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LISTENはポッドキャスト文化の何を変えるのか

2023年6月12日、LISTENが正式にリリースされた。

自分が何か運営しているポッドキャストがあるとして、それをLISTENに登録しておけば、自動的に文字起こしをやってもらえる。たとえば、以下は私が運営している「うちあわせCast」の第百二十九回である。

特にこちらからは操作しなくてもこの精度で文字起こしが完成するのだから、最近の生成AIというのはすごいものである。

自分がポッドキャスト運営しなくてもアカウントを作ることができ、その場合は好きなポッドキャストをフォローできる。番組に更新があれば通知がくるし、当然LISTEN上でポッドキャストを聞くこともできる。コメントを書き込むことも可能だ。

簡単に言えば、ポッドキャストをベースにした新しいプラットフォームだと言える。人が集う場所ということだ。

単に文字起こしがなされるだけならば、これまでのポッドキャストにありがちだったGoogleにインデックスされないので見つけてもらえないよね、という問題が解決するだけなのだが(ちなみにインデックスを拒否する設定もできる。なかなか気が利いている)、それ以上にこのLISTENが一つのプラットフォームになって人が集まってくるという点が重要だろう。

実際、現段階ではまだ構想中のようだが配信の課金や有料購読などの機能も検討されているようだ。というか、そういう要素がないとマネタイズはできないわけだから企業としては当然なのだが、「広告バンバン入れてハッピー、ハッピー」みたいな方向に安直に流れていないことに好感が持てる。

課金や有料購読は「対価を支払って、サービスを受ける」という等価交換的な要素よりも、配信者への支援という意味合いの方が強いだろう。その支援によって、配信者はコストを補助してもらうと共に、価値あるものが提供できているという感覚が得られるようになる。それがあまり行きすぎるとスパチャ的な方向に振れてしまうが、だからといって禁止すれば健全になるというものでもない。

で、考えてみるとポッドキャストのプラットフォームを作り、そこに人を集めて配信者への支援も可能にする、という構図はよくよく考えたらこのnoteと同じである。

このnoteもまた、間違いなく日本のブログ文化に変化を与えた。その変化はよいものもあるだろうし、そうでないものもあるだろうが、いまだにこのnoteが記事の中に鬱陶しい広告を入れてこないことは私は最大限評価している。というか偉いと思っている。広告を入れたらとても楽だろうが、それによって壊れてしまう何かがあるはずなのだ。

もちろん、テキストを主体とするnoteと、音声・ポッドキャストを主体とするLISTENとではいろいろな違いはあるだろう。それでも、そうした場に参画したことで新しい人たちとの出会いが生まれ、それが何かしらの変化を促すだろうという点では共通しているように思う。まさにそれこそがプラットフォームの役割であろう。

今のところ、日本のポッドキャストはGoogle+PV+広告モデルに巻き込まれない形で続いてきたように思う。それはテキストではなかったことで生まれた副次的な効果なのだが、それでも一時期のブログやYouTubeのようにゲンナリするような番組に出合う確率が非常に低いという好ましい結果をもたらした点は良かったと言えるだろう。

では、これからはどうなるだろうか。

コンテンツの販売が可能になったら、「ポッドキャストで稼ぐ!」みたいな商材が出てきてやっぱりこれまでのメディアと同じ方向に流れるのだろうか。それとも、音声メディアであるがゆえにそうした商材をはねのける護符があるのだろうか。

そればかりは現時点ではわからない。ただ、LISTENというプラットフォームの登場によって、単に独り言を放言するような番組ではなく、聞き手を意識した語りある番組が増えてくるように思う。

たぶんそれは好ましいことなのだろう。今後の展開に期待したい。

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