愛を考える
テキストマイニングによる歌謡曲の歌詞分析によると
30年前までは常に
「恋」というワードが上位に入り
「愛」は圏外
けれどここ10年程で逆転し
「愛」が上位
「恋」は圏外になったという。
どちらも、英語では同じ「love」だ。
震災後の「つながり」を重視した風潮
最近の若者の恋愛の質の変化
SNSの普及でいつでもお互いが「接続」できて
「すれ違い」が減ったこと
様々な要因はあると思うが
とにかく
時代は
「愛」
に傾いている。
私個人の感覚を並べたてると
恋→不安定、揺れる、急激な温度変化、痛み、刺さる、苦しい、頭の中、炎、、
愛→安定、どっしり、ぬくもり、安らぎ、放つ、包まれる、胸のあたり、遠赤外線、、
むしろこの両者を
「love」という単語でひとくくりにしているのがおおらかだと思う。
◇
エリクソンのエピジェネティック・チャートで
成人期三段階(6~8段階)を読んでいる。
そのうち、第6段階の発達課題は
「親密性 vs 孤立」だ
ざっくり言ってしまうと
「愛と孤独」だ
エリクソンのエピジェネティック・チャートの概念では
「vs」
と表しているが
それは決して対立するものではなく
どちらかに傾くものでもなく
両感覚が矛盾し緊張関係にあるものを
ただただ、受容するしかないという分岐点
と定義されているのが特徴的だ。
つまりは、「バランス」なのだ。
positiveもnegativeもごく当たり前に存在し
緊張しながらも
バランスを保っている。
私たちはただただ
それら両者を受け止めるだけだ。
愛も孤独も。
◇
61年前の
「アイデンティティとライフサイクル」で
エリクソンは「親密性」について
こう語っている。
成人となり
異性にいくら愛を求めようとも
身体で結ばれようとも
それ以前に
自身のアイデンティティを確立していなければ
必ず立ち行かなくなる
異性に愛を求めることで
身体で結ばれることで
自ずからアイデンティティが確立されるのかといえば
決してそんなことはなく
やはり立ち行かなくなる
(異性愛によって、アイデンティティは確立されない)。
それはいくら相手をとり変えても同じことである。
◇
おおらかな「love」文化の国にあっても
なかなか辛辣な指摘だ。
これは今月の授業で取り上げられた教材だ。
来年定年の女性の教授は
「年寄りじみたことだけど
やっぱり順番って大切なのよ」
と、しみじみ語った。
「だいたい最近の若者はね、、」
先生には、まだまだ言いたいことがたくさんあるようだ。