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楽園マップ8 海雲台(ヘウンデ)/プサン・韓国

2時間半の満ち足りた異国で、自分に向き合おう

世はK-POPブーム。週末にソウルに旅する人も飛躍的に増えました。ですが、私が韓国でおすすめしたい街はプサンです。ソウルに比べたらメジャーな観光地ではありませんが、韓国第2の都市で港湾の街、行ってみれば韓国における大阪みたいな街です。でも、大阪ほど大きな街ではありません。歩いた印象では、福岡より少し大きく、名古屋より少し小さいぐらいかと思いました。

でも、街は起伏がある港町で、綺麗なビーチと美味しい海鮮料理、どこまでもつづくような商店街があり、非常に多様な面を持った国際都市です。東京からわずか2時間30分、大阪なら1時間30分で着いてしまう、どこよりも近い外国であるプサンについて、日本人は多くを知りません。
なんにせよこの都市には美しいビーチがあるので、まずはヘウンデビーチについて紹介します。

ほぼ直線に1.5kmにわたる海雲台(ヘウンデ)ビーチ。

写真の通り、見通しの良い白浜のビーチが1.5km続きます。背後に高層ビルやタワーマンションなども多いので、ゴールドコースト? ハワイ? と一瞬錯覚します。そういえば日本には高層ビル×ビーチって組み合わせをあまり見かけないですね。ここがゴールドコーストかと疑ってしまうのは、オーストラリアと同じくカジノが合法な国、韓国。ヘウンデビーチには大きなカジノもあり、ビーチとカジノを往復しながら過ごす怠惰な週末も、まあたまには悪くないですよ。


家族、肌を焼きたい人、読書家におすすめのサマーベッド×パラソル。私も浮かれて借りちゃいました

私は恥ずかしながら、ビーチサイドにあるサマーベッドやパラソルを借りるのが大好きです。そうやって安全なビーチからのんびりと海を眺めるのは、本当に海が好きな人からすると邪道なばかりか、景観を邪魔する最悪なものかもしれません。でも、私は読書が大好きで、読書の中でもビーチサイドで読む本は最高なのです。これぞ、インドアとアウトドアを掛け合わせた趣味だと思っており、読書に飽きたら海辺で泳いでもいいし、この組み合わせが滅びないのには、それなりの理由があるのです。

特に韓国は週末の弾丸旅的な人気の高い国だと思いますが、であるならば、何も考えずにパラソルで一日過ごしてみてください。きっと、普段の様々な問題を整理するいいきっかけの日になること請け合いですよ。

プサンの麺といえば、ミルミョン。焼肉屋で出てくる冷麺と似てますが、かなりあっさりしています。旨みとさっぱりのバランス。

もちろんここは韓国ですから、お腹が空いたら韓国料理を食べましょう。この日は暑かったので、プサン式冷麺、ミルミョンをいただきました。冷麺とミルミョンはよく似ていて、プサンではミルミョンを食べる人が多いです。ミルミョンはいわゆる冷麺ですが、日本の冷麺との違いは、長い麺を店員さんのおばちゃんがハサミでちぎって食べやすいサイズにしてくれるところ。韓国のサムギョプサルも焼けた豚肉をハサミでチョキチョキ切って食べますが、あれと同じスタイルだと思ってください。このミルミョン、写真のようにあっさりしていて、食欲が衰えがちな夏でもペロリといけるのが特徴です。韓国では軽食として食べる人が多いのですが、私は美味しくて2杯食べて、夜ご飯が食べられなくなってしまいました。

ミルミョンがプサンで食べられるようになったのは諸説ありますが、代表的な話を紹介します。朝鮮戦争の頃、朝鮮半島ほぼ全てが戦場と化してしまいましたが、ここプサンは激しい地上戦をギリギリ逃れました。そのため、この地には朝鮮半島各地から避難してきた人が大量にいました。そして現在の北朝鮮から逃げてきた人たちが、地元の料理を再現しようとし、ある材料で冷麺を作ろうとしたのがきっかけだと言われています。一般的に、朝鮮半島の料理は南の方が辛く、北はあっさりしていると言われていますが、この料理があっさりしていたのは、北朝鮮がルーツだからかもしれません。現在のミルミョンは小麦で作られていますが、北朝鮮ではジャガイモや蕎麦粉を混ぜて作るものでした。上の写真の麺をよく見てみると、そばのような色をした麺であることがわかると思います。そう、このお店のミルミョンは、北朝鮮式のトラディショナルな製法だったのです。若い人には小麦の麺が人気あるよと言われましたが、私はあえてトラディショナルな麺を選びました。これがめちゃめちゃ美味い。また韓国に行ったら食べてみたいのですが、残念ながらGoogle Mapによるとつぶれてしまいました。読者の皆さんの中で、蕎麦粉やじゃがいもを使った麺で作るミルミョンのお店をご存じでしたら教えてください。

参考サイト:釜山の名物料理「ミルミョン」(PUSAN Navi)

海を見下ろすカフェ。韓国はお店でくつろいでもらおうという精神が強いのか、カフェは本当に嗜好を凝らしたものが多い。

海で遊んで、腹ごしらえした後は、カフェで一休みしましょう。ここは海雲台(ヘウンデ)の隣の広安里(クァンアルリ)のビーチを見下ろすカフェで、名前をByul Bedといいます。韓国、特にプサンをおすすめする理由は、この国がカフェ大国であること。ですがプサンは首都ソウルとは違い少し人も少ないため、ソウルよりもゆったりとした時間が流れていて、カフェで優雅な時間を過ごすことができるという特徴があります。座席が変わっていて、通常の席の他に、ソファ席、カウチ席、ちゃぶ台席、そして寝転びながら過ごせる席などもあります。コーヒーやフードは大したことないですが、このお店は味よりもこの環境にお金を払うと考えてください。私はこのカフェで海や橋や人々を眺めながら、3時間ものんびりしてしました。

プサンは特にビギナー向けの楽園であると言えるでしょう。ビーチ、カフェ、地元の料理、市場、美容系サービス(etc.エステ、アカスリ)、買い物、カジノ、本屋・ライブハウスなどカルチャースポット、等々がわかりやすく存在していて、それぞれがソウルよりこじんまりした街の中で調べればすぐにアクセスできる場所にあり、日本とそっくりの地下鉄で簡単に移動が可能だからです。

都市の魅力は1人になれることです。田舎にいれば、人の世話になったり、誘われたり、周囲の人とうまくやらないと生きてはいけません。一方で都市は、誰とも会わずに自分の世界に閉じこもることができます。よく、都会に疲れた、という話も聞きますが、都会に疲れるとは、都会の人間関係に疲れたという意味なことが多く、仮にスマホの電源を切って孤独を演出しても、どこかで自分が置いていかれているような焦燥感に駆られることにあります。その点、異国の都市ほど、自由気ままな存在はありません。第6号の伊佐知美さんも、インタビューで旅は自分と向き合うためだと言ってましたが、その向き合う時間を得るには、2時間半で到着する異国の都会というのは忙しい日本の大人が自分に向き合う場所として最適な場所だと思います。私も渡航当時、自分の会社を畳むか続けるかをずっと悩んでいて、この地でじっくり考えていたことがあります。

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