ダンドリドラマとしての「ハコビヤ」

田辺誠一主演の「ハコビヤ」は毎回のダンドリが決まっているフォーマットドラマのひとつだが、第1話のフォーマット紹介がそれなりに上手く終わった。共演の影山優佳がコメディエンヌの素質をもっているのに助けられている。

『トランスポーター』が切り開いたサブジャンルをどのように展開していくのかが課題なわけだが、今放送しているなかでは、韓国ドラマの『デリバリーマン~幽霊専門タクシー』が、そうした系譜につらなる。第1話でのタクシーが警察と組んで窃盗犯を捕まえる場面など、まさに車のスピードやドライビングテクニックを強調するものだ。これが見どころのひとつとなる。

ところが、「ハコビヤ」はドライビングテクニックではなく、人情ドラマである。日産自動車がスポンサーで、EV車が活躍するのも、従来の運び屋ものと見せたいところが異なる。

第1話はストリートからミュージシャンを目指していた元相棒にギターを届けるというもの。ハコビヤである白鳥剣が、届けるまでに事情を推理していた、というのが、見せたいところだろう。しかも情報提供者に、白鳥を演じる田辺誠一が「人たらし」をしていくのが鍵で、第2話でよりはっきりとするので、制作陣の目論見はそのあたりにありそうだ。

第2話は、不倫相手にスマホを届ける時間指定の意味を解き明かして、「いい話」にみせかけながら、最後でドンデン返しをする。依頼主が自分の選択を疑問視するところも、決断を肯定するところも今風なのだろう。現在のリアリティの一端が感じられた。

依頼の1万円のホットココアというのは、ちょっと微妙な設定だが、世の中には11万円の熟成コーヒーというのもあるので、安い買い物なのだろう。





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