友愛の三種類【ニコマコス倫理学⑫】
こんにちは、らるです。
こちらの本を参考に
ニコマコス倫理学を紹介してきましたが
今回で一区切りです。
最後は『友愛』についての話です。
妬み と 友愛
人はみな、『善』を求めてしか行動しない
という話をしました。
そして、
他者の善を悲しむ = 妬み
他者の善を願う = 友愛
だというわけですね。
これは中々、キレイな定義だと思います。
友愛の3分類
そしてこの友愛には3つの分類があると言います。
とは言っても、これは
前回話した『愛』の分類に対応したものです。
(1)善きもの
(2)有用なもの
(3)快いもの
これらが愛される条件であり
それぞれが
①人柄の善さに基づいた友愛
②有用性に基づいた友愛
③快楽に基づいた友愛
に対応しています。
そしてこれらには、優劣があります。
予想がつくかもしれませんが
いちばんいいのは
①人柄の善さに基づいた友愛 です。
なぜなら、
②有用性に基づいた友愛
③快楽に基づいた友愛
これからは、相手の一部分、一側面に
着目しているのに対して
①人柄の善さに基づいた友愛
は、相手全体を愛することになります。
そして実は、人柄の善い人というのは
有用性も、快楽も与えてくれるものなんです。
人柄の善い人と過ごせば
・楽しい時間が過ごせる=快楽
・困ったときには助けてくれる=有用性
というわけです。
やはり、人柄の善い人は
友だちにするには
とても理想的な友達だと言えそうですね。
前回も書いた通り
この「人柄が善い」になるのは難しいですし
当たり前ですが、そういう人と友達になるのも
難しいものです。
よって、人柄の善さに基づいた友愛 というのは
アリストテレス自身も
稀なものだ、と言っています。
ですが、諦めることなく
日々、一つ一つの選択を大事にして
まず自分が、徳を身につけ
善い人格を目指すことが
理想的な友愛を実現するための
第一歩になるのは、間違いないでしょう。
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