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Vol.24 唯一無二の"ツナコツ"ラーメン アメリカ・NY「YUJI RAMEN」

YUJI RAMEN ツナコツ

「あの銘店をもう一度」第20弾、アメリカはニューヨークの「YUJI RAMEN」が登場。
出店していた期間が2017年3月16日~2018年9月24日なので記憶にも新しい。どんなラーメンか、ひと言で説明すると『通常、廃棄されるアラを有効活用したツナコツラーメン』である。

強火で炊き上げたマグロのアラ

お寿司屋さんなどで『あら汁』をいただくことがあるが、まさにそんな発想。しかし、日本のラーメン史も百年以上になるが、日本人がいろいろ考えて出してきた数々のラーメンの中にそれがなかったということは、何かの壁があったに違いない。
「YUJI RAMEN」を初めて食べに行くときにプレスリリースを読みながら、そんな思いを持って向かったことを覚えている。
「YUJI RAMEN」の創業者は、日本人だった。そりゃそうだろう。アラを使うラーメンなんて日本人以外には考えにくい。その人の名は原口雄次さん。

YUJIRAMEN創業者 原口雄次さん

彼は、『魚を売るだけではなく、鮮度のいいアラの有効活用を顧客に提案』し、本当の意味での魚の素晴らしさをニューヨークで伝え続けた。
その結果、素晴らしい実績を収め、今度は自分の夢とアイデアを実現するために2012年独立し、ニューヨークのブルックリンに「YUJI RAMEN」を開業。

YUJI RAMEN ブルックリン本店

そこで出したラーメンは、マグロのアラを白濁させた「ツナコツラーメン」である。日本人ですらなかなか経験がないアラを使ったラーメンでニューヨークに行列を作ったのだ。
そしていよいよ私もその「ツナコツラーメン」を食べてみた。私は全国47都道府県のいろんなラーメンを食べてきたし、海外では中国を始めとしてニューヨークとアジア諸国のラーメンを食べてきた。なので、たいがいのラーメンには驚かないが、この「YUJI RAMEN」には度肝を抜かれた。当時でも2万杯以上のラーメンを食べてきた私だがこんなにインパクトのあるラーメンはそんなに経験が無い。そして、6年経った今でもまだ出会っていない“唯一無二”のラーメンだった。

YUJIRAMENツナコツ

まず、スープがスゴい。スープが主役。豚骨や鶏ガラなどの動物系食材を一切使用せず、マグロのアラをオーブンでローストし、強火で炊き上げて白濁させたツナコツ(鮪骨)スープ。

強火で炊きあげるツナコツスープ

魚介系ラーメンは日本でもいろいろ登場しているが、ここまでパンチのある魚介系ラーメンはなかなかお目にかかれない。いや、唯一無二と言っていい。
麺は低加水の極細ストレートでスープとの相性も良い。

低下水のストレート麺

具にもビックリ。チャーシューではなく、低温の油でじっくりと火を通した「マグロのコンフィ」なのだ。しかし、決して際物系ではない。魚を知り尽くした原口さんだからこそ辿り着いた「ツナコツラーメン」である。

マグロのコンフィ

これが日本で誕生したのではなく、アメリカからの逆輸入というのが少々悔しいくらいの画期的なラーメンであった。前回の出店時に食べ逃した人にはもちろんこの機会に食べて欲しい。ラーメンの経験値が上がるはず。
食べたことがある人も、改めて食べるチャンス。二度三度食べるとこのラーメンのスゴさに改めて気が付くだろう。もちろん私もそのつもりだ。
出店期間は2023年8月8日(火)~8月28日(月)あの衝撃をもう一度体験してみたい。
文/大崎裕史

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あの銘店をもう一度 第20弾 アメリカ・NY「YUJI RAMEN」
※YUJI RAMENの詳細はコチラ
出店期間:2023年8月8日(火)~8月28日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     第18弾唐津「らぁ麺 むらまさ」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ


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