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#自宅で洋楽ラップを楽しむ週末

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コロナウイルス感染爆発の重大局面ということで、週末の外出を避けて、家にこもられる方へ。過去記事の一部を無料でお読みいただけるようにしました。家篭りのお供にお使いいただければと思い… もっと読む
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記事一覧

XXXテンタシオンにマルコムXを見たコダック・ブラックの共感を読む。(Kodak Black - "Malcolm X.X.X.")

Writer:@imamole_ 7ヶ月に渡る服役を経て、今年6月に晴れて出所したフロリダ出身のラッパー・Kodak Black。 彼が今月に発表した最新作『DYING TO LIVE』の9曲目「Malcolm X.X.X. 」では、6月に20歳の若さで銃撃され亡くなったラッパー・XXXTentacionと、同じように射殺され悲劇の死を遂げた黒人公民権運動家・マルコムXを照らしあわせるように、自身のラップを展開しています。 亡きXXXTentacionに届かぬ想いが綴ら

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服役を経て、変わらぬストリートな態度を強調するコダックを読む。(Kodak Black - "Identity Theft")

writer:@raq_reezy 今回は、Kodak Black(コダック・ブラック)の最新アルバム『DYING TO LIVE』から「Idendtity Theft」を解読したいと思います。 コダックは、1997年生まれのラッパーです。昔から家宅侵入や喧嘩などをしていたようで、小学5年生のときには喧嘩を理由に退学になり、中学校では車の窃盗を理由に逮捕された経験があります。 さて、2009年に12歳でラップを始めたコダックは、2013年から毎年ミックステープをドロップ

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ニプシー・ハッスルがYGらに授けたストリートの知恵を読む(Nipsey Hussle - "Last Time That I Checc'd" feat. YG)

Writer: @vegashokuda 第61回グラミー賞のノミネーションが発表されましたね。最優秀ラップ・アルバムには、ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)が今年2月にリリースした『Victory Lap』がノミネートされています! 2011年頃からニプシーを聴いてきた身として、待望のデビュー・アルバムのリリースは感慨深いものがありました。グラミー云々関係なく素晴らしい作品ですが、どうせならこの勢いでグラミーも獲ってほしいと個人的には思っています。ニプシー

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ミーク・ミルの歌う、「ヒップホップゲームのルール」を読む。(Meek Mill - "Respect the Game")

Writer:@raq_reezy ミーク・ミルの最新アルバム『Championships』がリリースされています。 ミーク・ミルといえば質実剛健な実力派ラッパーですが、そのキャリアは困難の連続です。世界的なトップスターであるドレイクとビーフを繰り広げると、所属レーベルMMGのボスであるリック・ロスから「ドレイクの方がミークよりも良い」とツイートされてしまい、世間の笑い者に。 付き合っていたニッキー・ミナージとも別れ、さらには遥か昔の罪で保護観察になっていた件で、随分と

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ヒップホップをコアに持つR&B野郎が見せる、 冷静と情熱の狭間(6LACK - "Nonchalant")

Writer: @vegashokuda あっという間に今年ももうすぐ終わりですね。今回はアトランタ出身のシンガー=6LACK(ブラック)が9月にリリースしたアルバム『East Atlanta Love Letter』収録の「Nonchalant」のリリックを解読していきます。 6LACK - Nonchalant 6LACKの音楽は、ジャンルでいえばどちらかというとR&B寄りですが、"a R&B ni**a with a Hip-Hop core"(『East Atl

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20代中盤を迎えて、歳を意識したアミーネの憂鬱。(Aminé - "Dr. Whoever")

Writer:@raq_reezy 今回は、アミーネを取り上げたいと思います。 アミーネはポートランド州出身のラッパーで「Caroline」がビルボードで最高11位を記録しました。 2017年にリリースした1stアルバム『Good For You』はゴールドディスクとなっています。 そんなアミーネが今年リリースした2ndアルバムが『OnePointFive』です。 今回は、そのアルバムから1曲目の「Dr. Whoever」を解読・和訳していきたいと思います。 イン

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ヴィンス・ステープルズの荒んだ現実主義的なリリックを読む。(Vince Staples - "Don't Get Chipped" feat. Jay Rock)

Writer:@raq_reezy 今回は、本マガジンで2回目となるアーティスト、ヴィンス・ステープルズの曲を解読していきたいと思います。 ヴィンスは、独特の機械的で無機質なチューンに、冷めたシニカルなラップを乗せる、ユニークなアーティストです。 あわせて読みたい 物質主義と一線を画すVince Staplesのパーティーソングを解読する。 さて、今回解読する曲は、最新アルバム『FM!』から「Don't Get Chipped」です。 それでは、さっそく解読に入って

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トラヴィスの隠喩と、ドレイクの攻撃的なスピットを楽しむ(Travis Scott - "SICKO MODE" feat. Drake)

Writer:@imamole_ 8月に発表されたヒューストン出身のラッパー、トラヴィス・スコットの3枚目となるスタジオアルバム『Astroworld』から、ビルボードホット100で彼の歴代最高位2位を獲得したサードシングル『SICKO MODE』。 客演陣には、破竹の勢いでシーンを賑わすドレイクを筆頭に、スウェイ・リー、ビッグ・ハウクの3人が揃っています。そして曲の雰囲気をガラリと変えるビートチェンジがとても印象的で、まるで1曲の中に3つの曲が凝縮されているかのような聴

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「ビジネス」に徹する新鋭2人の姿勢を読む。(Lil Baby & Gunna - "Business Is Business")

Writer: @vegashokuda リル・ベイビー(Lil Baby)とガナ(Gunna)がリリースしたコラボ・アルバム『Drip Harder』が人気ですね。2018/10/27付でビルボード4位を記録しており、さらなる躍進が期待されます。 リル・ベイビーとガナは、ともに(広義での)アトランタ出身のラッパーであり、それぞれ94年生まれ/93年生まれとまだ若いです。新人ラッパーということもあり、「名前は聞いたことがあるけど、よく知らない…」という方も多いかと思うので

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ロジックの絶妙なバランス感覚で説かれる「生き方」を読む。(Logic - "Everybode Dies")

Writer:@raq_reezy 今回はロジックがリリースしたアルバム『YSIV』(Young Sinatra IV)から、「Everybody Dies」を和訳・解読してみたいと思います。 ロジックについては、以前ブログの方に紹介を書いているので、どんなラッパーか知りたいという方は、以下をご覧ください。 Logic(ロジック)、美しい「白鳥」になったラッパー さて、今回の曲は「Everybody Dies」というタイトルの通り「誰もがいずれは死ぬ」ということを前提

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女性を送り込んで犯行を働くリル・ウェインのストーリーテリングを読む。【後編】(Lil Wayne - "Mona Lisa" feat. Kendrick Lamar)

Writer:@raq_reezy 前回はリル・ウェインの「Mona Lisa」を2バース目まで解読しました。(前編はこちら) なので、今回は3バース目のケンドリックのバースを解読していきたいと思います。 最初に少し内容を振り返っておくと、この曲「Mona Lisa」は、リル・ウェインが犯行パートナーの女性をお金持ちの男のもとに送り込んで、その女性がリル・ウェインたちを招き入れることで強盗や盗みを働くというストーリーテリングとなっています。 そして、3バース目はケンド

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女性を送り込んで犯行を働くリル・ウェインのストーリーテリングを読む。【前編】(Lil Wayne - "Mona Lisa" feat. Kendrick Lamar)

Writer:@raq_reezy リリースからしばらく経ちましたが、ビルボードも1位、初週のストリーミング回数もドレイクの『Scorpion』に次いで歴代2位を記録するなど、絶好調のリル・ウェインによる『Tha Carter V』。 前回は「Don't Cry」を解読しましたが、今回はアルバムの中でも一番の話題作「Mona Lisa」を和訳・解読していきたいと思います。 この曲では、ケンドリック・ラマーも客演として参加して、『To Pimp a Butterfly』の

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XXXテンタシオンのボーカルを用いた、リル・ウェインの死生観を読む。(Lil Wayne - "Don't Cry" feat. XXX TENTACION)

Writer:@raq_reezy 今回は、先日ついにリリースされたリル・ウェインの最新アルバム『Tha Carter V』から、「Don't Cry」という曲を解読したいと思います。 この曲では、今年、強盗にあって亡くなったXXXテンタシオンのボーカルがサビに用いられています。 XXXテンタシオンのボーカルは元々、リル・ウェインとのコラボを意図して録音されたものではありませんでしたが、XXXテンタシオンとレコーディングをしていたZ3Nというプロデューサーが彼の死後にリ

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純朴なジェイ・ロックが示す「救済」—バイク事故を経て

writer: @vegashokuda 「ここに居るどれだけの人が諸悪の根源について知ってる?」 4月にリリースしたアルバム『KOD』の名前を冠したツアーのラスベガス公演で、J・コール(J. Cole)は聴衆にそう問いかけた。スクリーンに映し出されたコールの目には光るものがあった。 「それ(=諸悪の根源)なしでは生きられなくなってしまうんだ」という言葉の続きは明らかにされていないが、コールの涙の裏に、9月7日にオーバードーズでこの世を去ったマック・ミラー(Mac Mi

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