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    静岡県 沼津市のミニコミ誌、月刊イヌ時代に寄稿した記事です。編集長 丸谷さんのnoteや沼津の各書店でも購入できます。https://note.com/marumokkori

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うつと休職と夜明け

 ドーモ。ブラフ=サン デス。  ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーで仕事的なことをしている者だ。noteでは短編の怪談を書いたりしている。  2020年にうつで休職していた。 発症と休職の始まり 原因について詳細を書く気はないが、ざっくり言うとプロジェクトが炎上して、自分のタスクの量と上司からのプレッシャーと隣のチームのリーダーの剣幕に圧殺された、みたいな感じだった。  まぁプロジェクト自体はアサインされる前から絶対にヤバイと分かっていたので特にコメントはないが、

    • 【怪談】伴走者

       貴美代さんは、小学生の頃、お父さんによく山登りに連れていってもらったそうだ。2つ下の弟も一緒に近くの山に出かけていた。  ある日、山を歩いていると、道脇の藪の中から声が聞こえてきた。  最初は遠くからだったが次第に近づいてきたそうだ。遠くからでも分かった。これはお母さんの声だと。  まるで誰かと携帯電話で話しているような、そんな口調だった。  しかしなぜお母さんはこんな場所にいるのだろうか。貴美代さん達が出発する時には、確かに家にいた。それから身支度を整えて追いつくなど不

      • 【怪談】その公園では

         忌み田あるいは忌み地と呼ばれる場所がある。  地方によって癖地、病い田、祟り山など名称は異なるが、総じて持ち主に害をなす土地のことである。  Aさんの祖父は、地域でも有名なクレーマーだった。  家の目の前の公園で誰かが遊んでいるのを見かけると、昼でも夜でも、そしてそれが子どもでも大人でも構わず飛び出していって怒鳴りつけた。  近所の人によると、Aさんの祖父は昔、その市の職員だったそうだ。しかも地域の区画整理などを行う都市計画課の担当だった。「自分で公園を作っておいて、文句

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        • 【怪談】祖父の家には、何故かずっと戸が開けっ放しの物置がありました

          「祖父の家には、何故かずっと戸が開けっ放しの物置がありました」  三木さんはクーラーの効いた喫茶店でそう語り出した。  三木さんは毎年お盆になると、母方の祖父の家にお泊りに行っていた。  ちょうどその年は祖母の三回忌で、三木さんと歳の近い従兄弟たちも家に集まる機会があったのだという。  家は田舎の平屋で、使っていない部屋がいくつもあったそうだ。  三木さんはそこで従兄弟たちと走り回ったりかくれんぼするのが好きだった。  ある日従兄弟たちと遊んでいる時、とある部屋が妙に気

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          【怪談】喪中の知らせ

           関根さんには、学生時代から付き合いのある加藤さんという友人がいた。  以前は毎年年末になると飲みに行って近況を報告しあったが、ここ十年ほどはなかなかそういった機会が取れず、没交渉であったそうだ。  それでも毎年年賀状だけは送り合うようにしていた。  ある年、加藤さんから喪中の知らせがきた。  ご家族が亡くなった、という内容だったが誰が亡くなったのかは明記されていなかった。  うっかりにしてはうっかりし過ぎている。亡くなったのは誰なのかとわざわざ聞くのもはばかられるので、心

          【怪談】喪中の知らせ

          【怪談】かずふみくんの作文(ピンポンのお母さん)

          ピンポンのお母さん       二年二組 広田 かずふみ

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          【怪談】かずふみくんの作文(ピンポンのお母さん)

          【怪談】AIスピーカー

           多忙で遊んであげられない息子のために、AIで声や話し方を学習して自分そっくりに喋るスピーカーを買った。 「おはよう」「おやすみ」「元気?」など、シチュエーションに合わせて会話をしてくれるというものだ。  こんなオモチャに父親役をやらせるつもりは毛頭ないが、それでも多少の寂しさは紛れるかもしれない。息子も気に入って色々と話しかけているようだ。  このスピーカーは喋る以外にも、食事メニューの提案やレシピの検索、音声によるスマート家電操作など、多くの機能がある。  中でも私がよ

          【怪談】AIスピーカー

          【読書】魔よけ百科

          魔よけ百科(岡田保造, 丸善, 2007)という本を読んだので備忘録がてらメモ。 それにしても色んな魔よけがあるものです。 目籠 東北地方や関東地方では、目籠を竿の先に被せて軒先に立てかける風習があった。目籠には目が多くあるため鬼が恐れをなして去るという。 × ウィーンの王宮宝物館で、聖槍という槍が展示されている。これはキリストを刺した槍といわれ、コンスタンティヌス帝・カール四世・ヒトラーなどがこれを求めた。この聖槍に触れた者には聖なる力が宿るといわれている。この槍身

          【読書】魔よけ百科

          【怪談】無音の祭囃子

           大学院生のAさんは、数年前の夏休みに友人に誘われて、とある瀬戸内海の島の祭に参加したそうだ。  祭も終盤に差し掛かる頃、Aさんはトイレに行くために友人の実家に一人で向かった。  友人も誘ったのだが、盆踊りで声をかけた女の子と盛り上がってしまい、悪いけど一人で行ってきてくれ、と言われてしまったそうだ。  友人の実家は、祭の会場になっている神社からほど近い場所にあった。人通りはほとんどないが、神社の方向から聞こえてくる祭囃子が心地よかった。

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          【怪談】無音の祭囃子

          【怪談】因果三題、あるいは境界で呼びかけるということ

          序:境界に踏み入る 皆さんはノックする時、何を目的にするだろうか。  扉の向こうにいる誰かいるか確かめるため。相手に扉を開けるという意図を知らせるため。世の中のノックは大抵そのどちらかに分類されるだろう。  前者は自分にとって相手の存在が不明な時、後者は相手にとって自分の存在が不明な時である。  扉の向こうに誰かがいる、あるいはいるかもしれないと思ってノックするわけだ。  絶対に誰もいないと分かっていれば普通はノックをしない。  いや……ノックをしてはいけない。  扉とい

          【怪談】因果三題、あるいは境界で呼びかけるということ

          楽園に入った4人 〜ユダヤ教神秘主義において"神"を見た人達〜

          先日、数学史の本を読んでいて気になる話を見つけました。 伝説によれば、あるときラビ・アキバは三人のラビたちとともに瞑想し、楽園に入った。しかしその体験はあまりにも強烈であったため、仲間の一人であるラビ・ベン・アザイは無限の光を見つめながら死んだ。なぜなら、彼の魂はその光の源をあまりにも強く求めていたがゆえに、ただちに肉体を脱ぎ捨ててしまったからである。もうひとりの仲間ラビ・ベン・アブヤは、一人ではなく二人の神をそこに見て、ただちに背教者となった。三人目のラビ・ベン・ゾマは、

          楽園に入った4人 〜ユダヤ教神秘主義において"神"を見た人達〜

          【読書】カーゴ・カルトを知っているか!(「千年王国と未開社会」読書メモ)

          概要カーゴ・カルトという現象を知っていますか。 主に太平洋のメラネシアという島々で見られる信仰です。 信者は「いつか祖先の霊が、文明の利器を搭載した船や飛行機と共にやってくる」と信じ、自分達で滑走路モドキや飛行機モドキを製作して自作した銃モドキで軍事訓練を行なっています。 飛行機の仕組みを理解せず、形だけ真似する姿は文明人から見れば滑稽に思えたことでしょう。 さらに彼らは理想の世界(千年王国)がまもなく到来すると考え、自分達の食料や家畜などを全て放棄してしまいました。 何

          【読書】カーゴ・カルトを知っているか!(「千年王国と未開社会」読書メモ)

          note #怪談 選(2022年1月編)

          この記事は、私ブラフがnoteの #怪談 タグの中からお気に入りの短編を紹介するものです。 偉そうに感想なんかも書いてしまって、僭越です!恐縮です! でも面白いので!紹介させて下さい! ※各話のタイトルは本記事の読みやすさを考慮して一部抜粋とさせていただいています。 ZOOMWeb会議モノの怪談は数年前から結構出てますが、何か物足りなさを感じていました。 しかしこれは面白い!特定の誰かじゃなくて皆恐怖を共有できてるところは新しいなぁと思いました。 良いヌラヌラ感でした!

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          【読書】アメリカン・ブッダ

          ドーモ、ブラフ=サン、デス。 noteで怪談を書いているが、最近はお休みして他ごとを色々やっている。 アメリカン・ブッダという何かすごいSFを読んだので感想というか何かを書いておく。 本書は表題作を含む短編です。 表題作の紹介文はこんな感じ。 もしも荒廃した近未来アメリカに、仏陀を信仰するインディアンが現れたらーー未曾有の災害と暴動により大混乱に陥り、国民の多くが現実世界を見放したアメリカ大陸で、仏教を信じ続けたインディアンの青年が救済を語る…… いやこんなん設定だ

          【読書】アメリカン・ブッダ

          【マンガ】僕的このマンガが面白かったです2021

          2021年ももうすぐおしまいですね! 今日は今年読んだ(≠発売された)なかで面白かったマンガを紹介していこうかなと思います。 では、ドーーーン↓↓↓ 潜熱(野田彩子)コンビニバイトの女子大生が、客として来たヤクザの組長と恋愛する話。 なんかこう、割と可愛いけど地味〜で世間知らずな子が何かのきっかけで危ない男にハマる、みたいなのが嫌にリアルで怖い。 もうね、ヤクザのおっさんがホントにどうしようもないくらいヤクザなんですよ。 例えばファブルとかのヤクザって割と可愛げあるじ

          【マンガ】僕的このマンガが面白かったです2021

          【雑記】私、イヤイヤ期の2歳児。こっちは集合論の危機。

           息子(2歳)が絶賛イヤイヤ期である。  自己の確立過程で多くの子どもに現れ、数多の保護者を悩ませてきた、あのイヤイヤ期である。 「ご飯食べよ」「ご飯食べるのヤダ!」 「牛乳飲む?」「牛乳飲むのヤダ!」 「あっちで遊ぼ」「あっちで遊ぶのヤダ!」  とにかく何でもヤダヤダなのだ。  今日も夕方はヤダヤダタイムだった。 「テレビ見る?」「ヤダ!」「でーやん(お父さん=僕のこと)と遊ぼ」「ヤダ!」  あまりにもヤダヤダで面白くなってきたので 「じゃあヤダヤダする?」と聞いてみ

          【雑記】私、イヤイヤ期の2歳児。こっちは集合論の危機。