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マーロン・クラフトの孤独感に関する本音(Marlon Craft - "Lonely")

今回は、Marlon Craft(マーロン・クラフト)「Lonely」を解読したいと思います。

マーロンは、ニューヨーク州のマンハッタン出身のアーティストです。父親はジャズ・ドラマーで、母親は演劇関係のプロデューサーなので、エンターテインメント一家です。

ワシントンDCの大学に進んだマーロンは卒業後、マンハッタンに戻り、フリースタイル動画をYouTubeにアップするなど、音楽活動を始め、数々のEPやミックステープをドロップしてきました。

そんなマーロンが2019年にリリースしたフルアルバムが『Funhouse Mirror』です。

今回、解読する「Lonely」は、彼が2019年に発売したアルバム『Funhouse Mirror』の「Shallow」という曲の中に、隠されたトラックとして収録されています。

この曲は、そんなにスラングなどが出てくる訳ではないので、意訳を読んでいただければ内容はわかると思うのですが、必要に応じて解説を入れていきたいと思います。

バース

この曲は特にサビなどはなく、丸ごとバースの曲となっています。

I'm lonely
I can turn a W to an L
I'm lonely
I can take something wonderful, make it hell
I've been trying to fill a void I don't understand, I don't know it's shape
Eyes closed tryna fit different shit in this empty space

【意訳】
俺は孤独、俺は勝利を敗北に変えてしまえる
俺は孤独、俺は素晴らしいものを地獄に変えてしまえる
俺は理解しようのない虚無を埋めようとしてきたけど、その形が分からない
目を閉じて、色んなものをこの空っぽの場所にぴったりはめようとする

*「W」は「Win」(勝利)、「L」は「Lose」(敗北)の意味で用いられます。

*理解しようのない虚無感を埋めようとするけれども、その埋め方が分からない様子が描かれています。

To no avail, I'm lonely, it's cold as hell
In the part of my soul where love and the noble notions dwell
I'm lonely
I don't get what I'm looking for, but I search on
Tryna make a map of places I've never gone

【意訳】
その甲斐もなく、俺は孤独、めちゃくちゃ寒い
愛と高貴な概念が宿る、俺の魂のどこか一部
俺は孤独、俺は欲しいものが手に入らない、それでも探す
行ったことがない場所の地図を作ろうとする

I'm lonely
Shit ain't everybody?
I wash my head with this human condition, but I don't feel cleansed
I feel lonely, yo

【意訳】
俺は孤独
みんなは違うの?
俺は人間の形で頭の中を洗い流すけれど、気持ちは清められない
俺は孤独を感じるんだ

*「human condition」というのは「人間の形で」という意味のようですが、「condition」はコンディショナーも連想させることから、頭を洗い流すという表現とセットで使われているのでしょう。

Been avoiding time with myself, and now I owe me
Though every time we're together I focus on something phony
I don't wanna settle, shit
Sometimes I'd rather be unhappy than to be alone

【意訳】
一人の時間をなるべく避けた、今そのツケが回ってきた
俺たちはいつも一緒にいたのに、俺はいつも偽物に集中していた
俺は落ち着きたくないんだ
ときどき、俺は孤独でいるよりも、不幸せな方がいいと思う

*自分と一人で向き合う時間を避けてきたけれど、孤独を無視し続けることができなくなり、いま向き合うことになっているようです。

Tell myself I need a bone, but truth is that I need a home
I've been rationalizing time that's spent with people that don't inspire me

【意訳】
俺は骨にならなきゃと自分に言い聞かせる
だけど、正直にいうと、俺に必要なのはホーム
俺は、自分に刺激を与えない人たちとの交流を効率化して減らしてきた

*人付き合いを選り好みしてきたことが歌われています。自分に刺激を与えてくれる人と接するようにして、日常的な刺激のない人付き合いを避けてきたことが、今の孤独に繋がっているようです。

Bein' lonely sucks, I'm starting to lose my spirit's trust
Scared of what I want, I've been starting to fear my lust
If I can't tell myself the whole truth, then the lyrics must
Like I should come here to stroke, but I know I came here to bust

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