日本美術の殿堂!修善寺・新井旅館。百年名家の名に相応しい登録文化財の温泉旅館。

画像1 伊豆修善寺温泉にある新井旅館の天平風呂。温泉施設で一つ好きなところを挙げろと言われるなら、今日現在はここが真っ先に頭に浮かびます。美しくないですか?
画像2 修善寺と言えば、「あさば」という方も多いですが、双璧だと思います。入口からこの風格です。
画像3 「あさば」の伝統と新しさのハイブリッドも素敵ですが、昭和初期の風情そのままに贅沢な気分にさせてくれるところが、新井旅館の魅力だと思います。
画像4 玄関すぐのオープンエアのロビーは、喫茶スペースになっており、池庭が広がり、その向こうに目玉の天平風呂も見えます。(瓦屋根の建物がそれ)
画像5 外側から見ても、この風格。天平風呂の名前にふさわしい、古代日本の雰囲気が漂います。
画像6 それもそのはずで、館主の相原沐芳がビザンチン様式の温泉にしようとしていたところを、日本画家の安田靫彦が日本古来の雰囲気で「天平風呂」にしてはどうかと提案し、設計したとのこと。靫彦は、日本画家の中でも伝統を重んじ、歴史画を得意とした画家だけに、本物の神社仏閣のような重厚さがあります。安定感のある梁や柱の美しさは、完全に時代超越しています。
画像7 突然ですが、「天上天下唯我独尊」。館内のギャラリースペースには、安田靫彦直筆の絵画や、絵画もたしなんだ館主=相原沐芳の絵なども展示され、他にも横山大観や川端龍子など日本画家たちも滞在したそうで、日本美術の揺籃の場となったと言っても過言ではない旅館です。こうした歴史の重厚感もこの旅館の魅力を縁の下で支えているように感じます。
画像8 奥に向かって、何棟も日本家屋が重なり合い、独特の美しさが寛ぎを演出します。
画像9 この時は両親へのプレゼント旅行ということもあり、写真一番右奥の特別室=吉野を、思い切って予約しました。ここも安田靫彦が設計にかかわったそうです。
画像10 川を眺められる、広い縁スペース。
画像11 この二間以外にも、廊下を挟んでもう一間あり、その上一階に下りると…。
画像12 部屋に付属のお風呂もあるという、超贅沢仕様。
画像13 季節の花も…。親父殿は昭和九年生まれで、天平風呂のできた年の生まれ。自分と同じ年にできた温泉に浸かりながら、感慨深げにされておりました。我ながら良い親孝行ができたと思えました。
画像14 マッチの柄も素敵です。文豪の芥川龍之介も随筆の中で、天平風呂に触れております。池の側の一番下のガラス部分から、池の中が見えて、泳ぐ鯉の影が見えるのですが、そんな様子を書いています。そんな芥川の書きっぷりを思い出させるマッチの柄です。
画像15 伊豆名物=ワサビ。生の山葵を摺り下ろして、ご飯の上にそのままおいて、一滴だけ醤油をかけて食べる。そんな罪深い贅沢さのある食べ方を教えていただきました。
画像16 擬洋風建築になっている青洲楼という建物は、できたときにはきっと修善寺のランドマークだったでしょう。明日2020年7月12日の昼12時からBS朝日で放送されている「百年名家」で、新井旅館が紹介されるそうです。是非見ていただいて、「あさば」派の方も一度試してほしい温泉旅館です。

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