今日の囲いの中はふたりだけの世界

まだこの世に出たばかりの斑模様の少年は

モゴモゴと土の中に鼻の先を突き入れている

『ハジメマシテミミズサン』

ちょっと項垂れているように見えるけど

オカアサンはゆらゆら尻尾を振っている

これからユラユラと蜃気楼が重なり見える季節が来ても

キラキラ水面に切り出した光の板の欠片が浮かんでも

オカアサンが濡れた黒い硝子玉のような眸から
透明な雫を垂らして見ていたから

今はもうお姉さんか妹かわからないんだけど

ボクノカラダノナカノツツノナカニ

ツブツブニナッタミンナガネムリナガライキテルノ

そういうことをわからないのに全部

ニオイヤアジヤサワルモノミナオシエテクレル

ウマレタコトデ

なんとなくみんな全部わかっている