【詩】なもなき場所

離れた友に会いたい
それがきっかけで飛び出した
街を何個も抜き去って
あの場所へ向かう
昔はよく話してた
好きな女の話や
家族にも話さない愚痴も
沢山の出来事を語り尽くす

朝焼けが忘れてた世界を連れてきた
無理矢理始まる明日を連れてきた
帰る友の背中は薄らぐ
まだ足りない、会い足りない、語り足りない
僕らは大人になったばかりなのに
あの場所にあなたはもういない

会えば力が湧いてくる
話せば勇気をくれる
僕は決意がつくから
明日を挫けることなく
つまらない日常を
生きることができるのに

夕暮れが記憶の世界を連れてきた
楽しく笑う僕らを連れてきた
それが苦しくて悲しくて虚しくて
あの日の景色が甦る辛くて僕は泣いた
僕らには時間があったはずなのに
この世界にはあなたはもういない

あの場所で眠ってる
あなたに僕は一人語りかける
つまらない愚痴を言えるのはあなただけ
静かに楽しそうに流れる涙を拭いながら
僕は一人語りかける



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