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ウミガメとウルトラマン

『マダンゴ』(1963)という東宝の怪奇SF映画
をYoutubeのおすすめで見かけると、
キノコ人間の不気味な鳴き声がのちに
ケムール人やバルタン星人の声として流用されたとあって驚いた。
と同時に、
幼い頃に見たウルトラマンタロウのビデオの
ウミガメのエピソードを思い出した。

ウルトラマンタロウのそのエピソードでは、
「スープか何かにしてウミガメの卵を食べる」
ことによってウミガメ怪獣の呪いを受けて、
体に発疹ができて苦しむ、みたいな
描写があって、
見ていてとにかく不気味で怖かったのではっきり覚えていた。
「マダンゴ」では人間が飢えから禁断のキノコを食べてしまうんだけど、
ウルトラマンタロウではウミガメの卵を食べるのが罪というか人間の弱さの象徴だった。
この「ウミガメの卵スープを食べる」というのが
なんとも言えない絶妙な生々しさで、
お腹が減って食べものがなかったら
ウミガメの卵スープを
たしかに食べちゃうかもしれないというリアルさと、
よりによってウミガメっていう善良で優しそうで味方っぽい動物だからなんとも言えない居心地の悪さがあった。
ウミガメが涙を流して卵を産むシーンが
タロウの劇中にあった気がするけど、
「ウミガメの卵は食べたらかわいそうだよ」、
という感覚があると同時に、
空腹に勝てなくてつい食べちゃうのもわかるというか。

ガツガツと美味しそうに卵スープを貪り食べるキャラクターたちが、
「罪深くあさましいことをしている」感じ、
あとでこれ絶対ヤバい、
なんかバチが当たるやつだ、
という罪悪感・背中がジリジリする後ろめたさ
を、幼いながらひしひしと感じていた。

マダンゴをwikiで見て、
「人間の弱さ、醜さ」
を描くハードSFのスタイルは
ウルトラQ以前に昔の特撮映画にしっかりあったんだと感心すると同時に、
あのウミガメのスープ事件を見ている時に感じていたなんとも言えない嫌な感覚は、
今思えば確かに罪悪感と自己嫌悪、
未来に来る罰・呪いへの恐れだったんだと思った。

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