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将棋ウォーズ対局日誌 その8 会心の一局ってあるんです

 今回は、自分なりの会心の一局をご紹介します。たまーにしかない上手く指せたやつです。

□序盤は機敏な動きでポイントを上げる

 今回は10分切れ負けで、横浜取り(3三角型空中戦法)の将棋です。私が後手番で、画面の下側です。

 下図は、先手が▲3六歩を突いた手に対して、△8六歩と歩を合わせた局面です。相手の飛車の横利きが止まったため仕掛けていって、7六歩をかすめ取り、局面を動かしていく狙いです。

 少し進んで、以下の局面となりました。

 この局面では、玉の硬さは双方の大差は無いと思いますが、元々一歩損だった後手の一歩得となり、さらに先手の飛車は窮屈な状態で、逆に後手は飛車が自由にさばけており、持ち歩の数も後手が多く、後手が指しやすくなりました。

 歩得という駒得の実利のポイントも上げたため、後手としては、次にどうやって本格的に攻めていくのか攻めの構想がテーマとなります。

□中盤は一気果敢に攻め込み優勢に

 少し進んで以下の図です。いま先手から9筋の端攻めを手抜きして、△5六角と8筋や9筋の突破を目指して角を打った局面です。次に△8七角成りや、△9八歩→▲同香車→△8六歩→△同歩→▲9八角成りのような狙いがあります。このような分かりやすい攻めの方針や先への見通しがあると指しやすいです。また、このように1つの狙いだけではなく、複数の攻め筋があると、非常に受けにくくなります。

 少し進んで、△3七歩▲3九金の交換を入れてから、いま△8七角成りと8筋を突破した所です。この交換も終盤に利いてきます。これで狙い通り8筋を突破し、遅かれ早かれ飛車の成り込みが約束された形になりました。

 この局面で、後手が気になる点としては、まず自分の右側の8一の桂馬が使えてない点と、自玉付近では3四歩の攻められる拠点があり、2五歩を飛車で取られると相手の飛車がさばけて世に出てきてしまう点です。左側の2筋や3筋の方面から攻められそうなため、そのときは、玉を6筋、7筋の右側に逃がしていき手を稼ぎたい所です。

□終盤は左右挟撃で鋭く寄せきる

 少し進んで以下の局面です。いま飛車取りに△2六に香車を打った局面です。単純な飛車取りですが、この香車打ちの真の狙いは飛車を2七に吊り上げて、飛車の横利きによる受けを無力化することです。

 この局面は、駒の損得では実は後手の銀損ですが、玉の安全度が大差で、後手が大優性の局面です。"終盤は駒の損得よりも速度"が大事です。後手玉には、広さも硬さも残っていて、攻められる拠点の駒もありません。一方、先手玉は、"玉は包むように寄せよ"の格言通りで、左右から挟撃されており、手番も握られているため、もはや為す術もない状況です。3七の歩もまだ攻めの拠点として残っています。

 少し進んで以下の局面となりました。この桂馬打ちが決め手です。実は、この桂馬打ちで先手玉は詰んでいます。取らせて、4七に空間を開けさせてそこに金を打てるようにしています。また、取らなければ、そのまま玉を寄せる攻めの拠点となります。 

 参考までに、以下が下図からの詰み手順です。

①▲同歩→△6一角→▲4九玉(や5九玉)→△5八金打ち迄
②▲同歩→△6一角→▲4八玉→△4七金→▲4九玉(や5九玉)→△5八角成り迄
③▲4九玉(や5九玉)→△5ハ金打ち迄
④▲4ハ玉→△3ハ金打ち→▲5九玉→5八香車打ち迄
⑤▲4八玉→△3八金打ち→▲同金→△同歩成り→▲5九玉→△5ハ金(や5ハ香車)打ち迄

 以下の図が実際の投了図(88手目迄)です。(実戦は、上記の⑤の順の途中迄で投了されました。)

 投了図からも、後手の快勝がみてとれます。一方的に攻めてる、遊び駒が無い、自玉が安全などです。

 終盤で4六桂馬打ちのようなただで取れる場所に打つ駒が決め手になると、とても気分が良いです。少し前の局面でこの手が見えたから、△7八金打ちからの攻めを選びました。

 結局最後まで右側の8一桂馬は使えませんでしたが、この桂馬がいるから、自玉が攻められにくい、受けに役立っていると考えれば、十分満足です。

□今回のまとめ

 このように、序盤、中盤、終盤の一局を通して自分なりに上手く指せました。自ら仕方けて優先になり、そのままリードを広げていき、大きなミスもなく指し進め、危なげなく一気に勝ち切ることが出来たら、最高の差し回しで、会心の一局と呼べると思います。

 最初から最後まで一貫して一局を上手く指せるというのはそんなにはないのですが、たま〜にこのように一局を通して上手く指せるときもあり、それが将棋の魅力や楽しさに繋がっていると思います。

 こういう将棋が出来るだけ多く出現出来るように頑張りたいと思います。(将棋の出来、不出来の落差が大きい、ムラがあって安定していないのも、私の将棋の課題だと思っています。)

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最後までお読み頂きありがとうございました。😊

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