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ドレイクがイギリスのYouTube番組でプッシャTやカニエを攻撃するフリースタイルを披露。(Drake - "Behind Barz")

Writer:@imamole_

今回は、去年の7月にドレイクが披露したフリースタイル曲「Behind Barz(Link Up TV Freestyle)を解説していこう思います。

Netflix UKのギャングドラマシリーズ『Top Boy』の配信を機に「Behind Barz」は同番組のサウンドトラックに収録され、9月14日からストリーミングサービスでも配信が始まりました。(ドレイクは『Top Boy』のプロデューサーも務めています。)

「Behind Barz」では、主にプッシャTに矢を向けたラップが披露されており、彼らのビーフはもはや永遠に続きそうなほどです

振り返ってみると、遡ること8年前から、彼らはお互いに啀みあっています。

その他には、DrakeのUKラッパーとの親交の深さも伺えるようなリリックとなっています。

それでは早速、内容を読んでみましょう!

今回解読するのは...
Drake - "Behind Barz (Link Up TV Freestyle)"

Produced by Richie Beatz (US)

イントロ

Yeah, Link Up TV, Behind Barz
Big up man like Rashid, Joey, Tadas, yeah

【意訳】
イェー、リンクアップTV、ビハインドバーズ
ラシッド、ジョーイ、タダスに感謝、イェー

*「Link Up TV」は、イギリスのヒップホップを発信するYouTubeチャンネルです。その中でも「Behind Barz」は、フリースタイルのラップを披露するシリーズで、多くのUKラッパーにとって登竜門となっています。

*ラシッド、ジョーイ、タダスの3人は、Link Up TVの創業者たちです。

Shoutout Giggs for settin' the ting
SN1, OVO
Mm-hmm, yeah, look

【意訳】
この機会を用意してくれたギグスにも感謝
Spare No.1、OVO
ンーフ、イェー、聞いてくれ

*当チャンネルのレギュラーも務めるUKのラッパーギグスは、かねてから客演を通してドレイクと親交があります。

*「Spare No.1」はギグスのレーベル、そして「OVO」はドレイクのレーベルです。

コーラス

You know how the paigon chit-chat goes
I like Rs and Vs and Os
I don't really play no tic-tac-toe

【意訳】
エネミーはペラペラと物を言う
俺はRaptorsとOVOが好き
もうゲームには構わない

*「paigon」はイギリスのスラングで、敵や偽の友だちを表しています。

*このライン"Rs and Vs and Os"は色々な捉え方があると思いますが、
"Rs"は、彼の地元トロントのNBAバスケットボールチームのRaptors(ラプターズ)"Vs and Os"は並びから見てOVOと捉えました。

*Summer ’16でも似たようなラインが見られます。
“All your exes know I like my O’s with a V in the middle”

*"tic-tac-toe"三目並べを意味します。ここでは「三目並べはしない」と言っており、「自分はゲーム(ビーフなど)には付き合わない」という意味でしょう。

*また、この部分はThe Weekndをディスしていると考えることも出来ます。彼のレーベル名「XO」は、三目並べから取られているからです。

Been with Chubbs through highs and lows
We seen man last night, they froze
Wasn't no cameras, wasn't no pose

【意訳】
俺にはどこにでもチャブスがついてる
昨夜俺らを見かけた奴らは固まってた
カメラもポーズもなし

*チャブスは、ドレイクのボディーガードの名前です。

Just like that one time at 'Chella
Good thing man weren't pullin' out phones

【意訳】
あのコーチェラのときみたいに
男が携帯を取り出さなくて良かったぜ

*2015年に音楽フェスティバルのコーチェラに出演したドレイクは、ステージ上でマドンナにキスをされたため、一躍ジョークの的になりました。

1バース目

Staying in big six-six with woes
Man start dissin' and doin' reposts

【意訳】
仲間と地元に居続ける
奴はディスを仕掛けてきてリポストする

*ドレイクは、たびたび"the 6"(彼の地元であるトロント)に曲で言及します。

*この男性(man)プッシャTだと思われます。俳優時代のドレイクが、番組を通して披露した顔に黒塗りをした写真を、プッシャTがツイートで拡散した事を言っているのでしょう。

They do anything except road
Still can't see them after it snows

【意訳】
ストリート絡み以外のことなら奴らはなんでもする
雪が降った後に、奴らの姿は見えない

*ストリートでドラッグの売買などをする事を”being on roads””doing road”と表現します。このラインもプッシャTに向けられていると捉えられます。『Two Birds, One Stone』の曲中でドレイクは、過去にドラッグディーリングをするギャングとして生きていたと言うプッシャTを「実際そうではない」と否定しています

*2行目は前文とかけられています。雪が降ると、視界が悪くなって人の姿が見えなくなります。また、雪が降ればストリートで商売が出来ないので「彼らの姿が見えなくなる」とラップしています。

I don't have time for the wasteman jokes
Personal ting if I'm gettin' up close
Loyal to O 'cause I've taken a oath

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