見出し画像

鳥かごの鍵 30

夜、主人が帰って来た。

今夜は主人に話しがあったので、
早めに子供を寝かせていた。

「おかえり、話しがあるんだけど座って。」

「昨日の話しの続き?」

「そう、離婚の話し。」

長い話しになると思い私はコーヒーを入れ、
主人の前にコーヒーを置いた。

「あなた私と離婚したらどうするの?
この家で1人で暮らすの?」

「こんな広い家じゃ暮らさないよ、
マンションに引っ越すよ。」

「1人で?」

「もちろん1人だよ。」

「じゃこの若い子とは別れるの?」

私は三日月形のUSBメモリに入っていた、
写真をプリントしたものを見せた。

それは若い女性と主人がホテルのロビーにいる写真だった。

「やっぱり女の人がいたんだね、
若い女が良かったの?
簡単に私を捨てるんだね。」

「違うよ、彼女は会社の取引先の子だよ。」

「へーそうなの?」

私はもう1枚の写真を見せた、
それは二人が車の中でキスしている写真だった。

「これでもいい訳出来る?いつから付き合ってるの?」

「・・・・・」

「何も言えないわけ!
私が育児に追われてるときに浮気してたなんて!
あなただけ好き勝手なことして、
私がどれだけ我慢してがんばって来たのかあなたにわかる?
自分だけ幸せになれれば満足なの?
いつも私に嫌味いうけど、どの口が言ってるの、
あなただけには何も言われたくない、
家族を裏切ってこそこそ女と会ってたなんて、
父親として、最低!
家のことすべて私に丸投げして、
私だけが我慢すればいいんでしょ?
私だけが苦労すればいいんでしょ?
あなたはそれで満足なの?」

私は感情を抑えることが出来なかった。

私は頭に血が上り頭がくらくらした、
そしてつい最近誰かと同じような話しをしたような、
変な感覚になった。

「落ち着けよ。」

主人が私の手を握る、
私は主人の手を払いのけた、
その時コーヒーカップに手が当たり、
コーヒーカップが床に落ちて大きな音を立て割れた。

私は落ちたコーヒーカップを見て、
この前見た夢をすべて思い出した。

夢の中で彼とケンカしていた、
今はあの時と逆の立場に立っている。

私は夢の中で浮気していた、
夢の中の私は自分さえよければいいと、
自分のことばかり考えて若い男の子と浮気していた。
そして邪魔な彼を殺そうとした。

私は自分が怖くなった、
主人のことをとやかく言う権利が私にあるのか?

つづく

もっと飛躍する為の活動資金宜しくお願い致します。