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最近テレビに出てきた建築家(坂倉準三、谷口吉郎、伊東忠太)

「日曜美術館」で、坂倉準三を特集していた。コルビジュエに学び、渋谷や新宿の駅近辺の風景を作り上げた建築家だった。

鎌倉文華館鶴岡ミュージアムの水面の反射は美しい。これは、故郷から依頼された旧羽島市役所が、周囲のれんこん畑と調和させるために水面を活かすために、反射するための水面を利用するのと通じる。

新宿西口広場の穴の話がとりわけおもしろかった。排気ガスを逃がすために最初は通風塔を建設する予定だったが、坂倉が難色をしめし、小田急の建築部が言った「穴を開けちまえ」という暴論が現在の姿に(とはいえ、もうすぐ消えるわけだが)。あの地下とも地上ともつかぬ空間が出来た理由がよくわかった。        

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「新美の巨人たち」では、建て直しとなる帝国劇場の話を。谷口吉郎による設計は、客席の椅子の色も含めて計算されているのがよくわかった。ロビーの猪熊弦一郎が祭りをモチーフにしたステンドグラスに熨斗のモニュメント、本郷新による仮面、加藤唐九郎が焼いた壁の手間もたいしたものである。

菊田一夫が『風と共に去りぬ』を舞台化したくて帝国劇場を作ったという話には納得をした。映画で有名なアトランタ炎上場面を再現するために、円谷英二に頼んだ映像は興味深いものだった。ミニチュアの破壊場面をスクリーンに投影したもので、ぜひリストアして公開してほしい。

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毎回西川貴教がひどいめにあう「”いけず”な京都旅」の第10回で、伊東忠太による「祇園閣」と「本願寺伝道院」の内部や眺望を観ることができた。大倉喜八郎別邸だった「祇園閣」は山鉾を模したものである。「本願寺伝道院」は真宗信徒生命保険本館として建てられたものだが、インドイスラム建築やイギリスの赤レンガなど、さまざまなものを集積している。

表面的アナロジーから発想し、歴史を無視したものではあるが、「エンタシス」論に見られるビジョンの人伊東が日本建築史を生み出し、後世に与えた影響は大きい。伊東がマンガもよく描いたというのが、何らかのヒントなのかもしれない。「平安神宮→明治神宮→靖国神社→築地本願寺」へと向かう流れがよくわかった。

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