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将棋ウォーズ対局日誌 その12 第124回職団戦の将棋大会での対局

 今回は、番外編です。前回大会に引き続き日本将棋連盟の主催で開催される「第124回職域団体対抗将棋大会」、通称『職団戦』に参加して来ましたので、その対局について振り替りたいと思います。

 なお、今回の指し手は、本コラムを執筆するに当たり、当日の対局を思い出しながら、『ぴよ将棋』という将棋アプリで再現したものです。実際の大会は、アプリではなく、将棋盤と駒を用いて、対面で対局しています。また、各局面図は、全て下側が私となります。

□最初に 

 職団戦は、1チーム5名ずつで戦うチームの団体戦で、3人が勝ったチームが勝ちになります。今回の職団戦では、個人成績としては2連勝の後に負けてしまい、残念ながらチームも3回戦で負けてしまいました。所属するクラスでは、ベスト8という成績でした。自身の対局でポイントと思う局面を、ご紹介したいと思います。

 今回は、前回の大会で成績が良かったため、1つ上のクラスに昇級していたため、とにかく、チームで1勝して、降級を免れるのが目標でした。そういう意味では、無事に目標達成です😊。ベスト8のため、もしかしたら、次回には、運が良ければもう1つ上のクラスに昇級出来るかもしれないようです。

 職団戦では、毎回、「チームで1勝、個人で1勝」というのが参加者の掛け声、目標になっています。やはり、そのくらい、1勝したいものでして、どのチームも参加者の誰もが思う所だと思います。

 今回は、作戦としては、技術面の戦術的には、先手番ならば、相掛かりか角換わりを目指す後手番ならば、相手の戦法を受けて立つ相手が振り飛車ならば、持久戦を目指しつつ、相手に合わせて指す、精神的な指し手のイメージとしては、盤面を広くみて指すとにかく手厚くじっくりと指す仕掛けれると思ったら思い切り良く行く、という方針を事前に決めていました。これは、前回にこのような方針を決めておいたのが好結果に繋がったためです。ただ前回と全く同じ方針では指していて面白くないため、今日の気分に合わせて内容はちょっと変えていました。

□相掛かりで会心の差し回しで勝利

 職団戦の1局目は、私は後手番となり相手の先手の誘導に従い「相掛かり」の将棋となりました。私自身が好きな戦型でもあるため、少なくとも勝っても負けても自分の力は出し切れると思って指していました。

 いまお互いの駒組みが飽和状態に近づいてきて、先手が▲4五歩と位を取って来た局面です。先手も後手もここからの指し手が難しい局面です。どちらから角を交換するのか、どちらから仕掛けるのかなどが、ここからのテーマです。

図1 お互いの駒組みが出来上がってきた局面

 ▲4五歩の先手の狙いは、次に角を交換して▲4六角と打つ狙いだと思いました。そうなると、先手からの攻め筋が生まれそうだったり、後手からの仕掛けが難しくなりそうなので、ここで少し考えて、後手番ながらこの局面で持ち歩の1歩を生かして、攻めて行くことにしました。後の展開でもいくつかの攻め筋が見えたため、ギリギリの攻めながら、成立してそうな気がしました。

 私が指した手は△9五歩の端攻めです。本局の決断の一手です。相手の玉が6八にいるため、攻めていく9筋、8筋に近いため、厳しいのではないかという読みです。お相手の方は、ここでいきなり後手が仕掛けてくるとは思っていなかったようです。

図2 後手から端攻めで仕掛ける

 以下の局面が、持ち歩の1歩を生かした端攻めです。▲同角は△9九角成り、▲同桂は△9五香から次の△9六歩があるため、先手は▲同香と取りました。

図3 1歩を生かした端攻め

 少し進んで以下の局面です。先手も桂香を交換されたら攻め筋が増えて受け受けきれないと判断されたようで、香車を逃げてなんとか受け切ろうとしています。実際に後手が香車を持つと、△4六香車打ちや△8ニ香車打ちなどの後手からの攻め筋が生まれます。

 ここで△6五銀が読み筋の後続の攻めです。

図4 ガッチャン銀で銀をぶつける

 この銀を▲同銀と取ってしまうと、狙いとしては例えば後の△4七銀→▲同金→△3八角打ちか、△4七銀→▲4九金引き→△4六角打ちや、△9八銀打ちからの厳しい攻め筋があり、先手も素直に銀交換は出来ないのではないかと思っていました。ただし、ここで銀が逃げるようでは、△7六銀と1歩を取りながらの玉頭に銀が進出する攻めが厳しいため、ここでは攻めが繋がり優勢になっていると思っていました。

 本譜では実際には指し手には表われませんでしたが、読み筋の中では後に△6五角打ちや△7五角打ちの筋とかもあり、細い攻めながら意外と色々な攻め筋がありました。△1五歩の端攻めをしたときにはこのあたりの局面までが想定していた局面の1つでした。

 このように読み筋の範囲内で想定通りに局面が進み、攻めが流れるように繋がっていると、指していてもとても気分は良いです。

 さらに少し進んで、以下の局面が△9七歩と貴重な1歩で2度目の端攻めの歩の垂らしに対して、△7七歩と防戦してきた局面です。他に先手に思わしい手もなさそうだっため、△7七歩と打って攻めを催促してこられると思っていました。

 ここでは、自然な指し手として、以下の3つの攻め方があると思って読みを入れました。

①△9八歩成→▲7六歩→△8八と金→▲同金
②△7七同桂成→▲同銀(もし▲同桂ならば△9八歩成、▲同金ならば△同銀成)→△8七銀成→▲7九金→△9八歩成
➂△6五銀→▲9七桂馬→△同桂成→▲同銀

図5 先手の防戦と後手の攻め

 私が1番指したかったのは、歩を垂らした流れから、まっすぐに指す①の▲9八歩成りだったのですがどうもその後に次の有効な良い手が浮かばず断念しました。そして、➂の局面で指したい手が見つかったため、本譜では➂を選びました。一度引いて立て直す作戦です。

 対局中は全く気が付きませんでしたが、今改めて局面をみてみると、①の△9八歩成を指したいのであれば、△9八歩成→▲7六歩→△8九と金→▲同飛車→△8四桂馬打ち、と桂馬を取る手順ならばあったかと思いました。以下の参考図の局面になります。これならば一応攻めが繋がりそうです。将棋には本当に色々な手順があるものです。

参考1図 △9八歩成を指すならばの一例

 局後の感想戦では、お相手の方からは、第5図では②を指されると思っていたと言われました。2筋を突破されるので全然駄目と思っていたそうです。1番分かりやすく自然に厳しい攻めがある形になるため、いま冷静に考えると、確かにその通りだと思います。

 本譜では、以下の図の△5六桂打ちが私が指したかった歩頭の桂馬打ちです。かっこいい手だったので、ついついこの手が指したくて、こちらを選んでしまいました。。

図6 歩頭の桂馬打ち

 この桂馬を▲同歩や▲同銀は、この後に、△7五角打ちが金銀の両取りになるため、この桂馬は取る事が出来ません。よって先手は▲5ニ玉と辛抱して来ました。桂馬で金を取る戦果を上げることは出来ましたが、意外と後続の攻め方も難しかったです。

 少し進んだ局面が以下の局面です。ここで△3六歩と打ちたいのですが、あいにく歩切れです。ただし、盤面上にはちょうど取れる歩が1歩あります。そこで、狙い通りに△9五香→▲同香→△3六歩と指しました。

 △9五香は、先に香車を損して相手に渡しますし、▲9八香成などの飛車を攻める手もあり非常にリスクの高い手なのですが、それ以上に△3六歩からの桂取りが厳しいと判断しました。ここに歩を打ち桂馬を取れないようではこのような局面にした意味がない、将棋の棋理に反するので行くしかないという感覚でした。

図7 ここで1歩を入手して攻める

 さらに少し進み以下の局面になりました。先手が打った▲5六角は△4五桂跳ねの王手を防ぎつつ、▲7四角の攻めをみた攻防の1手なのですが、それに対する後手の△6五金打ちが、それを上回る切り返しで、▲7四角を防ぎつつ、相手の中央の銀と角を攻めるという非常に手厚い攻防の1手となりました。

図8 相手の攻め駒を攻める金打ち

 さらに少し進んで、以下の△3七角の王手銀りです。△5五角成りとなった局面は、駒得ですし、盤面の2枚の桂馬と中央の馬が手厚く、ここまで来たらもう後は自然に指せば勝ちとなります。

図9 厳しい王手銀取り

 さらに進んで、なんと2度目の歩頭桂の王手です。今度は、継ぎ桂の1手です。本局は、一局の中で2度も歩頭桂での王手が表れるという非常に珍しい将棋となりました。

図10 2度目の歩頭桂の王手

 さらに進んで銀を取って馬を切る△5六馬が最後の決め手です。この馬を取らないと△7八桂成から詰みますし、▲同歩と取りますと、△4六角打ちからの詰みがあります。本譜は▲同歩と取られ、そのまま即詰みにして勝つ事が出来ました。

図11 決め手の馬切り

 本局では、第1図で仕掛けのタイミングを逃さずに思い切り良く仕掛けて、そのまま上手く攻め続けることが出来たことが、勝利の要因だと思っています。持ち歩の1歩を生かし仕掛け、歩切れの中で貴重な1歩を上手く補充しながら攻めを繋げたのが、印象に残っています。一局を通して自分なりに上手く指すことが出来て、結果的には後手の快勝譜だったと思います。

□対振り飛車での急戦

 第2局も私は後手番で、先手の方がスタンダードな四間飛車を指されて来られました。「振り飛車対居飛車の対抗形」の戦いです。事前の戦略では対振り飛車には持久戦を目指す方針のため、ひとまずは持久戦を目指しました。

 以下の図が駒組み途中の局面です。ここで△2二玉〜△3二金〜△1二香から穴熊を目指すのが当初の方針ですが、先手はそれを待ち構えている気がして、さらに先手の▲7八銀が出遅れてるのをみて、急遽気分が代わり、急戦を仕掛けてみることにしました。それでも、仕掛けれるときには思い切り良く仕掛けるという今度は別の当初方針に基づく指し方にはなります。

図1 駒組み途中

 以下の図が後手から仕掛けた局面です。次に△7五銀から△7六歩、△7六銀、△8六歩などの攻めがあるため、仕掛けとしては成立していると思いました。ただし、先手玉はしっかりと高美濃囲いが完成していますが、一方の後手は全然囲っておらず、玉の硬さや遠さが全然違うため、相手からの終盤の反発は厳しいと思っていました。とはいえ、薄い玉型は嫌いではないため、自分の棋風には即した戦い方です。

図2 後手から仕掛ける

 先手も玉はしっかりと囲っているため、当然のように黙ってはおらず、強く反発してきて、以下の図の局面になりました。いま△4五にいた次に取られそうな歩を、△4六歩と突き出した局面です。この△4六歩が好手で、後手が指せると思っていました。

図3 攻めを繋げる△4六歩

 この歩を▲同金は、△7九角打ち、▲4八金引きは、△3五歩の桂頭攻めがあります。本譜は、先手は▲同金と歩を取ってこられました。

 少し進んで、以下が▲4六歩と叩いてきた局面です。こう指されるだろうなという読み筋ではあります。しかし、やはり薄い玉型がたたり、先手からの反撃が厳しいです。。

図4 先手からの厳しい反撃

 少し進み以下局面になりました。いま先手が7七の桂馬を飛車でズバッと切ってきた局面です。この局面では、当然こう指されるだろうなと思ってはいたものの指されて見たらやっぱり厳しかったです。△同飛車に▲6八角打ちが飛車と金の両取りです。とはいえ、先に飛車を渡していますし、後に2枚飛車で攻めらるため、リスクはあり、反動は大きい手です。

 指し手の良し悪しは別として、相手にこんな気持ち良い手を指させては駄目です。。とはいえ、ここから終盤線の始まりです。

図5 先手がズバッと飛車切り

 お互いに攻めたり受けたりしながら、以下の最終盤の局面になりました。一見すると飛車や馬が取られる形で、先手も3枚の金銀の美濃囲いに底歩付きで、まだまだ戦いが続きそうですが、ここでは決め手があります。

図6 最終盤の決め手がある局面

 正解は、△5八飛車成→▲同歩→△4九龍→▲同銀→△2九金打ちです。なんとこれで先手玉はどう対応しても詰んでいます。実戦もこう進みました。以下の局面です。

 一例の手順的には、△2九金打ち以下、▲1八玉→△1七金打ち→▲同玉→△2八銀打ち→▲2六玉→△3七馬までです。途中の△4九龍を取らずに▲4七銀と馬の方を取る手もありますが、それは1段目に強力な龍がいるため、今度は△1七金→▲同玉→△1九龍→▲1八合駒→△2八銀打ち→▲2六玉→△2四香車→▲2五合駒→△1五金とかからやはり詰んでいると思います。

 ということで、私にしては珍しく最後の詰みまで綺麗に読んで勝ち切ることが出来ました。

図7 最後は即詰みに打ち取る

 本局では、最初の方針は持久戦だったものの相手の形をみて機敏に急戦に切り替えたのがペースを掴んだ形となり、薄い玉形ながらも強く踏み込んだのが勝因だったと思います。

□悔しい敗戦

 職団戦の第3局は、今大会では私が初めての先手番となりました。相手は、職団戦では初めての経験となる「横歩取りの戦い」となりました。

 専門的に言えば、「後手の横歩取り4五角戦法」です。後手からの攻めに対して、全て正確に指せると先手が優勢になり勝てるみたいですが、一歩間違うとあっという間に後手が勝勢となる一発の狙いを秘めた急戦戦法です。そして、この4五角戦法の定跡を詳しく知らない私にとっては、勝っても負けても自分の本来の力が出しにくい戦いになると感じました。不慣れな戦型ですし、完全に誘導してきた相手の土俵で、後手の攻め対、先手の受けとなる戦いになるためです。

 以下は、最初の分岐点の局面です。そもそも△8七銀打ちでは、△3三桂馬→▲3六香車打ちだと思っていたのであてが外れました。そして、この局面だと確か▲7七馬が良かったはずと思い、そう指したのですが、感想戦では、▲同金と銀を取るのが最善と教えて貰いました。いまは定跡本やSNS上の将棋の定跡解説の情報が沢山ありますし、AIで調べることで最善手も分かるため、世智がない世の中です。。

図1 4五角戦法の8七銀打ち

 次の分岐点は、以下の局面でした。ここまでくると残念ながら私はもう定跡は分かりません。一方の後手は初手からここまでずーとノータイム指しです。▲8三飛車、▲8六飛車、▲7七桂馬、▲4六飛車など、一目でも色々な指し手が思いつきますが、当然、どれが正解かは分かりませんでした。感想戦で教えて貰った最善は、▲7七歩打ちとのことでした。この手は浮かんでもいませんでした。

 結局、桂馬をタダで取らせては駄目だと思い▲7七桂馬と逃げましたが、私の読み筋は次に後手は△8九歩成だったのですが、実戦で指された△8九飛車が厳しくて定跡とのことで、先手が悪い局面になってしまったようです。わざわざ歩をなるために歩を打ちながら、歩の下に飛車を打つのは手の流れからすると不自然であり、初見ではちょっと気が付きにくく、ここまでの手順はまさに知らないと指せないような定跡の1手です。それにしても、自ら誘導してわざわざ職団戦で指しているくらいのため、当然といえば当然なのですが、すごい知識量です。

図2 手の広い局面

 ただ、このままあっさりと負けてしまってはなさけないと思い、とにかくごちゃごちゃとあやしい手を指して、泥仕合にして、逆転を目指すことにしました。

 少し進んで以下の局面です。相手が香車を持っているのは百も承知ですが、ここから、▲7七馬→△7四香車打ち→▲同飛車と指しました。これが読み筋ですが、飛車を渡しますし、結果的にはあまり良くは無かったかもしれません。

図3 局面を複雑化させる抵抗

 さらに進んで以下の局面となりました。だいぶん紛れてきてはいると思います。ここで悔やまれるのは、△4五歩打ちに、素直に▲同香と取らなかったことです。対局中は、△8八金打ちと金を打って馬を取られる手を気にしたのと、△3六歩と香車を取られても、▲同龍で龍が働くためと思い、△7八歩と指しました。△7八のと金を外す方が価値が高いと思ったのですが、わざわざ1手かけて持ち駒の金と遊んでいる馬の交換ならば気にする必要はなく、タダで香車をあげる方がダメージがかなり大きかったです。

図4 悔やまれる1手 その1

 さらに進んで以下の局面になりました。▲6四香車と打たれた局面ですが、そもそもこの香車も、先ほどタダで渡してしまった駒です。ここで▲6六歩と指してしまったのですが、自ら馬と龍の通り道を塞ぐ悪手でした。悪手は指した瞬間に分かるといいますが、指した後にすぐに▲9八馬に気が付きました。これならば、龍の横移動も可能で、遊んでいた馬が働きで、先手が十分になっていたと思います。感想戦でも触れましたが、相手の方もこれならば難しい局面という感想でした。

図5 悔やまれる1手 その2

 そして、かなり局面を進めて、以下の局面が最後に悔やまれる局面です。この局面は、冷静にみると、後手の攻めは息切れぎみで、AIの形成判断は分かりませんが、人間同士の対局ならば、むしろ先手が少し面白くなっていると思いました。後手からは先手の馬や龍が働かないように非常に上手く指されていますが、先手も受けが効かない形、受けに効く駒が少ない中でも、なんとか自陣の2枚香で上手くしのいでいると思いました。

 実戦では、▲4九桂馬打ちと過剰に受けてしまったのですが、代わりに▲8ニと〜▲8四桂馬打ちとすれば、次の▲7二桂成が厳しく先手が1手勝ち出来そうな局面だと思いました。実戦でもこの後で▲8ニと〜▲8四桂馬打ちを指しているのですが、不要に1手4九桂馬と打ち自玉の逃げ道を無くしてからだったので、逆に1手間に合いませんでした。これが1手30秒の秒読みの怖さでもあると思います。

 例えば、以下の第6図の局面から、▲8ニと金→△5七金打ち→▲8四桂馬打ち→△4八金→▲同玉→△5七金打ち→▲3八玉→△5八成銀→▲3九銀引きだと、以下の局面になります。一例であり、必ずこう進むとは限りませんが、こうなると、はっきり先手が勝ちになってます。

参考図1 ▲8ニと〜▲8四桂馬打ちからの一例

 本譜で指した△4九桂馬打ちは、何よりもやはり1番最悪なのは、唯一の自玉の逃げ道を自ら封鎖してしまっていることです。指すときの感触はかなり悪かったのですが、ここさえ凌げば大丈夫とか、完全に負けそうなあの序盤の局面から逆に完全に切らして逆転勝ちしたら、気分は最高とか思って指してしまっていました。いま思うと盤面を広くみて捉えて冷静に考えれておらず、見通しや考えがかなり甘かったです。このようにちょっと局面が良くなると、すぐに勝手に楽観してしまい指し手が甘くなるのは、私の昔からの特徴です。これは、残念ながら、どうやら分かってはいても決して治らない悪いクセのようです。。

 他にも、秒読みなのでとにかく何も考えずノータイムで▲4九玉〜▲3八玉〜▲3九銀〜▲2八玉や、▲3八龍〜▲2七銀〜▲4九玉〜▲3八玉〜▲2八玉などと早逃げしていき、絶対に負けたくありませんというような指し方や、▲4六歩と指して桂馬取りをみせて、相手の攻めをあせらせる、切らせる手もかなり有力だったと思います。頭の中では考えてみてはいたものの実際には選びきれませんでした。

図6 悔やまれる1手 その3

 結果的に、3度も勝負どころで悪い手を指していては、せっかく粘って勝負形に持ち込んでも、最後に負けても仕方ないと思いました。特に、第5図の▲6六歩打ちや第6図の▲4九桂馬打ちは、棋理に反する絶対に指しては駄目な類の手で、自分自身の感覚で分かっていたくせになぜこんなひどい手を指してしまったのか、冷静にいま考えたら自分でも理解に苦しみ、非常に悔いが残る内容となってしまいました。

 理由としては、慣れない急戦をいきなり仕掛けられ動揺してしまっていた、ずっと受け続けて苦しい局面が続いていたため、脳が疲弊して勝負どころでも受け一方となり冷静な判断が出来なかった、秒読みの中で指さないといけず、うまく考えをまとめきれなかった、悪いクセでつい“ほっと”してしまい楽観してしまったなどがあると思いました。もちろん、自分が負けてるわけなので、要は単純に相手の方が強かったというだけのことだとも言えます。

 また改めて、一発勝負の職団戦の厳しさを学ぶことが出来ました。

□今回のまとめ

 第1局目、第2局目は、上手く指すことが出来ましたが、第3局目はかなり悔いが残る形となりました。

 この差は、もちろん相手の強さも関係しているとは思いますが、同じクラスで指している以上、アマチュアでは、おそらくそれほどの技術的な差は無いんだろうと思います。そうすると、1局目、2局目は、自身の感覚を大切にして対局することが出来たから勝ち、3局目は自分の感覚が駄目だという手をあえて指してしまったから負けた、と捉えることが出来そうです。3局目も、方針通りに盤面を広くみて冷静に指していれば勝てる終盤戦だったと思います。

 それにしても、職団戦で1番やっかいなのは、自分の得意な急戦を狙ってぶつけてくる相手です。前回の大会でも結果こそは勝ちましたが、右四間飛車急戦にかなり苦しめられました。わざわざ選んで指してくるわけであり、そもそもその戦型における知識量や経験値が段違いなので、普通に指していると、相手の術中にハマってしまっていることが多く、すぐに不利になってしまいます。

 将棋には色々な急戦がありますし、全部の定跡を勉強して覚えるなどは私には到底出来ないため、どうすべきか本当にやっかいです。さしあたりは、次にまた横歩取りに誘導されたらどう指すべきか悩むところです。

 とはいえ、せっかくの楽しい将棋対局ですので、結果よりも内容にこだわって、自分自身を信じて、とにかく自分らしい将棋が指せるようにこれからも頑張ります!

 実は「書く将」の私としては、次は職団戦の補欠要員(対局しない人。出場予定の5名のチームメンバーの誰かが急遽参加できなくなったときにだけ代わって対局する予備の要員)となり、今度はチームの応援に回り、チームメンバーのみんなの対局を記録して対局をレポートしてみたい気持ちなのですが(思い出に棋譜が記録に残るし、対局内容から各人の将棋の課題も見えてきてチームに貢献出来るはず)、その戦略はチームとしては駄目ですかね?

 なお、今回の職団戦の参加賞は、羽生会長の扇子でした。思い出となる良い扇子が頂けて、ラッキーです。😊

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最後までお読み頂きありがとうございました。😊

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