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クラフトとコーラ

 私の脳内サンバが止まらない。戦争やら食糧難、都市直下型地震、預金封鎖など数々の心配のフルコースを脳内で疑似体験したあと逃げ道がないという結論のもと「今を楽しもう」となり、もはや散財は避けられない状態になっている。フルコースのあとはデザートが必須である。と、いう事で初めてクラフトコーラというものを購入した。
 結構な値段である。ワンコインではあるが、高い方のコインである。ふつうのコーラが数本買えてしまう。だが何しろ物語がいい。数年前ビジネス番組で特集していたがコーラが大好きだった創業者が研究を重ね、薬屋だった先祖の知恵を活用して初めて手作りコーラというものを開発したのだ。もともとコーラというのは薬として販売していたのだから重なるものはある。それがこのクラフトコーラというものである。
  最近ではファストフードのチェーン店でも見かけるようになったが何故かお預けにしていた。ド級のチキンなのかもしれない。宣伝というものが「なじみ深さ」を意図としている理由が分かる。知らないものには人は手を出さないのだ。そして何度が目にしやっとチャンスが巡ってはきたが数百円の出費が大プロジェクトかのようななりとなる様子が自分の器の小ささを露呈しあきれたがチキンはチキンにしかなれない。便を移植すると腸内フローラが変わるらしいがそんな風に性格が変わる手法はないであろうか?ただ他人の便はお断りしたい。
 と、数年ブームから乗り遅れてからのライドではあるがチキンであり続けたゆえのトレードオフである。そして待ってましたの一口。どこかで味わったなぁと記憶をたどったが、しょうが湯を彷彿とさせた。正に和のクラフトコーラと思わせる品であった。
 クラフトや手作りといえばハンドメイド作品の事を連想させるが、以前ハンドメイドマーケットで魚の形をしたポーチを見かけた。外は魚のリアルな絵で中がなんと、ひらきのように骨やらが描かれているのだ。なんてクリエイティブなんだと感嘆したが最近そのアイディア丸パクリの商品をガシャポンで見かけた。購入してみると値段と比例するかのようにシャビーであった。その作家さんの承諾を得ているのかどうかは定かではないが、ビジネスというのは難しい。個人が精魂こめて商品にしたとしても大手に乗っ取られてはぐうの音も出ないのだ。安く気軽に手に入るというのは消費者にとっては嬉しい事ではあるのだが、作家さんがこの先もずっと自分で作った商品で生活できていて欲しい、成功して欲しいというのが個人的な願いである。なんでも消費するとそのきらめきがなくなってしまう。そんな作家さん個人のやる気のサスティナビリティーも企業は考えて欲しいと思う。クラフトも、そしてコーラも泡とならないように。

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