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落とし物を拾って声をかける勇気


わたしは弱い。優しくない。
「落としましたよ」って声をかけることもできない。

どうして見過ごしてしまったのだろうと
道中、家に帰ってから、翌日も大反省。

昨日仕事帰り、電車を降りたら強い風に急な雷雨。
え〜聞いてないよ〜と思いながら、自転車に乗って帰るしかないので屋根の下で雨が止むのを待っていた。

前から男性が屋根の下に駆け込んできた。
折り畳み傘を一生懸命に畳んでいる。
わたしには見えた。屋根の少し外の道で雨に打たれている黒くて四角いものが。空は暗く雨も降って、なにかの影かゴミにも見えた。でもたぶんあれはスマホ。

全身ビチャビチャに濡れて折り畳み傘を畳む男性に、
「あれ落としてませんか?」と声をかけようかと思った。でもイヤホンをしている。声かけづらい。
しかもスマホかどうかの確信が持てない。
落としたところも見ていなかった。

「あ〜どうしよう、、、、!!!!!」
と思っているうちに男性は傘をしまって去っていった。
雨に晒され続けている黒い物体。
罪悪感満載。物だけでも確認しにいこうか。
降り続けるものすごい雨。
濡れるしなあ、なんて思ってしまうわたしはどれだけ自分が可愛いんだ。。。
もしあの人が落としてたらたぶんイヤホンはBluetoothで繋がってるし気づくよね。。。

もうそこまで思考が巡ってるなら拾いに行くなり、見に行くなり、声かけるなり、なんなりしろよ!!!
とあの時のわたしに言いたい。

エスカレーターに乗って行ったはずの男性が駆け足で戻ってきた。
「やっぱり!彼の!気づいた!そこ落ちてます!」
というわたしの心の声。
喉まで出かけて結局言い出せない。
再び雨の中に出て、スマホを探す男性。
「あーそっちじゃない!!」
違う方向に行く。キョロキョロして振り返る。
「見つけた!拾った!よかったああ!!」
雨に濡れたスマホを拭いて無事を確認する男性。
やっぱり最初から声かけたらよかったな、ごめんなさいと思った。無事手元に戻ってよかったけれど、これを書いている今も思っている。

どうしてわたしはこうなんだ。


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以前の話。
恋人とカフェに行った時。
遅めのランチだったので私たち以外にもう1組のご夫婦しかいなかった。
向こうのご夫婦が先にお会計に立ったとき、上着が椅子の背もたれに忘れられている!!
と発見したのはわたし。
「あれたぶん忘れてるよね?」と恋人に言うと、彼はすっと立ち上がって上着を取りに行き、お会計中のご夫婦にお忘れですよと渡した。

どうしてわたしは躊躇ってしまうのか。
どうしてわたしはこうなのか。

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昔、接客業をしていたときは、仕事中にお客様が落とした物などはすぐに拾って声をかけることができていた。

今思えば、それは「仕事」だから、「店員という立場」だったからできていたのだ。
偽善、サービス。
わたしの親切心からではない。

そんなことを考えていると昨日の躊躇いが余計に悔やまれる。幸いにも持ち主の手に渡っていたからよかったものの、いや、幸いにもと書いたが、もしかしたら雨に濡れてスマホが使えなくなったかもしれない。

もしかしたら、わたしは、スマホなら気づくからきっと戻ってくるだろうと予想して声をかけなかったのか。これが財布だったら声をかけられていただろうか。これがハンカチだったら。

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わたしにはとっさに声をかける勇気がないことを認めます。
でも次こそは、誰かが落とし物・忘れ物をしたとき、必ずすぐに拾って声をかけます。
とこの場を借りて宣言させてください。

わたしのちょぼっとの勇気が誰かの助けになりますように。がんばれわたし。

おわり

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