ジョン・ウィックシリーズは好きでもないのに、なぜか語りたくなってしまう。

キアヌリーブス主演の人気アクションシリーズ。

シリーズ自体がむっちゃ好きとかではないのですが、なぜか見てしまうジョン・ウィック。面白いと言えば面白いし、そうでないといえばそうでない。
期待を大きく裏切られることはない。期待を大きく上回ることもない。でも見てしまう。
このシリーズのどこにそんな魅力があるのかを自分の中で整理する。

このシリーズには新喜劇のごとく、お決まりの見せどころがある。それらがいちいちこちらの気持ちいところを突いてくるから、見てしまう。

  • 画面内の敵を殺すまで殺す。

  • キアヌリーブスもちゃんと痛そうになる。

  • 映えリロード。空きマガジンの捨て方、片手リロード。

  • 実験的なアクションがある。

  • 笑っちゃうアクションがある。

  • 仰々しい設定。美術、小道具。

  • ほぼずっとアクション。そう意味ではマッドマックス的な面白さ。

  • あってないような脚本。

画面内の敵を殺すまで殺す。

文字通り殺すまで殺す。少しでもうめいている敵が入れば、いくら画面上の端でも死ぬまで撃たれる。主に頭。
とどめの一発を食らわなかったとしても、あ、これ絶対死んだなみたいな描写が絶対ある。(車にひかれる。首が折れる。落ちる。とか)。
見る側としても、その「絶対とどめ指すシステム」のせいで「あいつまだ生きてるなー、生きてるなー、いつとどめ刺されるかなー、、、、今とどめ刺された―!」といった要領で画面から目を離せない。この画面に目を引き付ける仕組みが発明。

キアヌリーブスもちゃんと痛そうになる。

むっちゃ強いけど、一応人間なので、打たれたり、刺されたり、落ちたり、ひかれたりでちゃんとキアヌリーブスが痛そうなシーンが必ずある。しかも、それがかすり傷レベル、軽傷レベルでなくむちゃくちゃ痛そう。
わき腹を押さえて、足を引きづりながら、ボロボロのシトシトの様相で歩くさまがいい。こんな状態で、次も戦うの無理やんってなりながらもなんだかんだ大丈夫で、殺し続ける。一体私は何を見てるんだろうってなる。

映えリロード。空きマガジンの捨て方、片手リロード。

殺すまで撃つのでリロードしまくる。その時の一連の動作がかっこいい。何度も何度もやり慣れた動作なんだろなそれくらいの殺し屋なんだと思わせる流れるような所作。空きマガジンを、銃を横向けに振ることで投げ捨て、片手でリロードする。今両手使えるやんってときでもその一連の流れを見栄を切るように見せびらかす。このかっこよさのためだけの動作が、実働においては無駄なようでこの映画では醍醐味。

実験的なアクションがある。

これまでのアクション映画で見たことないような、演出、撮り方、殺陣が必ずあって、その実験的なシーンに対する期待も込めてみてしまう。最新作で言えば、不動産の見取り図のような上から見下ろすような視点でのアクション。体の動きや格闘を寄りで見せるのとは対照的に引いた視点でありながら、接敵した相手をまるでゲームのように次々に殺していく。目視してから以下に瞬殺するか。どう位置取るか。敵はどのように迫ってくるかを魅せる演出で、これも「アクション」としても見ごたえがある。

笑っちゃうアクションがある。

上記の実験的なアクションにもよるのだが、思わず笑ってしまうような変なアクションも多々ある。これも最新作では、道路上に一か所に集まる敵の群れの周りを車でぐるぐるドリフトしながら撃ちまくる。敵の偏差値の低さと、これ見よがし感で笑ってしまう。あとは、大和太鼓の前でなかなか殺してもらえない敵。太鼓の前でボコボコにされるので、頭や体が太鼓にぶつかりドンドン奏でる。他の敵なら一発ノックダウンするような一撃もその演出のせいでなかなか寝転がせてもらえない。殺してもらえない。そのばかばかしさ、魂胆の明確さで笑ってしまう。長階段転げ落ちもそう。

仰々しい設定。美術、小道具。

コンチネンタルという殺し屋の聖域となるホテル。そこでは殺しが禁じられているので、殺し屋が唯一休める空間。その大阪支部の厨房横で酒を飲むやくざっぽい人。冷蔵庫に武器。荒野のど真ん中に敷物引いて座ってる業界の大物。決闘の様式。家族の契りを交わす一連の流れ、そのための道具。これらがいちいち仰々しいからリアリティや説得力が全然ないのだけれど、そのマンガようなコテコテさがおもろい。真剣にダサいことをしてる感じ。一周回ってむっちゃかっこいいっちゃいいけど。

ほぼずっとアクション。

会話の応酬や演技の情感が皆無なシリーズだけど、新作は3時間弱もある。それを感じさせないような、それでも持つようにほぼずっとアクション。そのアクションは、前述したような飽きさせない工夫がふんだんにあるのでずっと楽しめる。
また、アクションの繋ぎシーンはあってないような脚本なので、その間寝てしまっても全然大丈夫。実際私は寝た。寝起きでがっつりアクションはむっちゃ気持ちいい。朝からビール飲むような気持ちよさ。
いい意味で雑に見ていい。

あってないような脚本。

劇中、キアヌリーブスはほとんどしゃべらない。しゃべるとしても名前を呼ばれて、その相手の名前を言い返すくらい。もしくは、みんなに謝ってる。ちょっといい過ぎかもしれない。
が、それくらいまともなセリフが少ない。あったとしてもコテコテ演出の一部でしかないので言葉の妙や演技の妙を味わうようなもんでもない。そんなアクションの箸休めでしかない脚本も、アクションのために割り切られている感じがして、すがすがしい。

こんな感じで、シリーズがむっちゃ好きというわけでもなく、見て後悔するようなこともあるが、ある種の愚痴のようにこれくらい書きたくなる魅力がある。誰かに手放しで勧められるようなものではないが、話したくなる。

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