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さすらいのブロンソン『ストリートファイター』

街にやってきたさすらいの旅人が一騒動起こして去っていくという、the西部劇な話を現代風にした映画「ストリートファイター」(1975)についてだ。

こっちじゃないぞ! あと、ネタバレありです。


ファッション

のどかな音楽とともに、貨物列車に無賃乗車したチェイニー(チャールズブロンソン)が街にやってくる。
このときのファッションが激渋で真似したくなる。コートはさることながら、ハッチング帽が本当に格好良い。
自分が真似したら酷いことになるのは分かっているが、真似したくなる。

素っ気ない態度

ストリートファイターを雇って小銭稼ぎしているスピード(ジェームズ・コバーン)と共にニューオリンズへやって来る。
列車から降りスピードに「家まで着いてこい。」と言われるも、「町観光だ。」と一言残してさすらっていく。
この馴れ合わない姿勢は見習いたい。

初日からナンパをかますチェイニー。その相手となんだかんだ言って関係が続くのだが、最後まで手を出さない。しまいには「今日泊まっていく?」と聞かれるも「いや、帰る」と去っていき、愛想を尽かされてしまう。
ついに相手に「新しい男を見つけたから引っ越すわ。」と言われるも、「そうか。」の一言。「なんか言うこと無いの?」と聞かれても黙って背中を向けて去っていく。
こんなことできるのはチャールズブロンソンみたいな漢童貞くらいだ。
今どきの男だったら「いや○○ちゃんちょっと待ってよ。」とホテルに引き込もうとするだろう。そんな野郎共は全員この映画を観てほしい。

言葉に出さない友情

チェイニーとスピードの2人は街1番の金持ちチックのファイターを倒し儲けるが、スピードは金を全部ギャンブルに溶かしてしまう。試合の場を作るために借金をしたもののそれを返せず、借金取りに追われるようになる。
そこにチックがやって来て「チェイニーの権利を半分よこせ」と大金を持ち出す。その話に乗りたいスピードだが、チェイニーは頭を縦に振らない。ついにキレたスピードが「俺のお陰でここまで来たんだ。借りを返せ。」と言ってしまい、チェイニーは黙って去ってしまう。
その後スピードは借金取りに捕まるが、チックが「俺が新しく雇った最強ファイターとチェイニーを闘わせるなら肩代わりしてやる」と申し出る。そうチックはただ街の最強ファイターを所有していたいだけのだ。
チェイニーの手当てを担当した元シャブ中ドクターのポーを通じて、チェイニーに伝えるも「関係ないぜ。」の一言。

しかしいざ試合の時、チェイニーはふらっとやって来る。ポーがチックのいる部屋に瓶を投げ込み「やって来たぜ。」と告げるシーンがイカす。

見事勝利したチェイニーは、スピードとポーの三人で車に乗って貨物列車の駅へ。
「どこへ行くんだ?」と聞かれると「北だ。」と答え、世話してた猫の世話を頼むと大金を二人に渡す。
スピードに「達者でな。」と言われニヤッとして去っていく。
もう完璧である。

「さらば友よ」でもそうだったが、言葉に表さない友情というのが良すぎる。どっちかがバカでヘマをするが、黙って助けてやり、最後はニヤッとする。(「さらば友よ」ではYEAH!!だったが。)
私はこういうのが観たいんですよ。「友達」や「友情」という言葉を安売りする男にはなるな、ということが学べた。


今回の(いつもの?!)ブロンソンの特徴として、ヒロインに対しても友情に関しても全てが適当な所が良い。「あぁ。」「そうか。」「知るか。」の3種類の言葉だけで回答する姿勢に憧れが止まらない。

男は黙って去っていくものさ、というチャールズブロンソンの思いが伝わる良い映画でした。

劇中流れる音楽が良すぎる。アメリカンを味わえる。



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