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懐かしい時代の機内誌が出てきた。

Caralway 1993年 真夏風号

 20代後半から30代前半にかけて頻繫に沖縄に行っていた。
 いつものように那覇から石垣島へ行くために南西航空の乗り継ぎを予約しようとしたら、エアラインの名前が変わっていた。
 日本トランスオーシャン航空。
 南西航空という名前の響きは気に入っていたので少し残念な気もした。
 いつも持って帰っていた機内誌のコーラルウェイはそのまま変わらずに残った。
 名前が変更になった時の初号なので、これは特に残していたらしく、本棚から出てきた。

JALとの結びつきが強まりロゴも似た感じになった。

 昔のローカルな匂いのするやぼったいオレンジのラインの入った機体も好きだったので、すっかりあか抜けてしまい少しがっかりした記憶がある。

 執筆陣も椎名誠、中村征夫、島田雅彦、池澤夏樹となかなかの布陣である。PR誌が輝いていた時代だった。
 機内誌や車内誌は今もある。このところ東北新幹線を利用する機会が多いのだけど、座席ネットの中にあるトランヴェールはあまり手に取られた形跡がない。会社によっては読んでもらおうと頑張って作っているもののあるが、ショッピングガイドのようなものも多くなっている。
 合理性や費用対効果も大切だけど、無駄の中に宝があると信じたい気もする。こういうあまり顧みられない雑誌の充実に、時代の文化への意識が映し出されるのかもしれない。文化は人の心を動かす。

 手に取っただけで、ただただあのころの沖縄が懐かしい。
 いや、沖縄で遊んでいたあのころの自分が懐かしい。
 一冊の機内誌にもさまざまな記憶を喚起させる力がある。

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