妊娠(世界と私30)

始めての妊娠。

自分の中に自分以外の「生き物」がいることが不思議だった。

私は南さんに話さないといけないと思いつつ、
なかなか言い出せなかった。

つわりも無く自分が妊娠していることを忘れてしまうぐらい、
体調が良かった。

しかし、妊娠4ヶ月に入った時から、
急につわりがひどくなり、
朝起きるのがやっとになり、
仕事に行くのが辛くなった。

私はどうにか仕事に向かい、
今日こそみんなに妊娠のことを話そうと決めていた。

しかし、会社に着くと具合が悪くなり、
私は倒れてしまった。

すぐに南さんが私を抱えて、
「大丈夫?」と聞いて来た。

「救急車呼ぶ?」

「いえ、大丈夫です、ただのつわりなんで・・・」

「えっ?つわり?」

「はい、妊娠したんです・・・」

「そうなの!おめでとう、もっと早く言ってよ!」

田中さんが言った。

私はなぜか南さんの顔が見れなかった。

田中さんと妊娠の話しをしていると、
南さんはどこかに行ってしまった。

私はその日はそのまま早退して家に帰った。

ふらふらしながらどうにか家にたどり着いた。

そしてソファで横になった。

吐き気がひどい、何か食べると吐き気が収まることはわかっていたけど、
動くことが面倒だった。

私は目を閉じた、そしてうとうととしていると、
江藤が子供を連れて家に来た夢を見た。

私はパッと目が覚めた。

時計を見ると、
1時間が過ぎていた。

つづく



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