山形県の暴力団情勢

現在の暴力団情勢

・概況
2019年前期の山形県の暴力団情勢は、県内3団体7組織約130人(うち構成員100人)となっている。3団体とは住吉会、極東会、浪川会の3系列に属する2次団体を示している。さらに下部組織として3次団体4組織が存在し合計7組織と理解される。
※出典:①

画像4

・全国における割合
山形県の暴力団構成員等は、全国の0.4%程度を占めている。山形県の人口、GDPが全国に占める割合と比較すると、暴力団構成員等が比較的少ない地域であると思われる。
また構成員に対して、準構成員が少ない事も特徴である。

山形県


暴力団勢力の推移

・構成員等の推移
山形県の暴力団構成員は、1963年の1,210人をピークとしている。確認できた時期、数値は以下の通り。
1963年 1,210人
1972年 600人
1977年 700人
1987年 800人
2011年 290人
2018年 100人(準構成員含めると130人)
※出典:②、⑥及び警察白書
暴力団構成員の推移の全国的傾向(青線)と合わせて比較すると、近年は類似して減少傾向にあると推定される。
※注 全国的傾向は1990年以前は構成員のほかに準構成員を含んでいる。1963年を起点として、構成員の増減率を当てはめている。

山形県暴力団構成員

・組織数の推移
また、組織(団体)数は1988年に31組織が活動し、2010年に13組織、2018年末には7組織に減少している。

県下組織の変遷

山形県を勢力範囲として昭和中期以降、現在まで至る暴力団は主に極東会系(極東関口)、住吉会系(住吉連合)となる。
※注 稲川会も進出していた可能性もあるが、情報がなく省略している。

山口組は1989年に山形市の縄張り争いを発端にみちのく抗争を起こし、有利決着したことで山形県に勢力をもつに至った。

浪川総業は、山形県内で活動していた極東会系下部組織の組員らが組織壊滅に伴い1996年、親交があった指定暴力団道仁会に加入して立ち上げられた。
※注 出典が不明確につき参考情報扱い。なお2006年の道仁会分裂とその後の経過を経て、指定暴力団・浪川会の2次団体として現存する。

山形県下暴力団の変遷イメージ

山形県下の抗争事例

・1971年6月   地元組織×山口組系
・1989年11月 極東関口一家谷畑二代目佐藤会系×山口組系(みちのく抗争)
・1992年4月   住吉会系山口一家×山口組弘道会系  
・2003年5月   住吉会系×山口組弘道会(北関東抗争の一部)
※出典:③⑦⑩及び警察白書。一部筆者が補正を加えている。
うち、みちのく抗争は、山口組による東北進出を象徴する事例であった。山形、青森、秋田、東京、岐阜で12件の抗争事件が発生した。

近年のトピック

・暴力団の弱体化
2011年8月、山形県で暴力団排除条例が制定された。その前後より暴力団排除の動きを受け、解散・合併等が起きている。

【解散事例】※出典③
2010年6月 稲川会系沖田組(天童市)※
2010年9月 山口組弘道会金田組結城組(山形市)・小沢組(鶴岡市)
※後に、沖田組の退去事務所を浪川総業が拠点化する事案が発生。出典④

【合併事例】※出典②、⑤
〇合併前 住吉会奥州小島一家(米沢市)
     住吉会奥州山形二代目(山形市)
        ⇓ 2018年2月
〇合併後 住吉会奥州山口一家六代目(米沢市)
                       
                      ~動画:奥州山口一家六代目事務所への家宅捜索~


・山口組系暴力団の消滅
山口組は1990年前後に山形県に本格進出し、系列暴力団が活動を続けていたが、2014年以降消滅している。消滅の主要因は暴力団排除の社会情勢を受け資金源の獲得が困難であったこと、また山口組一強の県ではなく強固な地盤を築くには至らなかったことも背景にあると推察される。その後も再度の進出活動は見られず2018年時点で、広島県及び沖縄県と並んで山口組(神戸山口組含む)が活動しない県となっている。

考察

山形県の暴力団は減少傾向にある。今後も暴力団排除が社会のあらゆる場面で進む為、山形県の暴力団は毎年減少が進行することは確実である。
今後は、離脱者の社会復帰支援や半グレの台頭防止に注力することが行政及び一般社会に求められる。     

※出典

①山形県遊協 会報第308号2019年3月号
②山形新聞「県内の暴力団構成員、過去最少も油断大敵」2019/6/7(金) 11:51配信
【記事要旨】
・本県の暴力団構成員数が過去最少の約100人となったことが6日、県警組織犯罪対策課への取材で分かった
・現在と認定基準は異なるものの、県内で最も構成員が多かったのは1963(昭和38)年の1210人だった。
・本県の構成員数では11年に300人を切り約290人となって以降、年々減少。18年は約100人にまで減ってきている。
・住吉会、浪川会、極東会の三つの指定暴力団傘下の2、3次団体7組織が組事務所を構え、活動している。このうち住吉会系の奥州山口一家六代目は昨年、合併設立され、米沢市内を拠点とする新組織。
山形県議会「平成23年2月定例会 文教公安常任委員会の主な質疑」

④毎日新聞「浪川総業:天童に新事務所 解散した組の後に / 山形」  2011年4月22日 地方版
【記事要旨】
・天童市が本拠の九州誠道会系暴力団2次組織「浪川総業」が、昨年6月に解散した稲川会系2次組織「沖田組」の同市のマンションの一室の元事務所を、新たな事務所として活動を始めた可能性がある。
・県警は12日、沖田組の元事務所で、容疑者(43)を、暴力行為処罰法違反容疑で逮捕した。部屋には「浪川総業」の看板が掲げてあった。
⑤配信元不明 2018年5月
・山形県米沢市、山形市両市内にそれぞれ拠点を置く、指定暴力団・住吉会傘下の2つの組織が合併し、新組織を設立したことが分かった。
・新組織は住吉会系の「奥州山口一家六代目」で、米沢市内に拠点を置いたとみられる。
・山形県警は、ともに住吉会系で同市内の「奥州小島一家」と、山形市内を拠点とする「奥州山形二代目」が2月ごろに合併したとの情報を確認し、先月、新組織として認定した。
・県警のまとめでは、これまで県内の指定暴力団傘下の組織は、この住吉会系の2組織の他、酒田、鶴岡両市内で活動する極東会系「研谷十七代目」、福岡県に本拠地があり、天童市内に拠点を置く浪川会系「浪川総業」など3指定団体の8組織が確認され、構成員や準構成員は計130人程度となっている。今回の組織合併で、県内では7組織となった。
⑥鶴岡ロータリークラブ1449回例会 会報 1988/3/15

⑦山形新聞「組事務所に発砲、犯人は逃走・夜の山形」2003/5/21
【記事要旨】
・20日午後8時40分ごろ、山形市松波4丁目で、指定暴力団山口組系の事務所周辺を警戒していた捜査員から、銃声を聞いたとの無線連絡があった。同事務所の東側窓ガラスを貫通するなど、計5発の弾丸が見つかった。
・山形市城西町2丁目で15日早朝、暴力団関係者の男性が3人組とみられる男に拳銃で胸などを撃たれ、重傷を負う殺人未遂事件が発生。
・栃木県内では、指定暴力団住吉会系と山口組系の抗争事件が相次いで発生している。17日夜には、この抗争事件と関連がある栃木県内の住吉会系の関係者とみられる男2人が、山形市内で盗難ナンバーを付けて運転していたとして道路運送車両法違反の疑いで逮捕された。19日夜には福島市内でも山口組系暴力団の関係者が何者かに拳銃で撃たれて軽傷を負っており、栃木県で発生した抗争事件が東北地方に飛び火した可能性もあるとみられている。

⑧暴力団・沖田組「解散」2010年06月16日(再引用・元出典不明)
【記事要旨】
・天童市に拠点を置く稲川会系暴力団「沖田組」がこのほど「解散」した。沖田清組長(48)が今月、「解散」を宣言したという。
・組員は約50人で県内最大勢力とされるが、県警の取り締まり強化もあり、最近は天童市の事務所にも組員の姿が見られなくなっていた。
・沖田組は、2006年ごろから県内トップ級の資金力を誇った。20~30代の若い組員が多いが、最近は組員の逮捕などが続いた。沖田組長が上部組織のある神奈川県横須賀市に滞在することも増え、主な幹部も県外に出ていたという。
・一方、県内の暴力団の勢力は近年横ばいが続いている。山形、天童、米沢、酒田、鶴岡の各市に、いずれも指定暴力団の住吉会、稲川会、山口組、極東会、九州誠道会の各系列の13組織があり、総勢は約300人。いずれも県外の上部組織に月数十万~百万円程度を上納していると見られる。
⑨暴力団2組の活動停止認定 県警 弘道会系計3組織/山形全国最多
2010/10/20(再引用・元出典不明)
【記事要旨】
・県警は19日、いずれも指定暴力団山口組弘道会・金田組傘下の「結城組」(山形市)と「小沢組」(鶴岡市)の活動停止を認定したと発表した。
・2004年以降、県警による弘道会系暴力団への活動停止認定は計3組織となり、全国最多となった。県警によると、構成員は、結城組が約30人、小沢組が約10人。いずれも組員が減少しており、9月下旬に活動停止を認定した。
⑩山形県議会会議録抜粋


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