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最近の記事

なくなって欲しくない

 昼を過ぎ、外に出かけるのもめんどくさくなって、ゲームをしたり、YouTubeを観たり、本を読み、ダラダラと過ごした。今日の天気がわからない。帰ってきた妻が、車に雪が積もっていると言っていたので、雪は降っていたのだろう。  武藤さんの銭湯に行く理由を垣間みた気がした。私にとっては、どのような場所だろう、と本を読みながら、考えた。『shabby sic ポエトリー』と『Anarakcity』が浮かんだ。

    • 好きなことをとことんやったら、変人扱いされる

       車のバンパーの修理のため、ディーラーに来ている。1時間か、2時間になりますが、店内でお待ちになりますか、と受付の女性が私に訊いた。はい、店内にいます、と私は、椅子に座り、アイスコーヒーを受付の女性にお願いし、持参した武藤良子『銭湯断片日記』を開いた。読みながら、銭湯が好きになったきっかけって何だったのだろう、と思った。読み進めたら、どこかで書かれているのだろうか。ここまで好きなものがあることは幸せなことだよな、と思った。 私にとっては、野球だろうなと思った。野球が好きになっ

      • おおきなきりかぶ

         自宅アパートの出入口付近には、時々、焼肉の匂いが流れてくる。アパートから徒歩1分のところに、地元住民が通うであろう店構えの焼肉店がある。外観からは、お客さんが入っているようには見えず、そもそも外から店内の様子を伺えない。ただ、流れてくる匂いが、おいしそうだから、妻を誘い、足を運んだ。外観とは、打って変わり、店内は、活気で満ちていた。申し訳なさそうに、おかみさんが、満席なんです、と頭を下げる。後日、二度目に足を運んだ際も満席。再び、おかみさんは、満席なんです、と頭を下げた。バ

        • クリニック・イン・ザ・モーニング

           妻が、ネットニュースで、クリニック・イン・ザ・モーニングの医師がインタビューを受けている記事を読んだと私に話かけた。どのようなインタビューだったかは全く頭に入ってこなかったが、その病院名である、クリニック・イン・ザ・モーニングという名称があまりにも斬新で、強烈だったものだから、携帯電話で、クリニック・イン・ザ・モーニングと入力し検索していた。今時、珍しい手作り感のあるホームページが、さらに私の心をくすぐった。病院の概要欄を読む。  早朝診療、年中無休だった。しかも15年そ

        なくなって欲しくない

          銭湯断片日記

           伊藤茂次の詩集をネットで探したが、どこの本屋も完売。オークションか、メルカリで、どこかの誰かが、売ってくれるその日まで、ひたすら待たなければならない。手に入らないと、なおのこと欲しくなる。せめて伊藤茂次の詩集を出版した龜鳴屋で、他の詩集を買おうと、何度目かの龜鳴屋のホームページを開いた。詩集だけにとどまらず、小説と日記も購入した。数日後には自宅に届き、詩集2冊を読み終え、武藤良子『銭湯断片日記』を読んでいる。イラストレーターである武藤良子さんが、銭湯に行き、風呂あがりにビー

          笑え 泣け 無駄に生きろ 無駄に行け 喜べ 悲しめ 散り逝くならば 咲き誇れ

           詩を書いていた友人がいた。私にも、詩をプレゼントしてくれたことがある。友人からお土産でもらった白虎刀にその詩は記されていた。木のおもちゃのような白虎刀だったけど、ちゃんと鞘に入っていたので、刀に記されていたその詩に気づくまでに6年の歳月が過ぎた。  中澤系『uta0001.txt』を読みながら、その友人のことを思い出した。友人は、どんなきっかけで詩を好きになったのだろうか。好きな詩人はいたのだろうか。友人が昔、書いていたブログを探そうと検索したが、見つからなかった。

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          自由研究

           仙台に住んでいた頃、一ヶ月に一度、妻と少しだけ贅沢な外食をすることにしていた。行きつけの店は寿司屋、南欧料理、和食と三店舗あり、ローテーションしていたのか、その月に食べたいと思う店に行っていたのかは記憶が曖昧だ。その頃、行っていた寿司屋は、これまで生きてきた中で一番美味しかった寿司屋であり、いまだにあの寿司屋に行きたいなあ、と思い出すことがある  そんなことを思い出し、スペイン料理の店に妻と行った。妻は、パエリアセットを、私はナポリタンセットを注文した。店内は、小さな子ども

          カレーのイメージカラーは

           運転する車の中から黄色いファミレスの看板が目に止まった。どうしてカレーのイメージカラーは黄色なのだろうか。カレーって、黄色というより茶色だろ。何か、企業のイメージ戦略か。カレーパンマンが黄色だったからか。ブログを書きながら、検索してみると、どうも、昔のカレーが黄色だったらしい。黄色というか、黄土色ではないのか。黄土色。懐かしい響きだな。  ここのところ、休みのたびに図書館に行っている。尾形亀之助『美しい街』が良かった。日常のスナップ写真のような詩だった。『美しい街』は夏葉社

          カレーのイメージカラーは

          手に入らないとなおのこと欲しくなる

           『頁をめくる音で息をする』藤井基ニで紹介されていた伊藤茂次の詩を読みたくて、伊藤重次と検索窓に入力した。  上位に表示されたのが、弐拾dB通信販売所と龜鳴屋で、どちらも伊藤茂次の詩集は完売していた。amazonなんかでも調べたけれど、どこにも売っていなかった。手に入らないと思うと、なおのこと欲しくなったが、どうしようもなかった。 それならというか、藤井基ニさんが憧れている中原中也の詩集を読もうと思って、蔦屋書店に行った。読んでみたいと思った本がなかったので、図書館に行く

          手に入らないとなおのこと欲しくなる

          彼の人生そのものが詩

           四国一周をするために広島空港に降り立ち、尾道を通ったので尾道ラーメンを食べた。いや、尾道ラーメンは尾道ラーメンだったが、食べた土地が尾道だったかは定かではない。兎に角、尾道ラーメンが美味しかったという記憶だけは鮮明に残っている。『頁をめくる音で息をする』を読みながら、20年ほど前の記憶が蘇った。  この本は、古本屋弐拾dBの店主である藤井基ニさんが書いた本である。古本屋弐拾dBのことは雑誌かSNSで知った。遅い時間に開店する古本屋というのが印象的だった。『頁をめくる音で息を

          彼の人生そのものが詩

          定期的に怒る

           私は定期的に怒っている。定期的に怒っているからなのか、尾を引くことがほぼない。で、嫌なことを嫌だとも言っている。一番ストレスがないのは、『それを読むたびに思い出す』にも書いてあるように、事が起こる前に、伝えておけるかどうか。  翌日、私は、朝から怒ることになる。アルバイトの身だしなみの悪さに腹が立ち、怒った。  人は見た目ではない。ただ、人は見た目で、判断することがほとんどということも覚えておいたほうが良い。太古の昔、人は、瞬時に、危険かどうかを察知できなければ、死んでしま

          読むことと思い出すこと

           地元は、嫌いではないけれど、地元に帰りたいと思ったことはない。一言で言うと、近すぎる。近すぎると煩わしい。たまあに帰るくらいがちょうど良い。そう書くと、家族みたいだな、と思う。  地元を離れたのは、高校を卒業した年で、札幌で一年間、浪人し、大学進学とともに、北海道を離れた。一度、北海道を離れて生活してみたいと思った。決して、北海道が嫌いというわけではない。  今なら、東京に住むのも良かったかな、と思わなくもないが、田舎で生まれ育った私からすると、東京で生活していけるイメー

          読むことと思い出すこと

          弱り目に祟り目

           一難去ってまた一難。なぜ、こうも問題が起こるのだ、という一日だった。思い起こせば、初夢は覚えていないのだが、目が覚めた時に、あまりいい夢ではなかったという感覚のようなものだけは残っていて、それから何日間か、今日も、良い夢じゃなかった、今日は、謎の組織に追われている夢を見た、という日が続いた。  このように泣きっ面に蜂のような幕開けだけど、年の功なのか、立場がそうさせているのか、後ろ向きではない。後ろ向きではないというか、後ろ向きのままでも仕方ないというか、では、どうするかと

          あなたは読んだものに他ならない

           「読む贅沢 私は本と旅に出る 6社合同フェア」という棚の前で、私は足を止めた。普段、あまり目にすることがない本ばかりが並んでいて、どの本も魅力的に映った。読みたいと思った時に買わなければ、もう読みたいと思った本のタイトルすらも忘れてしまいそうで、6冊の本を買った。  その一冊である服部文祥『You are what your read.あなたは読んだものに他ならない』を読んでいる。  私は読んだものに他ならないというタイトルを目にし、数年前に読んだマーク・トウェイン『人間と

          あなたは読んだものに他ならない

          祖母との会話

           『ユニマチュード認知症ケア最前線』NHK取材班 望月健を読みながら、2年前に亡くなった祖母とのやりとりのことを思い出していた。  それは、特別養護老人ホームに入所してからの祖母とのやりとりだった。  祖母は冷蔵庫に何か入っているから食べなさい、と私に言った。お腹がいっぱいだからいらないと私は返す。すると、祖母は実家に寄ってきたのか、と訊く。私は、寄って来ていないと返す。帰った方が良いと祖母が言う。同じやりとりを、4〜5回、続けて繰り返した。  その会話は、祖母が私によく言っ