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不滅のベートーベン

僕は天然パーマである。
少しの湿度、少しの通り雨がものすごく苦手。ちょっと濡れるとくりんってなってしまうのよ。

子どもの時はけっこうコンプレックスだった。あらかさまに人と違う。今考えると普通の個性なんやけどね。でも40年前はそうも思えない。珍しがられた。中性的な感じもあっただろうし、たまにバカにもされたな。遺伝子の業なのに。丸刈りはしたことない(する必要もなかったし、しようと思ったこともないけど)。

その影響が少しあるかどうか分からんけど、小学生の時に買ってもらった変速付きの自転車。「普通のがいい」って言ってあんまり乗らなかった。今考えたら両親にどんな思いをさせてしまったんだろう。夢も語ってなかったな。「公務員かな」って。「2番目がいい」とも言ってたか。

中学の先生には入学後にさっそく疑われた。その髪はなんだと(笑)。スポーツ刈りの社会の先生。野球部の監督。全てが古い。でもそんな時代だった。ムースつけてた男子は頭を洗わされてた。
なんか親の証明みたいなんがあったような記憶がある。「この子の髪は天然パーマです」みたいなやつ。「この髪の色も生まれつきです」とかね。どっかの学校の事例とごっちゃになってたらすいません。なんかでもそんな記憶。

高校に入り、同級生は一気に520人。個性だらけだった。髪型なんて何を気にしてんだって感じ。カバン自由、靴も自由。当時スラムダンクが流行ってたから、バスケシューズ(バッシュね)履いてる子多かったなー。ズボンの裾も細かったり太かったり。どれだけ他の子と違う格好するか選手権してたわけじゃないけど、そんな状態だった。人の容姿をイジる子はほんま一人もいなかったと思う。

大学はもっともっと個性が集まってきた。容姿に加えて方言、年齢、国籍まで、いろんな要素が入り乱れた。
僕も髪を染めた。薬局で買った初のブリーチ。決まった時間が経っても色が変わったように思えないので、たぶん倍くらいの時間使った。洗い流してびっくりした。ド金髪。バイト先の店主や同僚に褒められた。「演劇の役作りで」ってしよーもない嘘をついた。のを今思い出した。恥ずー。
実家がうどん屋さんってことも羨ましがられた。そうやんな、ええやろー。そんな気分になった。でも、髪の長さはあまり癖が出ないくらいの短めをキープしていた。

さて冒頭のベートーベンの話。新聞記者になり、小学校での取材中にとある児童に「髪がベートーベンみたいやね」って言われた。懐かしかった。そうそう、天パの人を例えるのって今も昔もベートーベンなんやなって思ったんよね。葉加瀬太郎もいるし、佐藤蛾次郎もいる。昔の鶴瓶さんもいる。が、子供が例えるのはあの音楽室にあるベートーベン。モーツァルトは浪花にキダ・タロー最高顧問がいるし、たぶん子供はタローを知らない。

そういえば、今の妻と出会ってから髪を中くらいにした(長髪という意味でないくらいの)。むしろ天パをずいぶん気に入ってくれた。切らんほうがいい、伸ばしたほうがいいって言ってくれた。妻の友達からは「このパーマがタダで手に入ってるなんて羨ましい。こんなん何千何万もかけないかんのに」って言われた。それ以来、会社にも中くらいの長さで(伝わるかな)行っている。

というわけで、子供たちにもベートーベンに例えられたのです。「みんなもいろんな髪型の子がおるしね。個性やで」って笑顔で返したら、「ほんまや」って笑顔が返ってきた。「大人になったら伸ばしてみよー」って男子もおった。いろいろやってみな。何が似合うようになるかも分からんしね。

そして(また戻る)、そもそも何でこの話を書こうかと思ったかと言えば…

きょう道端でソバージュ(これも死語か)の女性が自転車で颯爽と走っていたのです。とっさに「杏里みたいな人やった」と隣の妻に伝えたら、古いとの指摘を受けました。今は誰が的確なんやろ。ジョイナーでもなく、飯島直子でもなく、網浜直子でもなく。KATSUMIは男やし。
さて誰が的確なんやろ(2回目)。

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