見出し画像

iDeCoで絶対損をする方法

世の中には一時的だったとしてもビタ一文たりとも損をしたくない人がおられまして、そのため投資なんて論外なのですが、老後資金のコトとかを考えると仕事からの収入や退職金だけでは厳しいので渋々iDeCoを始められる方もいらっしゃるようです。

これは偶然見つけたある記事を元に書いているのですが、iDeCoの仕組みを分からずにある金融商品をつみたて、損をしないはずなのにつみたて額より減ってしまったというお話です。

税理士に相談してみた

1円でも損をしたくない人がiDeCoを始めるにあたって税理士に相談したそうですが、絶対損をしたくないということで、税理士からある金融商品を勧められ、それに従ってつみたて始めたのですが、あるとき資産を見たら減っており、絶対損をしないハズなのにどうしてなんだと税理士に詰め寄り、税理士も困ってしまいました。

iDeCoをやっているところなら必ずある金融商品だと思うのですがSBIの場合だとこれになります。

元本確保型商品 - 定期預金 - あおぞらDC定期(1年)

定期預金ですので損のしようがないのですから希望通りの金融商品です。

じゃあなんで損をしたかというと、iDeCoを利用する際にかかる費用のことがスッポリ抜けていたからです。

個人型確定拠出型年金iDeCo(イデコ)活用入門 - 竹川美奈子(2016年)

これは「個人型確定拠出型年金iDeCo(イデコ)活用入門 - 竹川美奈子(2016年)」からの抜粋ですが、iDeCoの口座管理手数料として国民年金基金連合会と事務委託先金融機関に毎月あわせて約170円ほど支払わなければいけません。これはどの証券会社や銀行を利用しても発生するコストです。それ以外に運営管理機関に手数料を支払わなければいけませんが、iDeCoが始まった頃は以下のようにみんなバラバラで、各社の自由裁量で決められます。

個人型確定拠出型年金iDeCo(イデコ)活用入門 - 竹川美奈子(2016年)

SBI証券や楽天証券は今は0円ですが、当初は手数料をとっていたことが分かりますし、当時はスルガ銀行が一番コストが安かったことも分かり、資料は捨てずに残しておくものだと実感させられます。

企業で確定拠出年金を導入する際、メインバンクのところのiDeCoを利用することが多いと思いますが、他に運営管理機関に支払う手数料が安い(あるいは無料)のところがあってもメインバンクの付き合いがあるため、高い手数料を余分に払わなければいけない場合がありますが、それはご愁傷様としか言いようがありません(iDeCoを選ぶときの意志決定者がしがらみを無視してSBI証券や楽天証券を選んでくれればいいのですが)。

それはさておき、今、SBI証券や楽天証券のiDeCoのページを見ると「運営管理手数料が無料!」という文字が躍っていますが、無料なのは運営管理手数料だけで、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関には毎月約170円ほど支払わなければいけません。

楽天証券の方はちゃんと国民年金基金連合会と事務委託先金融機関(信託銀行)に毎月これだけかかりますよとハッキリ書かれていますが、SBI証券の方は小さな字で「※2 運営管理手数料以外に、国民年金基金連合会等への手数料がかかります。」と書かれており、何か不都合なことでも隠すかのようで、楽天証券の方が良心的に見えてしまいます。

実際のところはどうなのってことですが、私はSBI証券のiDeCoを利用しており、このように毎月、国民年金基金連合会と事務手数料にそれぞれ105円と66円(合計171円)支払っています。

SBIのiDeCoの事務手数料履歴

ですので毎月171円は最低でも増やさなければ損をしてしまいます。

元本確保の絶対損をしないあおぞらDC定期(1年)ですが、以下のように金利は1年間で0.010%であり、定期預金で損をしないためには最低でも2,052万円は必要です。つみたてでしか残高を増やせないため、2,052万円になるまでの間は毎月171円減っていきますので、どう転んでも損をします。2,052万円を超えたとしても、それまでに支払ったコストを回収するためにあおぞらDC定期(1年)でやろうとしたらいくら必要なのか想像もできません。

元本確保型商品 - 定期預金 - あおぞらDC定期(1年)

相談を受けた税理士は確かに絶対損をしない金融商品を勧めているので間違ってはいません。しかしこのコストについて知っていたのかどうかは分かりません(税理士も得意・不得意なことがあるので、何でも知っていると思うのはトラブルの原因になるのでやめたほうがいいです)。

毎月5万円、iDeCoで積み立てているのにつみたてた額が5万円の倍数になってなくてなんでだろうと思ったことのある人はこのコストのことを忘れているか知らないと思いますので、一度確認した方がいいと思います。

投資をする上での最大の敵はインフレ

最近、物価が上がった、インフレだ、と耳にするようになりましたが、デフレしか経験したことのない人にとっては天地がひっくり返るほどのショックかと思います。

私もそれなりに投資の勉強をしてきたつもりですが、まともな本には「インフレは最大の敵であり、これを上回るパフォーマンスを出さなければいけない」と書かれています。資産が2%増えたとしてもインフレ(物価上昇)が3%だったら1%資産が減ったことになり、増えたと思ったら目減りしていたということになります。

投資を始めた頃にこのことを知ったので、本にもインフレ率はこのくらいと書いてありましたが、自分の目で確認しようと図書館に行って総務省統計局が出版している「日本の統計」で消費者物価指数(CPI)を調べ、過去のインフレ率の平均を取ってみたところ、約3%と本に書かれている数字とほぼ同じでした。ちなみに日本がバブル全盛期だった頃のインフレ率は20%を超えており、それが2年連続続いていたので最初何かの間違いではと思いました。

年によって物価の上げ下げはありますが、バブルや不況を含めてインフレ率は平均約3%だったので、「デフレで物価が安いぞ、嬉しいな」というときでも最低でも3%を上回る資産運用をする必要があると思います。

さらにiDeCoを利用するとなると、インフレ率の3%に毎月かかる事務手数料等の171円。そして投資信託の信託報酬などを合わせたコストを上回る運用をしなければ資産は増えません。そうなると最低でも4%くらいのリターンを出す必要があると思います。

税制上のメリットがどーのこーのといったきれい事は目にしますが、最低限これだけのリターンを出さなければいけないということを書いた本なり記事はちゃんと調べたわけではありませんが見たことがありません(せいぜい上記の「個人型確定拠出型年金iDeCo(イデコ)活用入門 - 竹川美奈子」のようにiDeCoのコストについて触れられているくらいでしょうか)。

そういえばFPの試験の勉強をした際、最初の方にライフプラン表の作成(であってる?)で、いつ子供が中学受験をするとか、車をいつ買い換えるとか、給料は毎年1%増える前提でライフプラン表を作成して、将来のどこかでお金に困ることはないか確認するというのがありましたが、それにインフレって入ってなかったような気がします。企業は「コスト削減などの努力をしてまいりましたが」と前置きして値上げを発表してきていますからインフレとして反映させる注意があると思うのですが、どうだったかなぁ。

で、どうしろというんだ

1円も損をしたくない人がiDeCoを始めて定期預金を選ぶのは下の下の策なので、それならiDeCoをやらずに手数料のかからない銀行の定期預金をやった方がいいです(金利に税金がかかりますが、それでも預金がマイナスになることはありません)。iDeCoに美辞麗句を並べられても無視すべきです。インフレには負けますが、見た目はお金は減ってませんので、とりあえず希望通りと言えます。

債券への投資は詳しくないですが、平均的なリターンを考えると資産の目減りを減らす程度の効果しかなく、資産を増やす手段としては心許ないです。

そうなると株への投資になるのですが、日々の変動で仕事に手が付かないようでは困りますので、インフレ等を上回ることを目指しながらも安心して寝られるくらいまで株の割合を減らしてポートフォリオを組むしかないと思います。

そんなところでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?