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仮面ライダー555 20thパラダイスリゲインドを見た 夢の続きは胡蝶の夢だった

ライダーファンの皆ごきげんようランガタロウです

仮面ライダー555の20年ぶりの続編 しかも今までのようなパラレルではなく「TVシリーズの最終回の続き」と言われ皆が不安になったパラダイスリゲインドを見てきました

ここから書くのは作品の感想ではなく
長年東映が続けているライダーというコンテンツをどう処理していくかという部分への感想となり「あのシーンは555のTVシリーズ解釈からすると」みたいなディープな感想は出ません

思えば不思議なVシネです
「仮面ライダー555 TVシリーズの続編」と言いながら
TVシリーズでは死んだはずの草加雅人や北崎が登場し
王が誕生しなかったことでほっといても滅びることが決まっている
オルフェノクをわざわざ狩ろうとするスマートブレイン。

一方であの頃と変わらないぶっきらぼうさを見せるも
演じる半田健人氏に貫禄が付きすぎて渋い親父さんが
乾巧をやっている不思議な光景に対して 乾巧自信が「俺は自分がわからない」とこぼす

平成ライダーという作品に対して東映がディケイド等で繰り出した
「ヒーローは番組という単位で存在しており」
「キャラクターだけになって登場する時にはオリジナルのキャストすら不要」とする春映画システムの真逆である「じゃあわざわざ オリジナルのキャストを読んで あの番組の続きを作る」という春映画の逆に挑んでいる

「春映画だから草加雅人が雑に復活したのだろう」と思っていた視聴者に「これは草加雅人を模した偽物のアンドロイドです」という事実が開示されてカイザが敵になりこちら側に牙を剥く

もう本物の草加雅人は本編で死んでるのだから蘇らない
これはTVシリーズの続きをやっているからだという答えだが、でも草加雅人が出てくるのはファンサービスなのか?というとそれは違う
かつてムービー大戦2010で昭和ライダーのヒロインを連れて歩く
門矢士に「死人を連れ歩く」という言葉を使った、過去のコンテンツを掘り起こして再利用するのは死人使いなので、「ディケイドの物語」にするには全てを破壊して再構築が必要と結論づけたのがあの頃の東映だった。

井上敏樹氏と白倉プロデューサーの直近の作品に
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」というスーパー戦隊がある
この作品は最終的に「ドンブラザーズ という作品の主人公である桃井タロウは無敵の主人公だが 最終回が近づくと主人公という役割から降りて記憶を失い一般人になってしまう」という「テレビ番組」という存在に対して非常にメタフィクション的な作品だった

555ネクストもそういうメタフィクションの構図の中で
「あんなに綺麗に終わった作品の続きをわざわざ作ってもこの結末しかないぞ」であんな感じになったオーズ復活のコアメダル(アンクとエイジが再び出会う時はエイジが死ぬ時しか無いんだから続編を作ったらそこをやるだけになるぞ?で暗い話になる)

みたいな冷たい方向性ではなく
「仮面ライダー555という番組が作られる限り それが偽物であっても
草加雅人などの人気キャラクターは再配置され”仮面ライダー555”という番組を再演し続けるだろう。そして演じるものもどれだけ時が経っても”乾巧”を演じようとしてくれるだろう だがそれでまた戦いが始まって誰かが何かを失ったとしても それは番組を再演したが故の不幸ではないし 彼らも不幸だとは思ってないし 先に進むこともできる」という

なんというか「少女歌劇レヴュースタァライトの舞台少女みたいな結論」にたどり着いてしまった

俺たちや東映が仮面ライダー555を掘り返す限り
また草加雅人は園田真理に厭らしい顔で迫り
オルフェノクか人間が迫害され
乾巧はまた何か事情を抱えて答えの無い問題に巻き込まれる
でもそれは決して不幸なことではなく「それでも少し前に進むかもしれない」という話をして終わったのが本当に「し、白倉プロデューサーも井上敏樹もドンブラザーズ終わってから こんな優しい結論が出せるようになったんだ…」という感覚になってしまい、なんかうるっとした。

その本来555のファンとかオタクが見て抱えるべき
「乾巧は本当にこんなことを選ぶだろうか?」みたいな
疑問を抱える暇が無かった
素直に作品を見ておらずメタフィクションな部分だけ見ていると批判されるかもしれないが「夢の続き…見せてやるよ」というキャッチコピーの通り

仮面ライダー555とは胡蝶の夢なのだろう
我々が見ているその時その時しか555の世界には無いのだ
「この20年に何があったか」という間は本当は存在しなくて
視聴者が垣間見たその場所しか無いからパラダイスリゲインドが成立する
でもそれ故に「お前達が続きを望んだからこんなところにたどり着いてしまった」という露悪的な続編ではなく 555の物語はどこにもたどり着かないまま「懐かしい未来」を再演し続けるという歌と共に締めくくられる。
少しずつ呼べなくなった演者を代替する「なんか若い子なのに当時のキャストにすげー似てる…」若者たちと入れ替わりながら(あの子達すごかったね… あとデルタになるやつのデルタ具合が)

それはそれとして嬉しかったのは東映のVシネマなのに
明らかに映像の質が良かったことだ。
基本的にライダーのVシネマは短いスケジュールと低予算でやるので
TVシリーズならビームが出てたであろう銃がCG予算が無くて火薬発砲し
映像の色味調整も出来ないのかホームビデオで取ったような画質で
お出しされることも少なくない。

一方で555はしっかりとCGが使われ、アクション面でも細かい部分でワイヤーアクションで吊ってジャンプを高くするようなやつを色んな場面でやっていたり。新しいベルトである555ネクストのアクセルフォームに至ってはシン・仮面ライダーのハチオーグ戦並みに気合が入っていた。

そして新しい仮面ライダーである仮面ライダーミューズを演じた
福田ルミカさんがめちゃくちゃ良かった。
井上敏樹の濃いキャラ付けで登場しながらも「顔」の演技がめちゃくちゃ良くて凄い良かった うん。

というわけで今回の感想はこれまで。
皆はどうだったかな
ではまた次の感想までごきげんよう。


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