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Vol.32 30年前の濃厚味噌ラーメンがすみれオールスターズともに復活。札幌「すみれ1994」

すみれ1994の「30年前の味噌ラーメン」

『あの銘店をもう一度 "94年組"』の第5弾は、いよいよ札幌「すみれ1994」の登場である。1994年当時でもかなりのラーメン好きを自称していた私にとって、「新横浜ラーメン博物館」の創館は感動的だったし、オープンが待ち遠しくてその日が来るまでワクワクドキドキの毎日だった。

新横浜ラーメン博物館オープンを伝えるポスター

そんな中、今でこそ、全国でもトップクラスの人気店である「すみれ」だが、1994年当時、私はまったく知らなかった。だからこそ初めて食べたときに頭をガツーンとやられたくらいの衝撃を受けたのを今でも忘れない。
大袈裟に言えば「すみれ」を食べたことによってその後のラーメン人生が変わった、と言っても過言ではない。同じように「すみれ」を食べてラーメンマニアの仲間入りした人が何人もいる。ラーメン店として、それくらいの大きな存在だ。

「すみれ」の創業は1989年である。ラー博の創館が1994年だから、出店交渉を数年間かけたと考えると“有名になる前”どころか、まだオープンして間もないラーメン店を招聘したことになる。

すみれ本店外観(1993年撮影)

このシリーズの原稿で何度も書いたことだがラー博の“目利き”の正確性には何度も驚かされる。芸能界に例えれば、これからどうなるかわからない子役を抜擢したら、30年後に全国で知らない人はいない大物俳優になっていた、というような話である。素晴らしい。

「すみれ」の歴史を丁寧に語ると1964年の頃から話さねばならないのでそれはラー博の記事を参照していただくとする。

創業当時の純連(すみれ)

この連載は『私とラーメン博物館』というタイトルなので『私とすみれ』について手短に触れたい。(全部語ると超長文になってしまう。)
ラー博で初めて「すみれ」を食べた私は、この店を知らなかったことが悔しかった。すぐにでも札幌の本店に食べに行きたかったが、当時は今のように“情報”を簡単に入手できなかった。地方に行くには『地図』『時刻表』『ラーメン本(またはガイドブック)』の“食べ歩きの三種の神器”が必要だった。今でこそスマホがあれば、その三種はスマホで事足りるが、その頃は何かと地方に行くには大変だったのだ。
いろいろ準備をして、1996年頃に初めて札幌に行き、すみれ本店を食べた。それはそれは大きな感動だった。
そしてインターネットが誕生し、いろんな情報が入手できるようになると「すみれ」出身者の存在に気が付く。「すみれ」で修業し、独立して自分の店を出した人達である。

すみれから独立し2000年にオープンした「麺屋 彩未」

私はコレクターだったので「すみれ」が好きでもリピーターのように「すみれ」に通うのではなく、「すみれ」で修業した独立店に行きたくなってしまう性格だった。当然のことながらそういう店は札幌に多かった。なので毎年のように札幌に行った。そして「すみれ」出身者の店も食べまくった。札幌はもちろん、全国の出身者の店を食べた。40軒くらいは食べているのではないだろうか。

今回の「すみれ1994」の出店期間は2024年1月9日(火)~2月5日(月)の28日間。94年組のコンセプトは94年当時の味の再現。30年前の濃厚味噌ラーメンが復活するのだ。多くの「すみれ」マニアは30年前の味と今の味が違うことは周知の事実。

今回復活する30年前の味噌ラーメン

すみれ店主の村中さんはこう語る。「30年前の味噌ラーメンは高度な技術を要するため、熟練の職人しか作ることができません。」なので、少しずつ変わっていき、今の「すみれ」になったのだ。

すみれの村中店主

しかし、今回は30年前の濃厚味噌ラーメンである。そこで今回の特別企画が誕生した。
期間中、店主の村中さんが厨房に立つのはもちろんとして、「私が認めた弟子たちと一緒に30年前の味噌ラーメンを再現します」というのだ。しかも「すみれから独立し、有名店となったお弟子さん12名を"すみれオールスターズ"と名付けました。」とのこと。その12名が日替わりで村中さんと一緒に味噌ラーメンを作るのだそう。

すみれオールスターズのスケジュール

いやはや、今回はラー博に12回行かねばならないようだ(笑)。その12名のメンバーを見たら、なんと11名の店しか食べてなかった。超悔しい。今年中にコンプリートしたい。まずはその前にラー博の「すみれ1994」で『30年前の濃厚味噌ラーメン』を食べ、再度頭をガツーンとされたい。
文/大崎裕史

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あの銘店をもう一度”94年組” 第5弾 札幌「すみれ1994」
※すみれ1994の詳細はコチラ
出店期間:2024年1月9日(火)~2月5日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     第25弾 札幌「けやき」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ

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