Festine lente;悠々として急げ
なじみの料理屋の前には、
木製の古びたベンチが置いてある。
華金になれば、
顔を赤らめた大工が腰かけている。
日曜日の昼下がり、
今は僕のものだ。
昨日は一日中雨だったので、
この日差しが心地よい。
また明日から、
時間との闘い、効率を求めたサバイバルが再開する。
僕には時間がない。
このプロジェクトにアサインされた責任は大きい。
田中は最近小難しい本を読み始めたらしいし、
鈴木はサロンに顔を出しているらしい。
4月から入った後輩は、
皆とても優秀だ。
ここが頑張り時。
だが、僕は焦らない。
焦っても、何も生まれない。
焦り始めている自分に気づいた時こそ、
敢えて悠然とした振る舞いを心がけよう。
このベルリに、
この時代に、
再び生を得たのだから、
死ぬこと以外何も怖くない。
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