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愛を考える

テキストマイニングによる歌謡曲の歌詞分析によると
30年前までは常に
「恋」というワードが上位に入り
「愛」は圏外


けれどここ10年程で逆転し
「愛」が上位
「恋」は圏外になったという。

どちらも、英語では同じ「love」だ。

震災後の「つながり」を重視した風潮
最近の若者の恋愛の質の変化
SNSの普及でいつでもお互いが「接続」できて
「すれ違い」が減ったこと

様々な要因はあると思うが

とにかく
時代は

「愛」

に傾いている。

私個人の感覚を並べたてると

恋→不安定、揺れる、急激な温度変化、痛み、刺さる、苦しい、頭の中、炎、、

愛→安定、どっしり、ぬくもり、安らぎ、放つ、包まれる、胸のあたり、遠赤外線、、

むしろこの両者を
「love」という単語でひとくくりにしているのがおおらかだと思う。

エリクソンのエピジェネティック・チャートで
成人期三段階(6~8段階)を読んでいる。

そのうち、第6段階の発達課題は

「親密性 vs 孤立」だ

ざっくり言ってしまうと

「愛と孤独」だ

エリクソンのエピジェネティック・チャートの概念では

「vs」

と表しているが

それは決して対立するものではなく
どちらかに傾くものでもなく

両感覚が矛盾し緊張関係にあるものを
ただただ、受容するしかないという分岐点
と定義されているのが特徴的だ。

つまりは、「バランス」なのだ。

positiveもnegativeもごく当たり前に存在し
緊張しながらも
バランスを保っている。

私たちはただただ
それら両者を受け止めるだけだ。

愛も孤独も。

61年前の
「アイデンティティとライフサイクル」で
エリクソンは「親密性」について
こう語っている。

成人となり
異性にいくら愛を求めようとも
身体で結ばれようとも

それ以前に
自身のアイデンティティを確立していなければ
必ず立ち行かなくなる

異性に愛を求めることで
身体で結ばれることで

自ずからアイデンティティが確立されるのかといえば
決してそんなことはなく
やはり立ち行かなくなる
(異性愛によって、アイデンティティは確立されない)。

それはいくら相手をとり変えても同じことである。

おおらかな「love」文化の国にあっても
なかなか辛辣な指摘だ。

これは今月の授業で取り上げられた教材だ。

来年定年の女性の教授は

「年寄りじみたことだけど
やっぱり順番って大切なのよ」

と、しみじみ語った。

「だいたい最近の若者はね、、」
先生には、まだまだ言いたいことがたくさんあるようだ。