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悩めるチャールズブロンソン『さらばバルデス』

ネタバレあり

このブロンソンかっこ良すぎる。

チノとジェイミーの友情

ジェイミー少年は旅の途中、チノ・バルデス(チャールズブロンソン)の家に一晩泊めさせてもらうことになる。
チノはインディアンとの混血で街の人々から嫌われており一人で馬を飼ってひっそりと暮らしていたのだ。
ジェイミーはチノとその仕事を気に入って住み込もうとするが、チノは冷たく旅の目的地への行き方を教えるだけ。
しかし翌日ジェイミーが渋々出発しようとするとき、「お前の馬もうちょっと休ませたほうが良いんじゃないか。」とツンデレ度100%の誘いでジェイミーを残らせる。
今まで人に嫌われて生きてきたチノは、普通に接するジェイミーを気に入ったのだ。

その後もなんだかんだあって給料まであげるようになり友情を深める。

そしてクリスマスの季節。ジェイミーが「クリスマスツリー飾ろうよ。」と言うがチノは「俺の故郷にはそんなものはないさ。」と言うだけ。
しかしクリスマス当日、チノは立派な木の枝を持ってきて「クリスマスツリーさ。」と言う。喜んだジェイミーは飾り付けをし、「最高のクリスマスだよ」。チノさんも「そうだな。」と呟く。

嫌われ者のチノが、無邪気な少年と心を通わせる素晴らしいシーンだ。

ジルアイアランドとの愛

本作でもお馴染みのジルアイアランドが、地主マラルの妹キャサリン役で出てくる。

チノの馬を飼いたいというキャサリンは、手下をつれチノ家に訪れ乗馬の練習をする。

ここでブロンソンセクハラポイント。乗馬しているキャサリンを見て「馬に乗って体が揺れてるぜ。ハッハッハ」と下品な笑いをして嫌われる。

また、家で45ってるところをキャサリンに見られオドオドするチノ。

「俺は何を見せられているんだ。」と聞きたくなるシーンが続くが、夫婦のイチャイチャは誰も止めることができない。

ついには馬の交尾で発情してキャサリンを襲ってしまう。

もういい加減にしてくれと思ったその時、マラルも同じことを思ったのだろう。「妹に会ったら殺す。」とチノに伝えに来る。

悩めるチノは、友人のインディアン達のところに遊びに行く。
そして決断したチノ。なんとキャサリンにプロボーズに行ったのだ。しかし成功したは良いものの、マラルに邪魔され結婚式は中止されてしまう。

更に愛する馬たちをマラル殺され、キャサリンは諦めることにしたチノ。ジェイミーに「それで良いのかよ。」と言われるが「良いんだ。」と言って去っていく。

この悲しい顔と背中は、涙無しには観られない。

この映画のブロンソン

この映画のブロンソンはとにかく常に悩んでいるのだ。
「俺立ち退くべきなのかな…」「キャサリン諦めるべきなのかな…」
滅びゆくインディアンに自分を重ね、「自分はいなくなるべきなのでは」とネガティブになっていく。

友達のインディアンのところに行き美しいおっぱいを前にしてもボーッと悩むブロンソン。

そして下した決断が「とりあえず何人か殺してから考えよう。」だ。10人くらい一発も弾を無駄にせずに殺した上で、「分かったよ。どっか行ってやるよ。」と悲しい顔をして去っていく。

最後まで寂しそうなブロンソンだが、唯一ジェイミーと一緒にいる時だけは楽しそうなのが非常に良い。

自分の居場所について、恋愛について、いろんな悩みを抱えている現代人こそこの映画を観て、「とりあえず銃を手に外に出よう。」というメッセージを受けとってほしい。

悩める乙女ブロンソンの物悲しい表情がアカデミー賞主演男優賞級な映画でした。






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