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将棋ウォーズ対局日誌 その9 大先輩との対面でのメモリアル対局

 今回は、番外編です。お世話になった大先輩の方が定年退職されるため、記念対局を指して頂きましたので、この対局について振り返ります。

□最初に 

 本局は、持ち時間無しの対面での対局です。コロナ感染予防のマスク着用や手のアルコール消毒等を行っています。私が後手番で、画面下側です。対局後に、「ぴよ将棋」というアプリにて棋譜を再現しました。このため、今回は例外的に、ぴよ将棋のソフトでの検討手順にも触れてみました。

 今回は私が対局中に良い手だなと印象に残り勉強となった手を取り上げて、対局者の心理について取り上げてみます。

□桂馬を食いちぎられる

 下図は、後手の△8五桂馬に対して先手が▲同銀と桂馬を取った局面です。私は、この手では守りの▲6七金右や、攻めの▲3七桂馬などを読んでいました。先手からは、次に▲3四桂馬がありますが、先に銀桂交換の駒損していますし、後手は攻めるために桂馬がほしい駒でもあり、やりにくいかと思っていました。しかし、実際にやられてみると、自玉も薄くなり大変でした。

 ソフトは、▲8五銀ではなく、▲2四歩打ちで、ほぼ互角で先手がちょっとだけ良いとなっていますが、人間でこの局面で歩を合わせる人は、そうそういないだろうという感覚です。

□天王山の銀打ちでがっちり守る

 下図は、△7五銀に対して▲5五銀と打った局面です。少し前に打った△5四桂馬の感触が良く、少し後手が指しやすいかなと思っていた局面で天王山での頑丈な受け、しかも攻め駒を攻める受けを指されて、これは難しいなと思いました。

 ここでのソフトは、▲5五銀打ちを示しています。ソフトと同じ指し手ということで、さすがの1手だと思いました。

□軽妙な歩打ち

 下図は、上図から△3三角に対して、▲2ニ歩と打った局面です。私は、▲3七桂馬や▲5四銀などのイメージでした。さすがの1手でしびれました。上図からの一連の読み筋だと思いますが、素晴らしい流れです。私は、この手が全く読めておらず、ここでは玉の薄さからも、対局中は形勢不利を意識しました。

 この▲2二に打たれた歩を△同角や△同金だと、▲5四銀と桂馬を取られ、▲3四桂馬で攻めの要の角か、受けの要の金かのどちらかを王手で両取りを掛けられます。このため、同歩を指せずに△1三桂馬と桂馬を逃げました。

 ソフトも▲2ニ歩を示しています。形勢はまだ後手が少し良い評価値です。ソフトは、そのあと堂々と△同角を指していますが、ちょっと私には選べない指し方です。そのまま先手から攻められて持っていかれそうです。

□後手を引かない飛車切り

 下図は、△7四歩→▲7四同車→△8三銀打ち→▲7三飛車成りと7三にいた角を飛車で取った局面です。ここは飛車を切る手と飛車を逃げる手の二択ですが、飛車を逃げてくれるなら、手番が後手番になり待望の△4六角が指せて後手番が攻める番となるため、有段者以上のレベルならば飛車を切る1手だと思っていました。そして、お相手は有段者以上の棋力のため、手番を重視して当然ズバッと飛車を切って来られました。さすがの勝負の1手です。

 ソフトも▲7三飛車成りを示しています。少しだけ後手が良い評価値ですが、プラス・マイナスの300点くらいは人間同士ではまだまだ全く分からない互角の範囲といえる形勢です。

□最後の粘りの角打ち

 下図は、△7六銀打ちに対して、▲5八角と受けた局面です。△3九の飛車が下段に利いていて、△7六の銀が上部を抑えていて、正直もう先手玉には適当な受けは無いと思っていたところでした。受けはあるものだなと勉強になりました。

 なんと、ソフトも▲5八角打ちです。この1手の受けだったんだなと改めて感じました。評価値は、後手の勝勢を示しています。私は、ソフトが示す△7九金打ちには気が付かずに、△6九銀打ちと指して▲同角→△6七金打ちと進んで行き、局面はもつれました。

□玉を逃さない金打ち

 下図は、▲2ニと→△同金→▲6八金打ちと打った局面です。後手優勢の局面ではありますが、▲6ニ金と指して玉を右辺には逃げれないようして、次の▲3四桂馬打ちなどの攻めを狙っています。後手がぬるい攻めだと許さないというような逆転するならばこの手というような印象的な1手でした。

 ソフトは▲6八金打ちと守る手を推奨しています。ここに金を打って受けてくれるならば、後手は怖いところがなくなり、次に持ち駒の角や歩を使って攻めていけるため、人間ならば、実戦的には、▲6ニ金打ちの方が怖いです。

 以下は▲4七角打ち以下で、なんとか勝利する事が出来ました。

□今回のまとめ

 やはり対面での対局は臨場感があって良いなと改めて思いました。ちゃんと考えて落ち着いて指すことが出来る印象です。そして何より、感想戦が出来るのが最高です。ポイントとなる局面が沢山あり、感想戦が沢山出来たのが良い思い出となりました。感想戦をやると良く分かるのですが、どんな局面でも、色々な手があるものだな、読み筋って違うんだなと改めて気がつく事が出来ます。

 『最後に思い出となる対局をじっくりと指させて頂くことが出来て嬉しかったです。今まで大変お世話になりました。ありがとうございました。これからも、またよろしくお願い致します!』

 ということで、将棋の良い所は、年齢や性別に一切関係無く、一緒に対局して楽しむことが出来ることだと思います。そして、ゴルフや囲碁等と同じく腕前に応じてハンデを付けること(将棋の場合は駒落ち)が出来るので、仮に相手との実力差があっても、対等に楽しむことが出来ることだと思います。

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最後までお読み頂きありがとうございました。😊

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