詩・アイロン

雨上がり

ハンカチを落としてしまって
染みができてしまった
染みができてしまった

ぼくは急いで家に帰って
洗濯をした
洗濯をした

乾く間も惜しんで
アイロンを掛けた
アイロンを掛けた

誰にも見つからないように
ぼくがハンカチを落としたことを
誰にも知られないように

アイロンを掛けながら
染みを探した
染みを探した

染みはすっかり落ちていて
ぼくは安心した
ぼくは安心した

念入りにアイロンを掛けて
シワを伸ばした
シワを伸ばした

ぼくが落として汚してしまったハンカチは
生まれ変わったみたいに
キレイになった
キレイになった

ぼくは、あんまりキレイになったから
ハンカチを落としたことを
忘れてしまった
忘れてしまった

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