見出し画像

東大合格より難関と言われる「囲碁のプロ棋士」 古谷夫妻が教えるプロ棋士を目指すために大切なこと

囲碁棋士の古谷裕八段と妻で囲碁インストラクターの由希子さんは、大阪で碁会所「梅田囲碁センター」を営みながら、併設された「ふるや塾」で未来のプロ棋士の卵たちを育てています。

東大に合格するより難しいと言われている囲碁のプロ棋士ですが、2017年、弟子を取り始めて5年で古谷門下から二人も棋士が誕生しました。

棋士を育てる古谷夫妻が日々の指導の中で大切にしていることや、自身も棋士である古谷裕八段の棋士として活躍するための秘訣を伺いました。

Ramune Method #06 古谷 裕・古谷 由希子
勝負所を乗り切る為のエネルギー源

古谷さんご夫婦プロフィール写真

古谷裕
関西棋院所属、棋士八段。1993年に15歳でプロ入り。2009年NHK杯ベスト8。2017年産経プロアマトーナメント戦優勝。
古谷由希子
囲碁インストラクターとして多方面で活躍。
約10年間の子ども囲碁教室の講師経験を活かし、2012年から夫婦で弟子を取り始める。2017年に古谷門下から初のプロ棋士を二人輩出。
昨年5月に大阪梅田にて碁会所「梅田囲碁センター」を継承し、地域に根ざした囲碁を楽しめる場所を提供している。

ー 囲碁のプロ棋士になるのは非常に狭き門だと伺いましたが、古谷門下からは弟子を取り始めて5年目で2人もプロ棋士が誕生されています。棋士になる夢を掴むためには、何が大切なのでしょうか?

由希子さん:
まずは、年齢が大事になってきます。囲碁のプロになる年齢制限は将棋よりも厳しく、院生は18歳までです。幼少期に、いかに早く囲碁に出会うかで差は出てくると思います。

その上で、強みは様々ですね。1回打った後の手先を何十手も読むのが得意な子もいれば、感性が良い子もいます。共通している点を挙げるとすれば、算数や数学が得意ということでしょうか。

強くなるためには、学習や練習の積み重ねはもちろんですが、メンタルや自覚心を鍛えることも大切です。心が安定して良い状態であれば集中力も高まり、自分の力を発揮することができます。

試合に勝つためには、普段通り自分の力を発揮できるかが重要です。もちろん、簡単なことではありません。練習を積み重ねてきても、緊張したり、相手を侮ったりしてしまうと、本来の力が発揮できずミスにつながります。常にニュートラルな状態で試合に臨むためには、メンタルの強さは必要不可欠でしょう。

私たちの「ふるや塾」では、メンタル面をサポートするための指導や環境整備に特に気を使っています。

画像2

取り組みの一例として、子供たちにはよく「強くなることと勝つことはどっちが大事?」と聞くようにしています。

意図としては、強くなることに意識を向けることで、目先の勝ち負けや失敗に囚われない心を持ってもらうためです。勝敗には相手の調子も関わってくるので、自分一人ではコントロールできませんが、少なくとも自分が強くなることにこだわることで、勝てる確率は上がっていきます。

例えば対局中にミスをした時、メンタルが安定していればパニックになったり焦ることも少なくなります。すぐに挽回できれば、勝つ可能性につながりますよね。

もう一つ挙げるとすると、感謝ができる子は強い印象があります。周りへの感謝の気持ちをパワーに変えられている子は、メンタルも強く、さぼらない傾向があります。

オリンピック選手や世界で活躍している選手が、インタビューで感謝を伝えている人が多いのを見ても、原動力として感謝の力は大きいなと感じています。

画像3

ー スポーツでも仕事でも、ここ数年メンタルの重要性は注目されていますね。メンタルが安定することで集中力も発揮できるとのことですが、対局中は手を読んだり計算をしたり、常に集中力を維持する必要がありそうですが、どのように集中力を維持されていますか。

裕さん:
囲碁は、深い集中と浅い集中の波があります。というのは、囲碁は簡単に言うと陣地取り合戦なので、相手より領土が多かった方が勝ちなんです。そのため、部分的な判断と大局観で判断することの両方が大事になってきます。

部分的な判断をするときは、相手の手を読むので深く集中しますが、大局観で判断をするときは、碁版全体を見て浅く集中した方がアイデアが浮かびやすかったりします。対局後半になると、勝負を左右する大事な局面を迎えるので、集中を持続させる必要があります。頭をクリアにして臨まないと、一手の間違いが命取りにつながります。

しかし、終盤になるにつれて、疲れは溜まるし、頭がぼーっとするので、甘いモノを食べる棋士は多いですね。ぶどう糖をそのまま食べる人もいますし、僕は森永ラムネを食べるようにしています。具体的なルーティンとしては、残りの持ち時間が30分になったら食べるようにしていますね。

画像4

プロ棋士を目指す院生からも、どうすれば疲れを残さずに集中を保てるか、という相談をよく受けます。そういう時は、自身の経験からも森永ラムネを進めていますね。

すでに取り入れている子も多くて、ご飯の代わりに森永ラムネを食べて、エネルギーをコントロールしていると聞きます。そういう意味で、森永ラムネは棋士の世代を問わず、勝負所を支えてくれるエネルギー源になってくれていると思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?