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秋の七草

もう九月も半ば。さすがに日々(真夏に比べると)過ごしやすくなってきました。

万葉集で山上憶良が、秋野の花を詠む歌二首として巻八に

秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花(1537)

萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花(1538)

という歌があります。1538の方が有名でしょうが、七種はななくさと読み、この二首があることで、おそらく730年ごろには秋の七草という観念がそれなりに定着していたのだろうと推測されます。

1538をご存知の方は、秋の七草早覚え歌のように思っておられるかもしれませんが、憶良は七種をよく知られている順、語呂のよい順、など色々こねくり回しながらこの歌を作ったのでしょうか。花の名前の文字数も指折り数えたのかなと思うと近しく感じられます。

春の七草はお粥にすることで有名ですが、秋の七草で現在、食べることをすぐ想像できるのは葛の根から採れる葛粉くらい。ただ、秋の七草はこの時期の代表的な薬草だったのではないかという説もあるようです。以前、1538でいう朝顔とは桔梗のことだという話を書きましたが、桔梗の根は今も鎮咳薬等として使われます。

秋の七草は、葛は結構力強い花をつけるからかあまり見ませんが、他はお茶席でもよく使われます。それぞれの花については、書ける話がありそうなので、また別の機会に。

今日の菓銘は「おみなえし」。
今は漢字だと女郎花の字ですが、万葉集の原文では姫部志と書いておみなえし。姫がおみな(女)ですね。男郎花と書いておとこえし、という花もあります。蘭月は旧暦七月を指しますが、女郎花月も旧暦七月の異称だとか。秋の花満開の月なのですね。

この週末、アレの関係で大阪梅田は賑わいそうですが、わたしは近寄らないで静かに過ごしたいと思っています。インフルもコロナも実はかなり流行っているとか。この連休に高齢の方と会うご予定の方は、まずはご自身の体調にお気をつけて。

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