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仲間の力を活かせる人は【視点のズレ】を越えられる人

「仕事」は一人ではできません。

どんな仕事でも関わる仲間がいます。

一人で執筆する仕事でも、一人で写真を撮る仕事でも、一人で部屋に籠る初動でも、キャンバスに絵を描く仕事でも、「仕事」である以上、社会の誰かに繋げるための『仲間』や『協力者』が必要になります。

何よりも”お客様”となる受け取り手=「他者」無くしては、”仕事”は成立しませんね。

わたしたちは”仕事”をする中で、仲間の総力を活かせる人、相手のポテンシャルを最大化することができる人と、なかなか周囲の環境や人を活かしきれない人の2種類に出会います。(※仕事とは、サラリーマンなど会社組織の中のことだけでなく、家庭内の仕事、学校の生徒会や部活動という仕事も含まれます。)

仲間と共に”仕事”をするとき、【人を活かせる人】とはどんな人なのでしょうか。

今回はまず初めに、ちょっと興味深い研究を紹介します。

【ケロッグ経営大学院・心理学の研究】

ケロッグ経営大学院の心理学者、ロラン・ノルドグレン教授がある興味深い実験を行いました。

「冷凍室に5時間閉じ込められた人のつらさを予測してみてください」

という問いかけです。被験者は、条件の異なる2つのグループに分けられていました。

1つ目のグループ
温かいお湯の入ったバケツに腕を入れた状態で予測してもらう。

2つ目のグループ
氷水の入ったバケツに腕を入れた状態で予測してもらう。

結果は、氷水に腕を入れながら予測したグループの方が、お湯のグループに対して、14%「つらさ」を強く予測したそうです。まあ、みなさんの「そりゃそうでしょう」という予想通りでしたか?

実は、この実験、
もう一つ、条件を変えたグループが用意されていました。

第3のグループ
氷水に腕を入れて冷たさを体験したあと、バケツから腕を出す。
その10分後に、予測をしてもらう。

というグループでした。

結果は、この第3のグループの予測は、「お湯」のグループと変わらなかったそうです。

これについて、ロラン教授は、
人は、心理的・身体的な興奮を「現在」感じていなければ、ものごとが与える影響を過小評価する傾向がある。

と分析しています。まさに「喉元すぎれば熱さ忘れる」という状態。

【視点のズレ】

これをロラン教授は「視点のズレ」と呼んでいます。

そして、周囲の人の力を活かしきれる人とそうではない人の違いは、まさにこの「視点のズレ」を埋められるかどうかのちがいであると考えられています。

視点のちがい

【視点のズレ】と人間関係

あなたは、相手のいま感じているつらさや喜び、願いや飢えを、どのくらいビビッドに予測することができるでしょうか。

これを決めるのが「視点のズレ」を見越せる力です。

相手の気持ちになって考える力とも言えます。

これは、営業やプレゼンなどのビジネスシーンではもちろん、プライベートな人間関係を築く上でも非常に重要なカギを握っています。

相手の言ったことや態度に腹がたったり、トラブルになったりするのは、互いに「視点のズレ」を埋められていないときに起こります。

ここで「視点のズレ」を越えるには、
【自分という”箱”から出る】ことが不可欠になります。

自分ならこう感じる、自分ならこう思う、自分なら耐えられる、自分なら頑張れる、という「自分の箱」からの視点で物事を捉えている限り、相手との「ズレ」は埋められず、「あの人、ありえない!」という気持ちが起こり、対人トラブルに陥ってしまうのです。

完全に相手の気持ちを予測することは出来なくても、できる限り相手の視点でものをみて、相手がしてほしいと思っていることをする、相手が悲しんでいることに寄り添って、その悲しみを和らげようと尽力することができる人は、対人関係を深めることができるでしょう。

「ズレ」を越えるには、「同意」や「賛成」をする必要はありません。

「自分の箱からの目線」はあっても構わないのです。

ただ、それはそれとして一旦、脇におき、相手の箱からの目線でものを見ようと出来るかどうかが重要です。

そのためには、自分の価値観や評価基準を一旦、脇におかなくてはなりません。「この人、ありない」という感情を持ったままでは、相手の箱に入れません。相手を評価する「自分の箱」目線をオフにする必要があるのです。

その上で、自分の過去の体験を総動員して、想像力を駆使して、相手の箱から物事をみるのです。ケロッグ大学院の実験が証明しているように、人は「いま」心理的・楽観的な興奮を感じていないとき、事態を過小評価してしまう。「いま」苦しい思いをしている相手の気持ちを、「いま」苦しくない自分が想像することは、難しい。

そこを越えて、相手の苦しみを過小評価せずに捉えることができる人は、相手に寄り添い、相手のポテンシャルを引き出す応援ができる人=人の総力を活かせる人ということになります。

「視点のズレ」を意識してみてください。

【視点のズレ】と自己成長

自分自身に対しても、「視点のズレ」は生じます。

1ヶ月後に提出しなくてはならない資料をつくるのに、どのくらい前から取り掛かれますか?

かつて似たようなタスクを行ったことがある人には、そのとき「大変だった」記憶が残っています。でも、「視点のズレ」が働いて、記憶の中では、その大変さが「過小評価」されやすいのです。

すぐに取り掛かって1ヶ月かけて行う大変さであるのに、「まだいいや」と思ってしまう。期限が迫って慌てふためく将来の自分の「心理的・身体的な興奮状態」を捉えられていないのです。

実は、毎分毎秒、わたしたちは「視点のズレ」を起こしています。自分の過去、未来とのズレ、また近くにいる仲間の視点とのズレ、これらを「越えて」行くには、いつも「いま」の自分の箱からの目線だけでなく、過去の箱や未来の箱、他者の箱に入って物事を多角的に感じとる力を身につける必要がありそうです。

また、逆に言えば、
「いま」の自分が「こうだ!」と思っていることは、固定した感覚ではないかもしれない。絶対的な感覚ではないという前提でいることが、柔軟性を維持するカギとなるのかもしれません。

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大澤 弘子 
日テレHR代表/企業の人材育成を支援しています。
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なかなかの男性社会で30年働いてきたテレビマンが、コーチングやカウンセリングで「自分らしく生きる」を支援中。限定少数しか出来ませんが小学生からシニアまで。