ポスト・大きな物語01(雑)

「大きな物語」が機能しなくなり、複数の「小さな物語」の寄せ集めに移行するにしても、その「小さな物語」が単一のプラットフォームに寄り、さらにそれらの物語がそのプラットフォームを維持・強化する方向に動くのであれば、それは「大きな物語」となんら変わらないのではないだろうか。

もしそうだとすれば、ビック・ブラザーは姿を消すことはあっても、消滅はしない。見えないところで、意識されないところで、動き続けている。それは議題にあがることもなければ、標的にされることもない。世界の在り様として折り込まれてしまっている。克服することも、構造解析することも叶わない。

それが新しい物語なのだろうか。

大きな物語は、さまざまな文脈において機能しにくくなっている。しかし、小さな物語は、断片化しやすいし、かつ見えないビッグ・ブラザーも生じる。

だとすれば、どのような方向がありうるのだろうか。

たぶん、と慎重な口調で語りたいのだが、必要なのは「長い物語」ではないだろうか。継続する物語と言い換えてもよい。それは必然的に良き物語ともなるだろう。なぜなら良き物語とは、持続可能な物語だからだ。

その長い物語が持つ射程であれば、大きな物語と小さな物語の両方を視野に入れられる気がする。それが一つのジンテーゼとなりうるかもしれない。

そしてそれこそが__大きな物語・小さな物語の対峙から長い物語への転換が__まどマギが示した方向ではなかっただろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?