universe in a Handkerchief by Martin Gardner(邦題:ルイス・キャロル 遊びの宇宙)

ルイス・キャロルのワードパズル&ワードゲーム、そしてついでにちょっとボードゲームも紹介している本「ルイス・キャロル 遊びの宇宙」(マーティン・ガードナー著)。この本の中にはボードゲーム「Lanrick」が紹介されています。

実はこのLanrick、ルイスキャロル本人が「Natural Selectionを改良したものだ」と日記に書いていたのだそうです。確かにLanrickとNatural Selectionとはよく似ているゲームです。
そして、マーティン・ガードナーがこの本にNatural Selectionを載せなかった理由も当然のことに思えます。だって、こっちのLanrickは改良版なわけですから。

でも、余計に疑問が強まります。なんで私が1985年頃に読んだ本の著者は、Natural Selectionのほうを図解まで添付して、丁寧に日本語訳して紹介したのでしょう?
こんな具合に過去を掘り起こしてみると、実はとても「奇妙な事」だったんだと気が付いてしまいました。1985年当時に書籍名をちゃんと記録しなかったことを今は後悔しております。

さて、マーティン・ガードナーさんは、ご自身の著作「ルイス・キャロル 遊びの宇宙」でLanrickを紹介するにあたり、特に自分の意見やコメントを述べず、淡々と創作当時の紙面写真データを4枚連続で載せただけで済ませています。扱い方がとても軽い印象を受けました。
Lanrickの紹介は巻末近くに位置しているし、もしかしたらコメントを書きたくなかったのかなあ、と勘ぐってしまいます。(実は、このゲームのことが嫌い?)
さて、その一方で、ルイス・キャロルさんは、友人にむけた書簡でこんなことを言っています。
「(前略)つまり、メインの肉と、デザートのプリンとどっちを先に食べる?みたいな事なんだ。プリンを先に食べちゃうよ、と答えるかもだし、あるいは両方を同時に食べるなんて言い出すかもしれない。そんなわけで、君が(Lanrickゲームの)改良のアイデアがあるならば、ぜひ教えて欲しいんだ。」

これを読んだ時に私が感じたことを申します。
ゲームのルールをどう改良するかの決定権は、ルイス・キャロルという人物は、完全に他人任せにしていたんじゃないか。
ルイスキャロルは、自分が楽しむために作ってるんじゃない。他人がLanrickで楽しく遊んでいる姿を見た時にこそ喜びを感じる。そんな位置づけだったんだろうなあと、おぼろげながら感じるのです。

Lanrick 2 players
(Jan.1879:Natural Selectionを母体とした初代ルール)
勝利条件:
5個ある対戦相手のコマを0個まで減らしたら勝ち。
用具:
白5 黒5 合計10個のコマ。
コイン1枚(マーカー)
サイコロ1個と、サイコロを振るためのダスカップ
チェスボード 1台
*外周部分の28マスを「ボーダー」と呼び、それ以外の36マス部分を「フィールド」と呼ぶ。
*コインを中心とする3x3のエリア(全部で9マス)を「ランデブー」エリアと呼ぶ。
準備:
互いにサイコロを振り、大きな数を出したものが先手。
(第一ラウンド開始の前)
交互に1つずつ、自分の色のコマを任意の「ボーダー」のマスに置いていく。10個の全てのコマが置き終わるまで繰り返す。
今度はダイスを2回振る。ダイスの目に従い1回目をタテの数字、2回目をヨコの数字と考えて
「6x6のフィールド」の中、サイコロが示した座標位置にマーカーを置く。
予備知識:
コマを動かす制限の説明:

コマの動きは基本的には「チェスのクイーン」と同様の動き方をする。
しかし動ける距離は制限がある。いつでも「移動力」は6マスぶんしか動けない。
ラウンドに関する制限の説明:
このゲームは、ラウンドを何回か繰り返しながら勝利条件をめざす。
遊び方:
普通に交互にコマを動かす。以下の通り。
自分のターンでは、任意の、自分の色のコマを動かす。
コマの「移動力」は「6」。「移動力」すべてを1つのコマで使っても良いし、複数のコマに振り分けて使っても良い。
*注意:1ターンの中では、コマはまっすぐ直線状にしか動けない。

ラウンドでの勝利と、ラウンド勝利で得られるご褒美:
ランデブーエリアに、自分の色のコマ全てが入ったら、今回のラウンドの勝利者。勝利者には以下のご褒美が与えられる。
●ランデブー内にいない、任意の相手のコマ1つを除去できる。
次のラウンド開始のための準備:
ダイスを2回振って、さきほど説明した要領で、コインを置きなおす。
この時、新しいランデブーエリアに、現状でのコマがすでに入っている状況なら、ダイスを振り直す。
直前回のラウンドの勝者が、次のラウンドでの先手になる。


ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。