見出し画像

火星シリーズ:『火星のプリンセス』レビュー

画像1

火星シリーズ:『火星のプリンセス』
エドガー・ライス・バローズ (著) / 厚木 淳 (訳)

どんどん古典に走ってる今日この頃ですw

今回は、ご存じ(かな?)火星シリーズ第一作の『火星のプリンセス』。

著者のエドガー・ライス・バローズさんは、このシリーズの他に、あの『ターザン』シリーズを書かれてます。ジャングルの王者ターザンで大ヒットを飛ばした人気作家が、空想科学Sci-Fi小説を出した! ってことで、これまた大人気シリーズになったそうです。

ターザン・シリーズは1914年スタート。火星シリーズは1917年スタート(!)。もう100年以上前の本なんですねこれ。おどろきです。

日本では逆に火星シリーズのほうが先行して訳されて(1965年スタート)、ターザンシリーズは追いかけるように1971年に翻訳出版開始されたとのこと。

その他にも地底世界「ペルシダー」シリーズなど、E.R.バローズさんは長いシリーズものを沢山書かれている方です。

この火星シリーズは初代スペース・オペラと呼ばれていたりもするんですが、狭義のスぺ・オペとはちょっと違って、どちらかというとヒロイック・ファンタジーな作りになっています。

確かに火星という異星(異惑星)上で空中戦とかしたりしますけれど、宇宙空間でチャンバラはしてくれません。ちょっと期待してたのになーw

驚くべきことに主人公の南軍大佐ジョン・カーターは、瀕死の状態で「念じる」ことで火星にテレポートします。幽体離脱して気が付いたら飛ばされてるってかんじで。そこらへんに科学的な理屈はいっさいありませんw

火星へ飛んでいったあとは、異星らしい六本脚の猛獣や、おなじく六本の手足をを持つ異星人類などと味方になったり敵になったりしながらの大活躍。ものすごく乱暴に言ってしまうと、舞台を火星にしたターザンのような筋骨隆々、男の中の男が正義と信念を貫く冒険活劇。って感じのお話です。

流石に100年前なので火星についての描写はお世辞にも科学的とはいえませんし、猛烈な男尊女卑やあまりにステレオタイプなキャラクターたちに苦笑してしまう人もいそうですが、ステレオタイプなキャラたちが定番の活躍をする話って、やっぱり読みやすいし面白いのですよね。そもそも、いわゆる「定番」のもとになったのがこの火星シリーズやターザンであるわけなので、まるで〇〇のよう。という表現のオリジナルが、これらのシリーズなのです。つまり、古典で原点。なのですねー。

よくよく考えたら、スペース・オペラの原点ではなく、これ、異世界転生小説の原点なのかもしれませんね。主人公は火星って異世界へ飛ばされますし、(一応、地球の身体は「死亡」して火星へ精神のみ飛んでってます。でもなぜか火星では肉体を持ってる。ここらへんは謎ですw)
火星では、火星より高重力の地球で育った筋肉・肉体チート能力を武器に(あれ? 精神だけとんでったんじゃ?w)無双バトルを繰り広げ、金髪美女のお姫様と恋をしてやがて結ばれるわけです。
ハーレム的な展開はありませんが、まあ、そこは100年前だからゆるしてね。という具合。

きっとコレ、「火星」を「異世界」に読みかえて読んだら、十分イマドキの異世界ものとして読めそうな気がしますw
なろう小説ファンの方でもきっと納得の異世界バトルですよw
ただし、主役はダメ男じゃなくてマッチョさんですけどね。おそらく、100年前のアメリカ人男性読者はこういうのが理想像だったんでしょうねえ。

さて、この本、当然のように絶版本なのですが、

合本版・火星シリーズとして1999年に再販されていました。第一集には1巻目~3巻目まではいっています。

とはいえこれまた高価格……。表紙や挿絵も入っているようなので絵を見たい方はこちらになりますが、探してみたら古典の復刻をしてくれているデジタル書店グーテンベルク21さんがKindleで再販してくれています。それも、読み放題Unlimited対応!

今のところ、1巻目『火星のプリンセス』から、6巻目の『火星の交換頭脳』まで Unlimited で出てるようです。6巻目のタイトルなんてもうパルプSFっぽくてゾクゾクしません? ワタシだけかなぁ?w 

ともあれ、100年前の大ヒットシリーズ、今の感覚で読んでも十分おもしろい古典で定番で、もしかしたらなろう小説の元祖。いまなら Kindle Unlimited で読めちゃいます。
ワタシもこれからグーテンベルクさんの神対応に感謝しつつ、Unlimited で続きを読み放題しようとおもいます。(古い本って紙を痛めそうで読みにくいんですが、電子書籍なら心配なくどこでも読めます。便利!)

古典に興味のあるかただけでなく、難しいこと考えないで読めるファンタジー的なSFが読みたいかたにも、もちろんなろうファンにも(?)おすすめです。おもしろいよー☆


#火星シリーズ #エドガー・ライス・バローズ #厚木淳 #SF #らせんの本棚 #KindleUnlimited

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費にさせていただきます!感謝!,,Ծ‸Ծ,,