菜っ葉と薄揚げのたいたん 

とてもとても
忘れられない思い出の食事
今は亡き親友が作ったおかず
忘れもしない7年前の事
大病を患い約1か月の入院からようやく我が家へ帰った時の差し入れ

突然のくも膜下出血の激痛に襲われた私は必死のおもいで助けを求めたのがお隣りさんに住む彼女だった
幸い直ぐに駆けつけてくれて救急車を呼んでくれた
救急車の中で意識が遠のき病院へ
微かな記憶の中で「これはもしかして死ぬやつかも!」と考えていたのは覚えている
翌日、5時間の手術になり無事に手術は成功したが1か月は集中治療室だと
家族は説明を受けた
くも膜下出血で救急搬送されると3割が死亡、3割がなんらかの障害が残ってあとの3割が無事に救われるらしいと後日、主治医からの説明で知る
私は、血管手術になったが途中に他の血管も出血してコイル、ステント療法で対応し、主治医たちも予後を心配していたが幸いにも意識も早く目覚め予後も順調に回復していった
早く家に帰りたい一心でリハビリに耐えスピード退院となり周囲を驚かせた

命の恩人の彼女は
お見舞いにも来てくれて
とても喜んでくれた

身体の痛みと頭痛と神経因性膀胱があったがそんな事は前向きに治療をしていけば良いし何より生きているだけでも感謝の日々だった

数日して
ピンポン〜と彼女は菜っ葉と薄揚げのたいたんを差し入れしてくれた
実は入院中ずっと食欲が無くて
食事が苦痛で困っていたのでありがたかった
美味しい!懐かしい味がした
彼女の愛情を感じた
お礼の言葉に生きてて良かった!と伝えた
それからはいつも私の体調を気にしてくれて、また何かあったらダメだから娘さんのラインも教えてくれた

お隣さん同士
小中学の同級生
娘たちも同級生
大型犬を共に飼っていた

我が家がこの地に引越してから20数年のお付き合い
美味しい物の差し入れ
コーヒーを飲んで楽しい時を過ごし
冗談を言い笑い合っていた
私の連れ合いが亡くなった時も
いつも寄り添ってくれた
私にとって彼女は
頼りがいのある親友となる

しかし
別れが突然やって来た
3年前の春の日に何の因果か彼女もくも膜下出血を発症し帰らぬ人となった
私の命を救ってくれたのに私は何の術もなく呆然としていた
同じ病だったのに
私は生きて
彼女は逝ってしまった
悲しみの中で
いつも元気だった彼女との
記憶を引き出しては今でも
大切に心の中に閉まっている

感謝しかない
ありがとう
この数年間たくさん笑い合い、悩みを聞いてもらい
しあわせだったと伝えたい
いつも玄関や2階の窓、バルコニーから声をかけてくれた
また、会いたいね!
また、会えるかな?

料理が得意だった彼女の
心のこもったおかず
菜っ葉と薄揚げのたいたん
この味は忘れることはできない


私の人生に元気をもらえた一品だ

#元気をもらったあの食事

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