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いのちのひかり




ただ、そこに居た



何もない、そこに



ただただ、そこに居た


とてもしずかな場所




何もない、はずなのに


重たい


なぜ?


わからない




なにかがいる


いつから?


わからない


上手く身動きが取れない

なにかに抑えつけられている


苦しい


「だれか…」


誰も来ない

だれも居ない



わたしは、ただ、そこにいる

そこにいるしかないのだ


無数の光が降ってくる


「やだやだやだやだ…」


逃げたいのに、逃げられない

どうしたらいいか、わからない



「まぶしい…」



あっという間に暗闇が消し飛び、眩い光に覆われた


このままでは生きていけない

この世界には存在できない


「だれか…  たすけて…」


ただただ、そう願った

しかし、誰も居ないのだ


とてもしずかな場所がそこにある



「わたししかいない」

他に術がなかった

守らないと保てない



すっぽりと包み込んだ


「あったかい…」


深く深く呼吸する


ただ、その空間に漂う


見上げた世界は、優しい色をしている


身体は自由だ


ふわふわと漂っていられる




どれくらい、そこに居ただろうか


「あれ、おかしいな…」


少しずつ、世界の色が変わってきた


優しい色だと思っていたそれは
薄ぼけていた


無数の光の輝きはわからない

あたたかなそこはあたたかなまま
存在し続けている


なにか違う


なにが?


「わたし、ここに居たいのかな」


ぼんやりとした、光


ここから見える世界は変わらない


だとしたら、



「つまんない」

なにが起きている?




光を浴びることを恐れていた

触れることを恐れていた


光に攻撃されると思っていた

でも、違うみたい


光の正体はなんだ?


強いエネルギーを放つ

自分の存在を際立たせる


輪郭を曖昧にしていた自分という存在


「見たくない」


自分が存在することを認められなかった
見たくなかった

ありのままの自分が明らかにされる

見ることのできなかった自分



「でも…いまなら…」

光をもっと見たくなった

いまなら触れられるかもしれない


痛かったらまた膜の中に戻ればいい


そーっと手を伸ばす



「…あったかい」



あたたかく自分の周りを覆った

光はあたたかかった


何を攻撃だと思っていたんだろう

強すぎると思っていた光は、わたしを包み込んだ



光はわたしの味方だ


外の世界を見る


「うわぁ…」


こんなにも色鮮やかな世界が広がっていただなんて

ふわふわと漂う


どこへ行ってもいい


心の赴くままに


漂っていく


つよく風が吹く


漂っていると流される

進みたい方向に進めない

「どうしよう…」

重い鎧はもうたくさん

思ったように進まない時もある

それでいい

わたしには光のエネルギーがある

エネルギーを受けて輝く

自ずと進んでいける

遠くに吹き飛ばされたとしても

新たな世界が見えてくる



大丈夫




「わたしはここで、生きている」


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