嘘みたいな体

テレビで、ある小兵力士が特集されていて、彼の体重は99キロだと紹介されていた。僕がもう少しがんばって食べたら、彼の体重に追いつけるのだな、と思ってびびった。僕はそこまで太ってしまったのか。

太った自分の姿が、自己イメージと合わなくて、戸惑いとともに生きている。あごまわりの肉付きがあまりにだらしない。道を歩いているとき、ふとコンビニのガラスに映る自分を見ると、その分厚さに驚く。ラグビー選手みたいだ。ぶよぶよだけど。

僕は、どんなに太っても、肘から手首にかけては肉がつかない。二の腕も、指先もずいぶんたっぷりとしてしまったというのに、そのあいだだけは、中学生のころと変わらず、鷄の手羽先のように細い。

ほんとうの僕は、鷄の手羽先のような体つきをしているのだ。今でもそう思っている。この贅肉をスライスすれば、残った人体は繊細ななりをしているはずだ。だから、今の体は嘘みたいだって思う。嘘みたいな体で生きてる。嘘みたいな体には愛着がもてない。鍛えたいとかではなく、削ぎ落としたい。いまは脂肪のベールに包まれている、その下にあるほんとうの僕を、取りもどしたい。僕はもっと繊細な体つきのはずなのに。太ってから出会った人たちがみな、僕をこの分厚さで認識しているんだと思うと、ちょっと信じがたい。

梅雨だけど走ろう。散歩やめて走ろう。走ったら元に戻れますか。

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