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「ナインタイル」数学的には×、商品としては〇(2)

Oinkgames社の傑作についての記事。前回からの続きです。

ということは「一見ランダムみたいに見える」、でも、数学的観点からみると「理論面では整然と選ばれたカードセット」を作らなきゃいけません。

その点について、ラジくまる的に考察してみました。

おかげさまで、さきほど「ダメなセレクション(カード設計方法)」を試したことが大きなヒントになります。そこから選びかたの規則性が見えてきます。

「左端のカード3枚たち」で使われなかったマークは、あと「2種」残っています。この2種が必ずカードの表と裏とでペアになる組み合わせを1つ作ります。
*表ではうっすら黄色くしたところに入れました。

たった今、「最初の3枚で使われなかったマーク2種」を、「1回消費」しましたよね?
同じマークは3回登場するという規則があるので、それぞれあと2回、使わなきゃいけません。そこで、それぞれ2回ぶんを表に入れ込みます
*表ではうっすら緑にした部分が今説明したところです。

あとカード1枚分の空欄が残りました。この部分には表でいえば左の方の3つのカード、「マーク1を含むカード3枚」に入ってる3種のマークのなかから任意の2つを選んで、埋め込みます。
*表ではうっすら赤にした部分です。

ここまでの、黄色、緑、赤、の操作を実行すると、
「すべてのマークは3回使われなければならない」
「カードの表と裏は必ず違うマーク」
これら2つの規則を守る限り、うっすら緑の部分の「下半分に入れても良いマーク」は自動的に決まります。

こんな感じで、意外と短時間&簡単に10セットが完成してしまいました。

*注意:実際には下の灰色で引用したくだりのせいで「数学的に美しくない」解になる場合があります。

あとカード1枚分の空欄が残りました。この部分には表でいえば左の方の3つのカード、「マーク1を含むカード3枚」に入ってる3つのマークのなかから任意の2つを選んで、埋め込みます。
*表ではうっすら赤にした部分です。

この文中で「3つの中から任意の2つを選ぶ」ってとこがクセモノなのです。数学的に的確な組み合わせを選ばないと、完成品「10種のセット」のなかにカード重複事故を生じることがあります。
  重複事故:同じカードが2枚ダブること。(数学的には汚い解)
この記事は、作業手順全部をキッチリ論じ切っていない事をご承知おきください。

ともあれ、ナインタイルには大きなくくりで言えば10種類のカードセットが作れますよ。というのが結論となります。
(小さいバリエーションも含めれば数百種になっちゃうのかな?ということは無視しておいてください)

というわけですので、10組のカードセットで10人対戦用として新発売してほしい。という気持ちがあります。

ところが、その一方で、じゃあ現在市販中(4人用)のナインタイルと、今、私が論じた10種カードセット入り版の「10人対戦用ナインタイル」とを比べたら、どっちがゲームとして面白いんじゃ?
というゲーム(遊び・楽しさ)の観点で評価しますと、すっごい微妙なんです。

異なる種別のカードセットが10組あっても、それによってゲームが2倍3倍楽しくなるわけじゃありません!これはテストプレイした私が言うのですから間違いありません。

*試作したんかい?!との問いにお答えしましょう。
「はい、試作しました。雑なボール紙でのペラペラした試作品でしたけど。」

つまり、商業的な観点からみれば、この記事に書いた10人用ナインタイルは、発売すべきじゃないってことですよ。これがこの記事の表題に〇と✖と両方をつけた理由なのです。生産現場のコストも考慮しないといけませんよね。営利団体なのですから。

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。