【『無能なナナ』第7巻ネタバレ考察】“黒幕”と“帰還兵”が今後の局面を動かす!

※注意※
※単行本派による考察です。
※原作を確認してはいますが個人の妄想に近いものなので、信憑性は保証できません。
※本文にはネタバレありますが、未読派の方に配慮した表記を心掛けています。

ちなみに前の記事です↓

以上、ご了承の上どうぞ~。

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第6巻に引き続き、第7巻も怒涛の展開でした。衝撃の真実が明らかになり、物語が新しい局面に進むことがほぼ確定しましたね。

前回の考察のうちいくつか(主に仮説3)が第7巻で確定しましたが、同時に新たな疑問が生じ、まだまだ考察せずにはいられません。

今回は主に3点についての考察となります。第7巻で判明した内容を前回の考察とともに整理しつつ、新たな謎について考察していきましょう!


考察1|一筋縄ではいかない××の真意は?正体は?

今回ついに、鶴岡の口からナナの両親の死について語られました。まずは彼の語った内容を整理しましょう。

《鶴岡の語った内容》
ナナの両親とコハルの両親は委員会に対する造反行為が認められたため、鶴岡自ら粛清した(第7巻6ページ)
ナナを駒にしたのはいわば両親殺害の副産物だった(第7巻11ページ)
委員会や上の人間にとって、能力者とナナたちとの戦いは政治の道具か余興程度のもの(第7巻11ページ)
鶴岡はナナをこれまで弄んできたし、これからも飽きるまでそうするつもりである(第7巻30ページ)

ざっとこの4点ですかね。

①②は私も前回の考察で述べましたし、予想していた方も多いことでしょう。③は委員会や政治家たちの醜悪さを浮き彫りにしました。で、気になるのは④ですよね。

手駒にしたのは偶然のように言いながら、まるで鶴岡自身がナナに執着しているような台詞です。しかもそれをわざわざ本人に伝えるというのは、言わずにいられなかったか伝えることでナナを操りたかったか、どちらかのように思えてなりません。

となると、「鶴岡=ナナの兄説」が浮かんでくるわけですが、しかし前回も述べた通り不自然な点があるため、これはミスリードではないかと私は思います。ここから鶴岡がナナの兄であるかのような材料がばらまかれて、そちらに誘導されるんじゃないでしょうか。

鶴岡がナナの兄ではないとして、ではなぜ彼は彼女にそこまで執着するのでしょう。

ここで考えるべきは、鶴岡の真意です。これまでも仄めかされてきましたが、どうやら鶴岡は、委員会の上の人間や政治家たちとは別の目的で動いているのでは? 今回、上の人間(政治家?)と話す際の彼の表情を見るに、勝手な要求にうんざりしているというよりは、面従腹背といったていです(第7巻60ページ)。

鶴岡が、軽蔑すべき相手の下で日銭や世間体のために働いているとは思えません。おそらく今の位置に甘んじているのは、彼の目的のために必要だからでしょう。

その目的が、例えば能力者と無能力者の共生する理想世界なのか、すべてを壊したディストピアなのかはわかりません。ただ、鶴岡の態度から考えるに、保身と出世、悪趣味な余興しか頭にない上の人間たちとは全く別方向なのは間違いないでしょう。

(※追記:鶴岡の真意の片鱗が第11巻で判明しました。詳しくはこちら

もしかするとナナを幸せにすることなのかも…?

もしそうなら、ナナに何度も殺人を犯させた上で与えられる幸せって何だろう…とさらに疑問がわきますが…。しかしナナの両親の殺害を現段階で告げたということは、それが真実ではないからとも考えられます。

例えば実は、ナナの両親を殺したのは委員会に操られた能力者で、鶴岡はそれを止めようとした。しかし力及ばなかったため、残されたナナを暗殺者として育て上げ、彼女と自分の力で能力者と委員会を腐った政治家ともども殲滅し、新しい社会を作ろうとしている…とか?

つまり鶴岡にとってナナは、理想の出発点でもあるが思い通りに動かしたい存在…というのも何とか成り立つ例を考えてみましたが…。どうですかね。

もう1つ予想される展開はありますが、こちらはナナを地獄に叩き落す方です。それでもいいよって人だけ読んでね。

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実はナナの兄が黒幕。能力者であったナナの兄は両親と対立し、そのため家を出て国や社会を揺るがすような悪事を企図していた。

鶴岡はナナの兄を止めようとした側で、実は善意の人。彼自身もナナと同じくらい凄惨な形で家族を失っており、そのため彼女を家族のように思っている(第4巻176ページ)。

彼なりの生い立ちと人生観から、暗殺者として生きることがナナの幸せだと本心から信じている。少なくとも彼女にそれ以上の人生はないと思っている。

だからナナに情けを見せないための「弄ぶ」発言だった。

…とかね。

考察2|■■と◎◎の能力の相性が今後の局面を大きく左右する?

さて、中島ナナオが帰還しました。

物語のミッシングリンクでもあった彼が戻ってきたことで、作者のストーリー構成の巧みさを改めて実感させられましたが、大事なことはそれではありません。

第1巻では能力を無効化する能力者だったナナオ。その能力はパワーアップしており、人間の認知・識別能力(おそらく良心なども?)までも無効化し、能力者無能力者問わず心を操れるほどになっていました。

これによって、「能力自体が変化する例」(第1巻199ページ)のことも回収されました。

第7巻では、ジン(ジンの姿を借りている変身能力者)がナナオの姿に変身しました。ここ、すごく気になりませんか!!!!!!

曰く、

「中島君は自分に向けられる能力を無効化できたようだ
そのせいか今まで彼に変身することはできなかったが
ここ最近になってできるようになった
能力が成長したか
制限がついたのかもしれない」
出典:『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第7巻26ページ

とのこと。

ナナオは能力を成長させていただけでなく、おそらくナナを陥れる存在として再登場しました。ナナは主人公なのですから、ナナオはラスボスとなる可能性すらあります。しかも最強クラスの能力者

しかしジン(変身)はナナオの能力すらコピーできる(?)としたら、ジン(変身)は最強なのでは? しかも前述の台詞から、彼はナナオの能力についてある程度理解している様子です。もしもジン(変身)がナナオの能力の代償まで理解していたら…。

つまり、ジン(変身)の目的が何なのか、今後誰につくかで展開は決定する!? もしジン(変身)がナナオと手を組んだらもう誰も太刀打ちできませんよね。それともそうなれば、これまで能力者を屠ってきたナナが、これまでの経験と知略を生かして2人に立ち向かうのでしょうか…。あまり考えたくない展開ですね。

今後どう物語が進むのかを考えるには、ジン(変身)とナナオ、それぞれの行動原理を知る必要がありそうです。

というわけで次へ!

考察3|■■と◎◎の目的は?何のために動いている?

ジンの目的については、これまでの言動からいくらか推測できます。

彼はこれまで、能力者たちが島で時間を無駄に消費したり命を落としたりする現状を変えたい、終わらせたいというようなことを、主にナナに語ってきました。第6巻では、本物の橘ジンとの間に浅からぬ関係があり、それが彼の行動原理にもなっているらしきことがわかりました。

どうやらジン(変身)には誰かを陥れたいというような悪意はなく、本当に現状を何とかしたいようです。今後のナナオと鶴岡の立ち回りに左右されるおそれはありますが、現段階では能力者のほとんどがジン(変身)の目的に異を唱えはしないでしょう

一方ナナオですが、彼は誰に言うでもなくこう呟いています。

「僕は君らを皆殺しにするつもりなんだ」
出典:『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第7巻69ページ

呟いた状況からして、おそらくこれは彼の真意です。しかし何故ナナへの復讐ではなく、能力者の皆殺しを目的にしたのでしょう。理由として考えられるのは鶴岡による懐柔、あるいは父に由来する使命感です。

第1巻から、ナナオが父に認められたいと強く願っているのは明確でした。そして島に向かう前に父から受けた命令がこれです。

「トップを取ってこい
お前は リーダーになるんだ」
出典:『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第1巻65ページ

能力者(ナナも含む?)の皆殺しはこの命令とは直結しませんが、方向性は近いのではないでしょうか。すべてを殺して父の望み通りトップに立つ、または父を超えるために命令以上の結果を出す。ナナオの変貌ぶりからして、父と決別したことも充分考えられるため、あり得ないことではないでしょう。彼の目的は、ある意味父殺しなのかもしれません。

すると、ジン(変身)の目的とナナオの目的は、どうやら対立することになりそうですね。

しかしそうすると現段階の情報からはジンの勝利しか見えないわけですが、もしかして先手の奪い合いのようになるのでしょうか?

どちらにせよ既に駒は大方出そろったようなので、次巻あたり多くのキャラクターが相見えそうですね!

《戦況に関わる要素》
・ジン(変身)+ナナ+能力者たちVSナナオ になりそう? ※追記:第9巻にてほぼ確定。詳しくはこちら
・能力者の多さが吉と出るか凶と出るか(ナナオに操られる可能性)
・ナナオはジン(変身)のことを鶴岡から聞いているのか?(そもそも鶴岡も把握していない可能性
・鶴岡はどう動くのか?(ナナオの純粋な味方とは考えにくい)

など、今後の戦局についてはまだまだ未知数なものが多すぎます。

あ、鶴岡と幾度となく密会しているのがナナオの父? という可能性についてはまた次の機会に。
(※追記:これについては第8巻で否定されました。詳しくはこちら
(※追記:第11巻でナナオのナナへの感情が少し見えました。詳しくはこちら

考察4|にわかに怪しさの増す**の正体について

初期から何となく怪しいと思っていた人も多いと思います。名もなきモブキャラにしては、時々気になる動きを見せるあの人。そう、能力者たちの担任の先生です。地味な方のメガネですね。

《これまでの不審な点》
・彼以外、島に統率役が出てこない
・他にもいるような台詞もあったが、島では不自然なほど他の大人が出なかった(食堂のおばちゃんくらい)
・事なかれ主義にしてもトラブルの対処に消極的過ぎる。自分の身の危険は考えないのか?
・勝手に名簿を見ているキョウヤを止めなかった
・本土に戻ってきても唯一の統率役。何故ここまで一任という名の丸投げをされているのか?
・彼自身、他の大人と接触しているシーンがほぼない

第7巻では、これらの不自然な要素がさらに強調されました。

「俺だって警察に任せたいさ
でも通報したら 軍の特別監視下にある区域においては軍の指示を仰いでください だとよ
なんだここは?
無法地帯か?」
出典:『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第7巻110ページ

これはキョウヤの台詞ですが、本当にその通りです。そんな無法地帯を、無能力者の大人1人で御せるわけがありません。

また、第7巻では先生がついにアップで表情を露にしました。第5巻178ページの最後のコマを見てください。

これまでモブ同然で、気弱に事なかれ主義を貫いていた先生が、何とキョウヤに対し苛立ちの表情を! 次のコマの怒りで誤魔化していますが、それも含めて明らかに作者からのアピールです。先生のこと、ちょっと不審に思ってね、というメッセージを感じます。

では先生は何者なのでしょうか。考えられる限り挙げてみますね。

《先生の正体》
・ナナの兄
・実は黒幕で最大のラスボス(鶴岡を陰で操っている)
・与党側の人間で監視役
・単なる軍(か委員会)の下っ端だが、不満をためて後に爆発し戦況を一変させる(主要人物を殺すとか)

あたりかな~。先生がナナの兄だったら、悪役で間違いなさそうですが…。

振り返り考察|最初からいろいろおかしかった

人類の敵などいません。これは連載初期からわかっていることです。にもかかわらず、政治家たちは、人類の敵を倒すために能力者を育成していると国民に伝えています(第5巻178ページ)。

(※追記:人類の敵、いました! 詳しくはこちら

どうしてそんなことをする必要があるのでしょうか。

現政権が行うならわかりますが、鶴岡との会話(第5巻176ページ)から察するに、野党の幹事長が主導していたようです。本来なら野党にそんなことができるとは考えにくいですが、責任者である鶴岡を通して現政権を誘導したのならあり得ます。

そしてその場合、考えられる目的は政権奪取ですよね。にしてもたったそれだけに、あまりに大がかりじゃありませんか? どことなく不自然さを感じます。

多分他の人も考えたことあるんじゃないかと思うんですが、そもそも能力者自体、野党の政治家か鶴岡が計画して作ったものじゃないの????

これについてはまだ考えがまとまってないんですが、そう考えると腑に落ちることが結構あるんですよね。しばらくは材料待ちです。

早ければ第8巻発売時にでも! それではまた~。

↓次の考察記事です!↓

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